百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第12章 大先輩8

「ああああっ!!」
部屋中に響き渡る音に合わせて亜湖は声を上げ、上体を少し飛びはねさせ、思わず手で背中を押さえてしまった。そこを逃さず生徒会長は両腕を取り絞りあげ、そのまま後ろに転がりロメロスペシャルを決めた。
「ああああっ! ああーっ!」
先程の弓矢固めの時と同様に下から揺するとそれに合わせて亜湖は声を上げた。
「亜湖ちゃん、やっぱりこうなる事望んでたんだ」
生徒会長は亜湖の腕を握っている自分の腕を亜湖がかなりの力で握り返してくるのでニコッと笑って言った。亜湖は首を振り、
「あああっ! ノ、ノー!、ち、違います!!」
と叫んだ。亜湖は望んだ訳では無く、もし生徒会長が何かの拍子で亜湖の腕を放してしまったら亜湖は吹っ飛ぶか、膝に負担が掛って怪我に繋がってしまうからそうならないように握り返しているだけである。

生徒会長は暫く揺すって楽しんだ後、亜湖を解放した。

それから暫くグラウンド戦で痛めつけ、亜湖に反撃の機会を与えなかった。

「じゃ、もう一つ」
生徒会長はさくらの方を見て人指し指を立てた後、亜湖の髪を掴んだ。亜湖のボブカットの髪は完全にごわごわに乱れていた。亜湖は両膝立ちになった状態でパンティを直し、左足、右足の順で立ち上がった―――とはいっても髪を掴まれているので前屈みだった。また、足や腰を重点的に攻撃されていたので、右手で腰を押さえた状態で、足は震えていた。
生徒会長は亜湖の頭を股に挟み、胴をクラッチするや否や頭の上まで持ち上げ、反転させて上半身をマットに叩き付けた。それから頭を下にして両足を開き、爪先は頭の横に来て、自分の股間を見る体勢になったの亜湖の尻に覆い被さった。
「セ、センパイ! 亜湖センパイ!!」
さくらは叫んだ。生徒会長は目でさくらを制し、その後ニコッと笑って、
「さくらちゃん、違うよね? ホラ、カウント」
と言った。さくらはハッとしてカウントを取った。
「ワン、ツー」
すると亜湖はカウントツーで足を振り上げて返し、そのままうつ伏せになった。生徒会長は、
「随分しぶといね、私もこれくらい体力あったらな」
と羨ましそうに言った後亜湖の髪を掴んだ。亜湖が起き上がると、コーナーに振り、良と同じ様なヒップアタックを決め、亜湖が前に倒れそうになると、ミドルキックを入れた。そしてもう一度コーナーに振り、ラリアットを決めた。
亜湖はヨロヨロと前に出て、何とか倒れないように右、左と足を出していた。生徒会長は暫く眺めていた。亜湖は生徒会長の姿をとらえていないのか、それとも足を運ぶのに精一杯なのか、両手両足でバランスを取りながらあっちへフラフラ、こっちへフラフラとしていた。
「じゃ、決めちゃおうかな?」
生徒会長は顎に指を当ててさくらの方を見た。そしてクスッと笑い額の汗を拭った。
「シャツも重くなって来たし、動きにくくなって来たから」
と言って亜湖の髪を掴んでそのままマットに顔面を叩き付けた。フェイスクラッシャーである。亜湖はうつ伏せのまま両手で顔を押さえながら足をバタつかせていたが、足の動かし方が明らかに鈍くなっていた。生徒会長はそれを確認し、
『声が出なくなったかな?』
と思い、亜湖の髪を掴んだ。亜湖は右足、左足とゆっくりと立ち上がったが背中に攻撃を入れたら崩れ落ちてしまいそうだった。生徒会長は亜湖の頭を股に挟み胴をクラッチしてから、薄いピンクのブラジャーとパンティを身に着けている亜湖をじっくりと観察した後で、
「可愛いブラとショーツの亜湖ちゃんが気絶するからね、良く見ててよ」
生徒会長はさくらに向かってニコッと笑って言った。その言葉は次の自分の姿でもある事をさくらは解っていたので返事を返す事は出来なかった。生徒会長はそれから少し力を入れた。すると亜湖は抵抗して踏ん張り投げられまいとするが、体勢の苦しい亜湖がずっと力を入れ続けるのはきつかった。その為一呼吸置いて踏ん張り直すが、その一瞬の力の抜けた隙を生徒会長は逃さなかった。逆に言うと、その隙を出させる為に今まで亜湖を疲れさせ、自分は少しの力で亜湖を投げる振りをしていたのである―――。
一瞬で亜湖を自分の頭より高く持ち上げてしまった。そしてさっきと同じ様にパワーボムで叩き付けるのではなく、自分の肩に亜湖を担ぎ上げた―――バックブリーカー、つまりそこから落とせばポニードライバーである。
「ふふっ、この技で落とされたらどんな気分なんだろうね、亜湖ちゃん?」
生徒会長はそう言って二歩下がった。亜湖は首を軽く振ったがこの状態では逃れられないのは分かっていたので、
「覚悟は……出来てます……」
と弱弱しく答えた。生徒会長はそれを聞いてから、二歩助走してから亜湖をマットに叩き付けた。そしてそのまま足を抱えてフォールに行く素振りをしたが、足を抱えずに亜湖の両足を左右に落とした。その為フォールにはならず、さくらはカウントを取れなかった。

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