百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第12章 大先輩7

さくらがカウントを取ると亜湖はカウントツーで返した。生徒会長は亜湖の返し方を見てまだまだ亜湖は体力に余裕があると思った。その為いきなり弓矢に行く事はせず他の技を掛けてからにしようと思った。それから立ち上がり亜湖の髪を掴んで起こした後、生徒会長は、亜湖をコーナーに振り、亜湖がコーナーに背中から激突して、
「あぐっ!」
と声を上げた時には背中から飛び込んで、背中と尻と右肘を同時に入れた。そしてすぐ離れると、亜湖は反動で膝から前にうつ伏せに倒れた。
生徒会長は亜湖の髪を掴んで起こそうとしたが、亜湖の右膝が丁度いい角度に曲がった瞬間を見逃さなかった。
素早く亜湖の足を固めて右手で掴み、腰に両膝を乗せ、左手で顎を取った。その早さに亜湖は逃げることが出来なかった。
生徒会長はそのまま後ろにゴロリと倒れ、弓矢固めを決め、更に膝を動かして亜湖の体を揺さぶった。
「ああっ! ああっ、あああーっ!!」
亜湖は体が柔らかい為、綺麗なアーチ型に体を反らされる格好になり、髪と爪先ががマットに着く程だった。体が柔らかければダメージが少ないのかと言えばそうではなく、柔らかいなら柔らかいだけ余計に反らされかつ、その分頭が下がるので血が上り易くなり、キツさは変わらなかった。生徒会長が膝を持ち上げ、反り具合が大きくなれば腰に激痛が走り、それに合わせて声を上げるしか無かった。

生徒会長は思った。良が亜湖とのシングル戦の前にメールで、亜湖をメチャメチャにしてやると言っていた。実際にこうやって掛けてみるとその時の良の気持ちがリアルに分かった。
「ギブアップ?」
生徒会長はニコッと笑って聞いた。勿論揺すりながら―――。亜湖は、
「あああっ! ノ、ノーっ! ああっ!!」
と叫んだ。―――そう、これなのだ。
下着姿の亜湖が体を反らされて上半身は逆さになっている。ブラジャー着けててもあまり意味を成さず揺すればそれに合わせて巨乳では無いが形のいい胸は揺れ、痛みに耐えて声をあげている。真面目でおとなしいタイプの亜湖が、である―――。というのを実際自分もやってみたくなる、ということだった。良は詰めが甘く亜湖を甘く見すぎた為に負けたのだが―――。
生徒会長は亜湖を解放した。ずっと掛け続けると生徒会長自身が疲れてしまう。体格の劣る生徒会長が下から掛け続けるのは想像以上に消耗するのである。

「あうっ!」
亜湖は声を上げて崩れ落ちた。そして右手で腰を押さえ、左手で顔を覆った。
「う……、ううっ……」
マットに顔を沈めるように首を振り、泣きたいのを堪えた。そう、今レフリーとして練習試合を見ているさくらの前で泣く事は出来なかった。次はさくらの番なのだからさくらの為にも耐えられる事を示すのが、"センパイ"と言って慕っているさくらに先輩として今出来る唯一の事だと思っていた。
生徒会長は横向きに倒れている亜湖をうつ伏せにするか、仰向けにするか、それとも髪を掴んで起こすか考えた。ふと亜湖の腰から足に目を向けると膝を曲げていたので、肩を小突いてうつ伏せにさせ、うつ伏せになったことで膝が真っ直ぐに戻る前に膝裏に足を乗せ両足共ロックしてしまった。亜湖は生徒会長が何をしようとしているのか分かったので、両腕を体の前に持って来て腕を取られない様にした。
「無駄だよ亜湖ちゃん。足決められたんだからら諦めなよ」
生徒会長は額の汗を拭い、シャツをパタパタと扇ぎながら言った。生徒会長はポロシャツの下にTシャツを着ているが、ポロシャツにまで汗が染みだして来ていた。足もスパッツが所々湿っていた。生徒会長はその後、ミニスカートをパタパタ煽った。
それは亜湖に、逃げられないんだからロメロスペシャルの餌食になりなさい、ということだった。しかし、亜湖は体を引きずってロープに向かおうとした。少しずつ、本当に5センチずつ位しか移動できないがそれでも諦めずに両腕を体の前に隠し、引きずりながら移動した。生徒会長はそれを見て、
「技を防ごうとする姿勢はいいけど、ロープまで何分掛るかな? その方が疲れるよ」
と言った。そして、何かいい事を思い付いたと人指し指を立ててから前屈みになって両手を亜湖の背中につけた後、左手で亜湖のブラジャーのホックの左3センチの所を掴んだ。そして、満面の笑みで、
「おとなしく手出さないと、ブラ取っちゃうよ。左手を後少し右に移動すれば―――ね」
と言った。亜湖は首を振って、
「い、嫌です……両方共」
と言ったが生徒会長は、
「亜湖ちゃんには拒否権は無い。選択権しかないんだよ」
とニコニコしながら言った。さくらは生徒会長に、
「生徒会長さん、やめてください! ルール違反です!」
と言った。生徒会長は笑顔のまま、
「そうだっけ? 確かショーツは駄目だけど―――それにさくらちゃんだってノーブラになったじゃん」
と返した。さくらにはその笑顔が恐かった。生徒会長はそれを察してか、
「ま、亜湖ちゃんがロメロ掛けさせてくれればいいんだけどね」
と言って、左手はブラジャーを掴んだままで、仕方ないな、と少し呆れた表情をして、右手を思いきり開いて亜湖の背中をひっぱたいた。所謂"もみじ"である。

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