百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第10章 記念試合9

栄子は亜湖の髪を掴み起こした後、亜湖の頭を股に挟み胴をクラッチし、持ち上げた。亜湖は抵抗したがダメージが多かった上、仕掛けたのが長身でパワーのある栄子だったので持ち上げられてしまった。
逆さまに持ち上げられてしまったので抵抗せず足を天井に向かって真っ直ぐ伸ばした。おとなしく食らうのが一番安全なのだ―――。栄子がそのままパイルドライバーを決めようとするとジュディが、
「ちょっと待って」
と言って止めた。それからさくらの頭を股に挟み胴をクラッチして同じ様に持ち上げた。さくらは抵抗したが、持ち上げられてからは諦め、足を真っ直ぐに伸ばした。
ジュディは、汗で濡れているさくらの両足の間から前を見てさくらを持ち上げたそのままの体勢で歩き、同じく亜湖を逆さに抱えている栄子の正面に立った。さくらは目の前で同じ様に逆さに抱え上げられている亜湖の姿を見て何とも言えない気分になった。自分も抱え上げられているので助けられない―――。そんな今の状態を拒否するかのようにさくらは首を振った。
ジュディはさくらの両足の間から亜湖を抱える栄子を見た。そしてさくらの足を見た。太腿に浮き出た汗が滑り落ち、パンティに染み込み濡らした。それを見て、
「Go」
と声を掛けた。栄子とジュディ二人同時にパイルドライバーを決めた。亜湖とさくらはゆっくりと崩れ落ちた。さくらは仰向けに倒れ、そして亜湖はうつ伏せに倒れた。そして―――、
ビクッ……ビクッ。
亜湖はその状態で痙攣をした。栄子は痙攣する亜湖の髪を掴んだが亜湖は全く動かなかった。レフリーはそれを見て試合を止めた。亜湖とさくらの間にしゃがみ、二人に声を掛けたり頬を叩いたりした。
さくらは気が付き、頭を両手で押さえた。ジュディは素早くさくらのツインテールを掴んで起こした。
レフリーはあくまで試合権利のある亜湖についていたのでジュディが回復したさくらをどうしようが自由だった。さくらは力を振り絞って抵抗したが、疲れとダメージの蓄積で抵抗にならなかった。
コーナーに振られた後、ジュディのボディアタックをまともに食らい、膝から崩れるように前に倒れた。ジュディはさくらのブラジャーのホックにストンピングを入れまくり、さくらは短く声を上げて耐えた。
さくらが背中を押さえた時に、ジュディは膝裏に乗り両足を固め、素早くさくらの両腕も取り、そのまま引っくり返り、ロメロスペシャルを決めた。
「―――あああ……」
さくらは痛みに耐えながら声を出そうとしたが疲れから出なくなっていた。ジュディは下から揺すり、さくらにダメージを加えた。さくらは首を振り、
「……まだっ……あああっ……」
と言い、耐えた。試合権利が無いのでギブアップは関係ないがギブアップの意思は無いと、もう一度首を振った。

亜湖はまだ痙攣していた。試合中、一旦ダメージ回復したように見えたがやはり、先に受けた栄子の喉輪落としのダメージは大きく、パイルドライバーでとうとう気絶してしまった。
ビクッと一回動くと尻が少し持ち上がり、落ちた。太股、背中も同じ様に動いた。
カメラは亜湖を舐め回すようにとらえた。顔はやや右を向いていて左側をマットにつける体勢になっているが、左右とも髪が落ちてる為全く表情は見えなかった。そのボブカットの髪はグシャグシャに乱れていた。
首筋、肩、そして背中と汗で濡れていて、白いブラジャーも汗で濡れていて、ストラップが片方外れていた。
腕は両腕ともだらりと下がり、軽く指を曲げていたが勿論亜湖の意識ではなく自然にそうなっていた。背中から腰も汗で濡れて、窪みに汗が落ちた。そして激しい呼吸に合わせ、上下に動いた。
ビクッと痙攣した。汗で濡れた白のパンティを足の方の斜め上から映した。足は三十度程開き、股間も見えた。クロッチ部分も汗で湿っていて、右の尻に少し食い込んでいた。
太股も汗で濡れて、汗がマットに落ちた。靴下はパンティ程は汗で濡れていなかった。
亜湖の痙攣が止まり、レフリーが手を握った事に反応するとレフリーは試合を再開した。
栄子は場内、そして場外を確認した。場内ではジュディがさくらにロメロスペシャルを掛け続け、さくらが耐えられなくなるか、それともジュディが力尽きるかの勝負をしていた。さくらは掛けられ、痛みに耐えて声をだしながらも自分でもジュディの腕を掴み、膠着していた。場外ではようやく美紗が頭を起こしていた。
栄子は亜湖の髪を掴んで起こしにかかった。亜湖はゆっくりと片膝から立ち上がりながら、ブラジャーのストラップと食い込んだパンティを直した。
栄子は亜湖の喉に手を当てがったがその時、
「栄子さん!」
と香が声を掛け、手を出した。栄子は、
「そうだったね」
と言って香にタッチした。さっき、喉輪落としを返されて少し熱くなってた事に気付いた。そしてタッチした後は場外に降りて美紗を捕まえ、無理矢理起こし、ボディスラムを入れた。

香は首を振って頭を押さえている亜湖を捕まえた。
亜湖は今どんな状況なのか把握出来ていなかった。ボーッとしていた。髪を掴まれて頭を下げられ、体操服とブルマを見た時におぼろ気に理解した―――香さんのポニードライバーが来る―――、と。
しかし抵抗する体力は残っていなかった。頭を香の股に挟まれ、胴をクラッチされた。そしてそのまま簡単に担ぎ上げられてしまった。
三歩走り、そのまま勢いをつけられて叩き付けられた。ここまでだった。
香は左右それぞれの腕で肩に乗る亜湖の左右の足を固めた。
「ワン、ツー」
レフリーのカウントが入った。さくらは亜湖が叩き付けられた衝撃が伝わり、ポニードライバーを食った事に気付き、体を左右に振り、ロメロスペシャルをほどこうとした。横に倒れたがジュディはそれでも解かずに逆に横向きになってさくらの体重から解放されたのでより強く締め上げた。
一方美紗も場内に響きわたった音で香がポニードライバーを出した事に気付いた。栄子に鉄柵に振られたが振り返し、栄子が叩き付けられている隙にカウントを聞くまでもなく、リングに登り亜湖を助けようとした。
しかし、栄子は鉄柵に叩き付けられてから、その痛みに耐え、すぐに立ち上がり、リングに登り掛けた美紗を掴んで離さなかった。
「スリー」
スリーカウントが入った。亜湖はポニードライバーを返す処か足を動かすことさえ出来なかった。

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