百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第18章 亜湖 vs 香2

二日後―――。生徒会長は香にも教えているのでこの日は香についた。
「で、亜湖には何て言ったんですか?」
香も生徒会長が亜湖とさくらに教えてるのを知ってるので真っ先に聞いた。生徒会長は、
「25分持てば勝てるって。さくらちゃんだったら無理って言うしか無かったけど―――ね」
と笑顔で答えた。香も亜湖同様に驚いたが種類が違う。
「私相手に25分も持つって事ですか?」
香が聞くと、生徒会長は、
「ええ。持たせ方が分かればね。でも分かってもそれをさせなければいいんでしょ?」
と答えた。香は、
「ええ。そんな事はさせないわ」
と言った。生徒会長はこの日は香との特訓を"楽しんだ"。

香は生徒会長との練習後、リング上で倒れていたが生徒会長は涼しそうな顔をしてフリルのミニスカートをパタパタあおいでいた。
香は美紗を倒すためにかなり―――、もう入ってからずっとなので4年は体力強化に努めている。しかし、そんな香の努力など意味を為さない位生徒会長は体力がある様に見えた。
「な、何で立ってられるの……」
香は聞かずにはいられなかった。体操着は汗で、まるでバケツの水を頭から被ったかの如くずぶぬれになり、水色のブラジャーが透けていた。
また、美しい黒髪は激しく乱れ、ポニーテールは完全に崩れていた。
「美紗にポイントを合わせるのはいいんだけど、それで全てを制した気になるのは違うんじゃないの?」
生徒会長はそう答えた。
「多分私はポニーちゃんより体力無いよ。要は使い方。あなたみたいに賢い人が解らない筈ないんだけど」
とニコッと笑って言った。

香は美紗と闘い、勝つ為に美紗に負けないようなトレーニングを積み、鍛えあげてきた。しかし、いかにも筋肉女な美紗とは違い、服を着ていれば腕が太めながら普通の女性の体型である。体操服も美紗を持ち上げる為に鍛えた肩の筋肉を旨く隠すのに役立った。
また、ある程度受け合いに耐えられるようにもしたため、力や体力面は万全だがあまりにも美紗を意識しすぎて正面から潰しにかかる闘い方になっていた。そういう相手を手玉にとるのは生徒会長にとって容易いこと―――。
そんな香と手合わせして得た結論が亜湖が勝つには25分という事だった。
香は亜湖に技を掛けて苦しめながら体力を消耗していき、亜湖は技を受けながら体力を消耗する。要はどちらが先に体力がなくなるかなのだった。香の体力がなくなるのが25分だった。
生徒会長はわざと受け合いをしてその時間を確かめ、そして香の体力がなくなった所で締めたのだった。

2時間後―――。生徒会長が更衣室から出て来た時に良と会った。良は、
「お。久し振り」
と言った。生徒会長は、
「久し振りです。先輩は調子どうですか?」
とニッコリ笑って聞いた。良は、
「バッチリだよ。もう試合したい位―――」
と答えた。生徒会長は、
「ヘェ〜。誰とですか?」
と聞いた。良は、
「かえでかさくらと。かえでは叩き潰したいし、さくらはお楽しみとして」
と答えた。生徒会長は、
「ポニーとは?」
と聞いた。良は、
「スカシお嬢が先ね」
と答えた。そして、
「今日は誰と?」
と聞いた。生徒会長は、
「ポニーちゃんと。まだ伸びてるかもね」
とニコッと笑顔で答えた。良は、
「ふーん。じゃ、見に行こうかな」
と言った。生徒会長は、
「行ってらっしゃい。4番だよ」
と言って別れた。そして生徒会長は帰った。

良が4番の練習室に入ると香がリングの中で座っていた。香はリング下まで来た良に気付き、
「何?」
と聞いた。良は、
「ううん、別に。もっとサド心全開でやってるかと思った」
と答えた。香は、
「フフッ……。相手が生徒会長じゃ、まだまだ無理ね」
と自嘲気味に笑った。そして、
「草薙さんはどう思う? 亜湖は私相手に25分持つかしら」
と聞いた。良は、
「ム……、ムリムリムリ!」
と右手を顔の前で素早く振って答えた。香は、
「そうよね。なら亜湖には解らせてあげるわ―――。生徒会長に25分持てば勝てるなんて言われていい気になってる筈よ。でもそれは間違いだって」
と立ち上がり、伸びをしながら言った。良は、
「だよね。んであたしを楽しませてよ」
とだけ言って練習室から出て行った。香は良がそれだけで帰ったのが意外だった。もっと絡んでくるかと思っていた。


香は体をほぐした後、シャワーを浴びて、着替えた。そして更衣室から出ると、大きめの青いリボンがついた水色のブラジャーとパンティ姿のさくらがいた。香はそのまま通り過ぎようとしたらさくらが一瞬睨み付けて来た事に気付いた。
しかし香は相手にせず、
「お先に」
と言って丸紫を後にした。
『随分可愛い下着着てくるようになったのね―――さくら。でもあなたは後回し』
香はそう思って家に急いだ―――。


家につくと着替えた服を洗濯機に入れて回した。そして急いで自分の部屋に入り―――、ジャケットを脱いだ。
そして服を一枚ずつゆっくりと、自分が脱いでる様子を確認するように脱いで下着姿になると、明かりを消して、掛け布団を退けてベッドに仰向けに寝転んだ。それから靴下も脱ぎ、身に付けてるのは眼鏡とブラジャーとパンティのみになった。

久し振りにしたくなった―――。

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