百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第10章 記念試合7

―――倒れてる香さんに投げ付ける―――とかでもいいです
美紗はまた亜湖の言葉を思い出した。香は完全に体力を失っている、亜湖のバックドロップが入れば返せないだろう。
そう判断し亜湖にタッチした。しかし、そのまま交代ではなく、ダブルの攻撃をやってから。
二人で香を起こして先ずはダブルのブレーンバスターを掛けた。美紗が左腕で香の首を決め、右手でブルマを掴み、亜湖は逆に右腕で香の首を決め左手でブルマを掴んだ。そして美紗の掛け声で持ち上げた。
香は抵抗せずに持ち上げられた。ダブルで掛けられてるので身動きが取れなかったので抵抗せずにそのまま投げられればいいと思った。香のシャツはめくれ上がりブラジャーが丸見えになった。およそ5秒そのままの体勢を維持し、その後美紗と亜湖は香を後ろに投げた。
「ああっ!!」
香は腰を押さえながら声を上げた。
亜湖は香のポニーテールを掴み、起き上がらせた。香はふらふらとゆっくりと起き上がりながらブルマを直した。亜湖は素早く足を掛けそのまま後ろに倒した、かわず掛け。
そして香の片足を固めてフォールした。
「ワン、ツー」
カウントが入り、香はツーで返した。その返し方が今までより力強さが無いように感じた。
その為、亜湖は自陣に下がった美紗の方を見た。美紗は拳を握って"行け"の合図をした。
亜湖は頷き香を起こし後ろから香の脇の下に頭を入れ、胴をクラッチした。香は亜湖がバックドロップをフィニッシュ技にした事は良戦、さくら戦を見て知っていた。なので掛けられまいと足を掛けて、さらに亜湖の首を決めた。
「香さんが弱ってる今決めないと―――」
亜湖はそう思い、抵抗する香を引っこ抜こうと体を揺すったりして引っ掛けられてる足を外そうとした。一方香はたかが新人の亜湖にフィニッシュ技でスリーカウント取られる訳には行かなかった。
「ああああっ!!」
亜湖の声が響きわたった。それと同時に香は亜湖の首を決めたまま走り、ブルドッキングヘッドロックを決め、そのままグラウンドのヘッドロックに移行した。
亜湖の背中に栄子が踵落としを入れた事で一気に形勢が逆転した。香がブレーンバスターで逆さにされていた5秒の間は、チームの状況を見るには充分な時間だった。
栄子はラリアットのダメージを回復して自陣に戻り、そしてジュディは場外でさくらに鉄柵攻撃し、鉄柵にもたれかかるさくらに追加攻撃を入れて鉄柵の外に放り出し、さくらは大の字になっていた。つまり、実質三対二になっていた。
そのチャンスを逃さなかった。そんな状況なのに格下の亜湖が香にバックドロップなんて無謀にも程がある、と香は思った。
亜湖がロープブレイクしたので香は技を解き、亜湖の髪を掴んで起こした。それから場外に放り投げ、栄子にタッチした。
それから二人で場外に降り、亜湖を捕まえて鉄柵に振った。
「あああっ!」
亜湖は鉄柵に叩き付けられ声を上げた。栄子は更に亜湖の髪を掴んで立たせた後、股に手を入れて抱え上げるように持ち上げ、そのまま鉄柱にぶつけ、マットにボディスラムした。
「ああっ!」
亜湖は背中を押さえて歯を食い縛って耐えた。栄子は亜湖の髪をもう一度掴み立たせてリングにフェイスクラッシャーをした。亜湖は思わず崩れ落ちそうになったが栄子は亜湖の髪と右腕を掴み、そのまま崩れ落ちないようにし、頭が上がらないように押さえ付けた。つまり、背中ががら空き状態だった。亜湖は左腕でパンティを直しながらしっかりと足を伸ばした。
亜湖は二人が何をしようとしているのかは分かったが栄子に完全に押さえ付けられているので身動きが取れ無かった。その為、しっかり立ち―――とはいってもリングに頭を押し付けられてる状態だが―――体力はまだまだたっぷりある事を示すのが精一杯だった。
香は椅子を持ち、思い切り振りかぶって亜湖のがら空きになった背中に叩き付けた。
「ああああっっ!!」
亜湖は叫び崩れ落ち、背中を押さえて仰向けに転がった。香はそれを見下ろし、椅子を投げ捨てて亜湖の髪を掴んで起こした。亜湖は背中を押さえながら起き上がると、香は亜湖の股に手を入れ先程の栄子と同じ様に抱え上げた。
そして振りかぶって投げ捨てた椅子に向かってボディスラムを入れた。
「ああーーっっ!!」

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