百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第12章 大先輩9

ビクッ……ビクッ……
亜湖は両手を左右に広げ顔は天を見、両足は生徒会長の両足を跨ぐ格好で痙攣した。亜湖の腰、両足―――特に太腿が強く痙攣し、それに合わせてピンクのブラジャーに包まれた胸も軽く揺れた。生徒会長の方からは、両足とパンティの向こうにブラジャーに包まれた胸と亜湖の顎が見える形になり、腰、股間、太腿の痙攣、遅れて胸が揺れるのをまともに見る形になり非常にいやらかった。
「どうする、さくらちゃん。まだ亜湖ちゃんと続けた方がいい? 私はやり足りないけど」
生徒会長が言うとさくらは、
「ここまでやらなくても……いいじゃないですか……生徒会長さん尊敬してたのに……酷過ぎます。まだ……やるつもりなんですか……?」
と反論した。すると、生徒会長は残念そうな顔をして、
「私は潰すって言ったんだよ。試合だったら―――私はフォールしなかったから試合がストップする。すると回復してまた立ち上がるでしょ? まだまだ酷くないと思うけどな。せめて一時間は倒れたままでないと潰したとは言えないよ―――」
と言った。さくらは、
「もうやめて下さい。センパイをこれ以上苦しめないで下さい。どうせ次は私の番なんだから私にして下さい」
と言って生徒会長の肩に掴みかかった。さくらには分かっていた―――亜湖の今の気絶は騙しでは無く本当に気絶している事を―――。生徒会長はさくらの両手に手を掛けて、
「分かったよ。じゃ、さくらちゃん。やろっ」
と笑顔で言った。しかし、さくらはその笑顔に恐怖を感じた。生徒会長はさくらがここで試合を止める事を望んでいなかったのに無理矢理止めさせた事に腹を立てたのではないか―――そう思った。生徒会長は、
「でも、亜湖ちゃん痙攣してるのに放置するのは可哀想だから治まるまでは待とうよ」
と亜湖の方を向いて言った。生徒会長が向くのに合わせて薄いピンクのパンティに包まれた股間がビクッと動いた。
「もう、亜湖ちゃんやらしいんだから。私が向くのに合わせなくても」
と生徒会長はニコッと笑って言い、亜湖の両足の下に入っている自分の両足を抜いて立ち上がった。亜湖は大の字になり、その時もう一度ビクッ、と痙攣した。
「じゃ、ちょっと着替えて来るから待っててね」
生徒会長はひらりとリングから下りて練習室から出て行った。さくらは、急いで練習室内の水道場に行き、空のペットボトルがあったので、それに水を入れてリングに戻り、亜湖に水を掛けた。
「センパイ……。私あの人嫌いです。何であんな楽しそうに酷い事出来るんですか……? 今迄尊敬してた自分が恥かしいです……。センパイでさえこんな姿にさせられるんだから私じゃ勝てないけど……ビンタ入れてやらないと気が済みません―――」
さくらはそう言いながら亜湖に水を掛け続けた。
「う……、んん……っ……」
亜湖は目を覚ました。そして首を振った後、
「私、負けたんだ」
と言った。するとさくらは首を振った。亜湖は、
「え?」
と聞いた。するとさくらは、
「もう、センパイ……。闘えなかったです。気絶してたから試合、終わりにしました。やめさせました。あの人まだやるつもりだったんです。センパイ……殺されます。あの人、笑顔で殺します……から……」
と答えた。亜湖は上半身を起こして首を振った。そして、
「なんで? ダメだよさくら……」
と言った。さくらは、
「亜湖センパイ……殺されますよ? あの人本当にやりますよ? 善悪の区別付かない人なんです。きっと生徒会でも、無理矢理自分のやりたい事通してただけなんですよ! みんなの事なんてきっと考えて無かったんですよ。私達誰もそれに気付いていなかったんです!」
と言った。亜湖は、
「さくら。違うの。落ち着いて」
とさくらをなだめた。しかしさくらは、
「いい事した訳じゃないしいい人でもない。ここの方が楽しかったって自分で言ってたじゃないですか! 自分が楽しかったら何でもいいんですよ。生徒会だって、亜湖センパイを好きにやりたい放題する事だって楽しいからやってるだけなんですよ。学校だって、私達を強くしようって言った事だって本当はどうでもいいんですよ!」
と一気にまくし立てた。亜湖は、
「学校の事はそうだったかも知れないよ……。でも、私達を強くしたいのは本当じゃないかな」
と言った。さくらは理解出来なかった。
「強くしたいならこんな方法じゃなくてもっと役に立つ方法を教えてくれればいいじゃないですか。ただ自分が楽しいから潰したいだけです」
さくらは首を振って言った。亜湖は、
「ううん……。だって、生徒会長さんは、今の生徒会が全然評価されてないのを悲しんだじゃん。善悪区別付かない人にそういう心は無いよ……。最初は自分本位で決めた行事だったとしてもそれを必死に今の生徒会―――後輩が守ってる事……、それは嬉しいんじゃないの? それと同じで私達後輩は勝って欲しいと思っているのに負けてばかりいるから見てられない―――その根性を叩き直そうとしてる優しさなんじゃないかな……」
と言った。さくらは亜湖のその言葉に対して納得し切れない部分はあった。しかし、ここでこれ以上反論しても亜湖を悲しませてしまうと思った。さくらは常に自分を守ってくれていた亜湖が絶対であったのであまり反発して亜湖を悲しませたくは無かった。
「分かりました……もう言いません。でも、百パーセント納得は出来ないので確認だけはしたいです。亜湖センパイの考えてる通りの人なのか、私……自分の体で確認します……」
さくらは亜湖から目を逸らして言った。その時に生徒会長は洋子を連れて戻って来た。
「さくらちゃん、悪口は良くないなぁ。聞こえてたよ。知らない人が聞いたら私悪人じゃん」
生徒会長はニコッと笑って言った。さくらは、
「亜湖センパイは生徒会長さんを尊敬してます……。私、センパイの目を覚まさせます」
と敵意をむき出しにして言った。生徒会長はニコッと笑って、
「ま、さくらちゃんの言ってた事は否定しないよ。私、楽しくない事なんてしたくない。生徒会だって、亜湖ちゃんを気絶させるのだって楽しいからやった。美紗に負けるのは楽しくないから、そうならないうちに引退した―――。それでいいじゃん。何が悪いの?」
と答えた。するとさくらは、
「結局美紗さんから逃げたんじゃないですか。それで亜湖センパイにウサ晴らしですか?」
と敵意をむき出しにして言った。それを聞いた生徒会長の顔から笑顔が消え、闘気だけを纏って見せた。そして、
「いきなり随分嫌われたね。でもその気持ちに免じて、現役時代の格好にしてきたの。でもおイタが過ぎたんじゃない?」
と言った。生徒会長の格好はさっきとは異なり、白いヒラヒラの可愛いシャツ、そして同じく白のフリルの付いたミニスカートにピンクのスパッツ。そして膝にサポーターを着け黒い靴下に黒のスニーカーといった格好だった。

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