百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第16章 前哨戦4

良にとってはしてやったりだった。
「マジで"してる"とは計算外だったけど、かなり揺さぶれたな〜。あんな香は初めてだよ」
隙の無い香を倒すには精神的に揺さぶるのがいいと考えてた良は香の思わぬ弱味を握れて気分が良かった。
「あたしが勝ったら香も―――体操着とブルマをその場で脱いで貰って下着姿にさせようかな」
と言った。それから顎に手を当てて、
「それとも敢えてブルマだけ脱いでもらって、体操服とパンティ―――ってのも変わったエロさがあるかな」
と言ったがその時、下腹部に熱いものを感じた。
「ん……。やべっ、あたしまで感じちゃった」
と呟き、練習室に急いだ。

ネット観戦してる生徒会長は、亜湖の気絶姿を見て、
「あっちゃ〜食らったか。でも亜湖ちゃんはここからだからね」
と満面の笑顔で言った。そして両手で顎を包むように頬杖をついて、
「もう……かわいいなぁ……」
と足から映したアングルに切り替わった時に生徒会長は呟いた。
因みにあまり時間差が出ないようにはしているが、未成年が試合する場合は顔にモザイクを入れる処理をする為生とは若干タイムラグが出る―――。成年の場合はモザイク処理等無く手間が掛からない為完全生放送であるが。

亜湖の意識が戻った事を確認し、レフリーは試合を再開させた。キャサリンはすぐに亜湖の髪を掴んで起こした。亜湖は首を軽く振って髪を掴んでるキャサリンの右手を右手で掴んで、ゆっくりと起き上がって左手でパンティを直した。
キャサリンは亜湖の髪から手を離すや否や、コーナーに振って追い掛け、亜湖が背中からぶつかると同時にボディプレスを入れた。亜湖は、
「あおっ!」
と声を出し、膝から崩れ前に倒れようとした。そこをキャサリンに捕まり、後ろから組み付かれ、膝をついた両足と顎をロックされ、そのまま後ろに反らされた。
「ああーっ……あーーっっ!」
カベルナリアが決まり、亜湖は苦しそうに声を上げた。亜湖の体は柔らかいのでキャサリンが後ろに引くにつれて亜湖の体は強く反り返り、顔は完全に後ろを向き、胸を天井に向け、腰は正面を向いていた。
キャサリンは亜湖の体を揺すった。亜湖の胸はそれに吊られて揺れた。
「ああっ! あっ! あああっっ!!」
亜湖は声を出せる時は出せるだけ出し、キャサリンが後ろに引く前に首を振る等して少しずつ外そうとした。
カメラは亜湖を正面から捕えた。カメラの方を向いてる腰から下と大きく反らされている上半身、特に天井を向かされて揺れる胸―――下から胸を支える構造をしているブラジャーはこうなると意味を為していなかった。
胸より向こう―――つまり顔は全く映らず、キャサリンの腕を外そうともがく両腕と揺れる髪以外は見えなかった。
キャサリンの腕が外れると亜湖は反動で前に倒れた。ボブカットの髪は目茶苦茶に乱れ、背中は激しい呼吸で上下した。
右手で腰を押さえ、
「う……うう……」
と僅かに苦しそうに声を上げた。
キャサリンは亜湖の背中に一発ストンピングを入れた後、髪を掴んで起こした。そしてロープに振った。そして跳ね反って来た亜湖の首に自分の腕を絡め、フィニッシュ技のネックブリーカーに入ろうとした。
亜湖は片腕でそれをブロックした。そして逆に後ろから組みついて胴絞めスリーパーに入ろうとした。しかし、そこで間合いが僅かに開いた隙にキャサリンは亜湖を振りほどき―――、

「何やってるのよ」
モニターを見ていた香は言った。
「フン、終わりね」
別室でモニターを見ていたかえでは腕を組んだまま表情を変えずに言った。
キャサリンは亜湖を振りほどいた後、至近距離からネックブリーカーを仕掛け、亜湖はそれに反応出来ずまともに食らってしまった。


「ワン、ツー―――え?」
カウントを取ったレフリーは驚いた。亜湖の足がカウントツーと同時にロープに掛ったからである。

「フフッ。12分経過」
自宅PCで観戦している生徒会長は画面の右下に出ている経過時間を確認すると座ったまま椅子を転がし、まるで子供の様にくるくる回り足を軽くバタバタさせた。
そしてそのまま机に戻り、
「ここから反撃。亜湖ちゃんの時間だよ。それにしてもキャサリンの驚き顔―――まさか返すなんて、だもんね」
とニコッと笑って言った。

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