百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第11章 凶悪タッグ8

一方プルトニウム関東はやっとで立ち上がったさくらを捕まえて、抱え上げて鉄柱にぶつけた。それから床にボディスラムをした。さくらは、
「……んぁぁあっ」
とやっとで声を出し、背中を押さえた。プルトニウム関東はさくらのツインテールを乱暴に掴み引き起こし鉄柵に振った。さくらは勢い良く激突し、ドスンと腰から落ちた。それからすぐにプルトニウム関東に捕まり、リングの周り半周引きずられた。
一方良は亜湖の足を鉄柵に引っ掛けて、腰を鉄柵上部に当てて上体を反らせて、後ろから組みついた。タランチュラの鉄柵版を決めた。レフリーが下りてきて亜湖の手を掴み、
「ギブ!?」
と確認した。亜湖はレフリーの手を握り返し、
「あ……ああ……ノ、ノー」
と力無く答えた。握り返す手も力は殆んど入っていなかった。
『もう持たないね』
レフリーは思った。その時、
「良!」
とプルトニウム関東が声を掛け、同時にさくらを鉄柵に、いや、亜湖に向かって振った。良はタイミングを見てタランチュラを解いて亜湖を解放した。亜湖の反らされた体勢が戻るのとさくらが走り込んで来るのと同時で、さくらは止まる事が出来ずに亜湖とさくらは激しく激突し、二人は崩れ落ちた。
亜湖は鉄柵を背にそのまま腰から落ち、横に倒れ、片膝立てた状態になり、さくらはそのまま跳ね反り、大の字になり、亜湖の上に右足が落ちた。
プルトニウム関東はさくらのツインテールを掴んで無理矢理起こした。そして、
「お前はもう邪魔だ! 寝てろ!」
と言って鉄柵に振った。さくらはヨロヨロと走って行き、向きを変えて鉄柵に激突し、腰から崩れ落ちた。
プルトニウム関東はさくらが動けなくなったのを確認して鉄柵の外から戻ってきた良と合流し、亜湖を二人で起こし、リングに入れた。良はその時ふとさくらを見た―――。
「やったよ。さくらブラ取れてる」
良は呟いた。さくらのブラジャーのベルトが片方脇の下でブラブラとしていた。良はプルトニウム関東に最後の料理を頼んだ。
「あたしが亜湖からカウントスリー取るからそん時、さくらに弓矢でも掛けてよ」
と言い、リングに上がった。プルトニウム関東はさくらを捕まえ、
「さっきの台詞は取り消しだ。まだ寝てもらっては困るな。客を楽しませないと」
と言ってツインテールと左腕を掴んで起こした後、リングに叩き付けた。さくらは、
「ぶっ!」
と声を出し後ろに倒れた。その時にスルッとブラジャーのストラップが腕から抜け、形が整っていて弾力の有りそうな乳房が露になった状態で大の字になった。そしてブラジャーはさくらの足元に落ちた。
プルトニウム関東はブラジャーを拾い、リングに投げた。それからさくらのツインテールを掴み起こした。
「オイオイ、可愛いのは顔だけじゃなくてパイオツまでもかよ」
プルトニウム関東はそう言い、さくらの乳房にチョップを入れた。さくらはそれを受けて自分がブラジャーを外された事に気付いた。しかし、辺りを見ても無かったので諦めた―――ある訳が無い、リング内に投げ入れられたのだから―――。
さくらはもう抵抗する気力を殆んど失っていた。しかし、プルトニウム関東にツインテールを掴まれた瞬間、髪を留めてるゴムが解け、プルトニウム関東は指に引っ掛かったゴムをそのまま下に捨てた。そしてさくらの頭を押さえ付けて背中に両腕を打ち付けたのでさくらは、
「あおっ!!」
と濁った声を出し前に倒れた。丁度ゴムに手が届く様に―――。そして、何とか腕にゴムをはめた。

さくらは亜湖に可愛いと言って貰ったツインテールを解かれた事は許せなかったが、もう反撃する体力も気力も無かった。その為、せめて解かれたままでいる事だけは何とか阻止しようとし、それに成功した。後は隙を見て縛り直せば良い。
プルトニウム関東はうつ伏せになったさくらの髪のツインテールが解けた側を掴んで起こし、リング内に入れた。さくらはパンティを直した後、腕に掛けたゴムを外し、髪を縛り直した。プルトニウム関東はリングに上がりながら不思議に思った―――。手を伸ばせば取れる位置にブラジャーが落ちてるのに目もくれずに髪を直したからだった。さくらはリングに入れられた時、横にゴロリと回りながら入ったのでブラジャーを視界に入れていた。つまりそこに落ちている事に気付いたのだが、髪を直すのとブラジャーを付け直す事両方はプルトニウム関東が上がって来るまでの時間的にも、そして残っている体力的にも無理だと思った。それならば、という事で髪を直す方を選んだのだった。それだけ、ツインテールの髪型が気に入っていたのだった。
「髪なんか直してるから、ホラ、捕まえた。ブラジャーつければ良かったのに」
プルトニウム関東はイヤらしく笑い、さくらのツインテールを掴んだ。そしてさくらの上半身を起こし、ドラゴンスリーパーを掛けた。さくらは力無く抵抗したが、逃れられなかった。

一方良は亜湖をロープに振った。亜湖は跳ね反った後、良が亜湖を待っている様に見えたのでジャンプし、ジャンピングニーパッドを決めた、しかし、亜湖は体力を失っていた為、高さも威力も無く、良を倒すことは出来なかった。これがこの試合での亜湖の唯一の攻撃だった―――。良は左手でジャンピングニーを受けた胸を押さえながらカウンターのスピンキックを入れた。亜湖は右足を後ろにし倒れそうになったが何とか踏ん張った。良は、その時背中に回していた右手で亜湖の頬に思い切り平手打ちをした。
パーン!!
場内にカン高い音が響きわたり、亜湖は半分意識を失った。足を交互に出し、倒れないようにしているがもう殆んど無意識―――、前に行ったり後ろに行ったり、転ばせればもう起き上がりそうにない―――。
良は後ろから組み付き、左足を亜湖の左足に掛けて、亜湖の右足をロックして後ろに倒れ、その勢いで回転した。ローリングクレイドルである。
プルトニウム関東は良がローリングクレイドルに入ったのを見て、さくらを離し、うつ伏せにしてから足をロックし、弓矢固めに入った。きちんとさくらの顔がリング中央に向くように―――、カウントスリーを取られる亜湖が見えるように、である。
「ああっ! ああ……っっ!」
さくらは何とか声を出し弓矢固めから逃れようともがいた。もがけばもがく程背中や腰にダメージが行くが、流れから良が亜湖からピンフォールを奪おうとしているのは分かったので何とか助けたかった。髪と乳房を揺らしながら腰に来る痛みに声を出して耐えながらさくらは懸命に逃れようとした。
良は回転を止め亜湖を押さえ付けた。逆さまに押さえ付けられてる亜湖はなかなかのやらしさを見せていた。
「ワン、ツー!」
レフリーのカウントがこの試合で初めて入った。さくらは何とか弓矢固めを振りほどき、亜湖と良に飛び付きカットしようとした。亜湖はカウントを聞いて、何とか力を振り絞り、足を振り上げようとした―――。
「スリー!」
しかし、カウントスリーが入ってしまった。亜湖が足を振り上げるのは間に合わず、さくらがカットに行くのもプルトニウム関東に足を捕まれ、成らなかった。

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