百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第11章 凶悪タッグ5

プルトニウム関東は自陣の外に戻り、そして良も自陣に戻った。それから二人はタッチを交わしプルトニウム関東に試合の権利が移動し、良は休憩に入った。良は場外で起き上がり、自陣に戻ろうとするさくらの動きをじっと見ていた。さくらが飛び出してきたらそれを阻止する為に。
プルトニウム関東がリング内に入りそして亜湖を起こしに行った。亜湖は右膝を立ててキュッとパンティを直した。プルトニウム関東は亜湖の髪を掴み立ち上がらせた。亜湖は腰と背中を押さえながら何とか立ち上がったがフラフラしていた。プルトニウム関東は亜湖の顔を上げさせるといきなり地獄突きを入れた。亜湖はもんどりうって倒れ、首を押さえて足をバタつかせた。
「オラ、立てよ。お前の叫び声もっと聞かせろよ! いい声してるんだからな」
プルトニウム関東は亜湖の髪を掴み立たせると今度はさっきさくらにやったように顔面鷲掴みにした。
「あああーーーーっっ!!」
亜湖は声を上げながらその場で耐え、顔面を掴んでいるプルトニウム関東の手を掴み離させようとしたが、足はガクガクと震え、立っているのがやっとだった。片膝が落ちるとプルトニウム関東は、
「何倒れようとしてるんだよ! オラ立ちナ!」
と言って掴んでいる腕を上げると亜湖は足を震わせながら落ちた膝を上げ、立ち上がった。しかし、両足ともガクガクと震えていた。亜湖が両足で立ったのを見て、プルトニウム関東は
「オラァ!」
と叫ぶと共に自陣に亜湖を投げ付けた。亜湖は背中からコーナーにぶつかり、もたれかかった。左手でロープを掴み、右手で顔を覆い、
「う……ううっ……」
と声を出していた。良が気を利かせ、亜湖を後ろから下に押さえた。亜湖は少し腰が落ち、膝が曲がった。これで亜湖はゆっくりとやってくるプルトニウム関東に反撃が出来ない。プルトニウム関東は顔を押さえている亜湖の右手をどかしてロープに引っ掛け、良に押さえさせた。そして再び顔面を両手で掴んだ。
「ああっ!! あああっ!! 痛い!! 痛いー!!」
思わず亜湖は"痛い"と叫んでしまった。そう叫んでしまった事に気付き修正したが、いくら受けが強い亜湖でも、コーナーに押し付けられた上、後ろから良に押さえられ両腕はロープに掛けられて固定されて、少しだけ腰が落ち膝が曲がっている状態では全く動けず、プルトニウム関東に好きな様にやられてしまっては"痛い"と声に出してしまうのも無理は無かった。しかし、耐えて返す事を信条とし、受けの戦法を選択した以上はそれは許されない事だと自覚していたし、更にはさくらの見本にならなければならないという意識があったのでどんなに痛くても"痛い"と言葉に発する訳にはいかないと思っていた。
プルトニウム関東もずっと亜湖の顔面を掴み続けていれば握力が尽きてしまうので適当な所でやめることにした。最後に思いっ切り顔面を掻き毟った。
「あうっっ!!」
濁った叫び声を上げ、亜湖は腰から崩れ落ちた。足を前に投げ出し、そして両手で顔を覆った。呼吸は激しく乱れ、それに合わせて肩が上下し腹も出たり引っ込んだりしていた。それだけ激しく呼吸していた。亜湖はもう、場外で倒れていたい気分だったが、さっき見たさくらの状態から考えると自分が耐えなければ試合に負けてしまうのでプルトニウム関東に髪を掴まれるとゆっくり立ち上がった。そして右手でパンティを直した。
プルトニウム関東は亜湖の頭を下げさせ、髪から手を離した瞬間、背中に一発踵を落とした。
「あぐっ!」
亜湖は声を上げて背中を押さえた。丁度ブラジャーのホックの位置に踵が当たったので背骨に当たり、電気に打たれた様な痛みが走った。
左手をつき、右手で背中を押さえる亜湖をプルトニウム関東は捕まえ、髪を掴んで亜湖の頭を股に挟んで胴をクラッチした。そして良に、
「ダブルのアレ行くぞ」
と指示した。良はそれを聞いてトップロープに登った。トップロープに登るのはタッグだから出来る芸当―――シングルならばトップロープに登っている間に捕まえられてしまうが、今の場合はプルトニウム関東が亜湖を捕まえてる状態なので亜湖は避けも反撃も出来ない。
良がトップロープに登ったのを確認してプルトニウム関東は亜湖を持ち上げた。亜湖は抵抗したが体重差から返す事は出来なかった。逆さに持ち上げられてしまったのでそこからは抵抗せずに大人しく足を伸ばした。
「しっかし、こいつもエロいな〜」
プルトニウム関東はさっきのさくらと同様に間近に亜湖の太股、そしてパンティに包まれた股間、尻を見ながら呟いた。太股の汗が一粒滴り落ちてパンティに染み込んだ。

―――と、その時―――さくらがリング内に駆け上がり、トップロープに立つ良に向かって行った。さくらはサードロープ、セカンドロープと登った。良はさくらに平手を入れたがさくらはうまくダメージを逃がすように平手を受け、それから構わず良を捕まえて、左腕で首を決め、半ズボンのベルトを掴んだあとトップロープに登った。
「くっ……コイツ」
良は思い、自分も左腕でさくらの首を決め、さくらのパンティの前側を掴んだ。強く引っ張りすぎないように手の平の力を使って持ち上げる為―――と気を使ってである。

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