百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第18章 亜湖 vs 香8

ゴスン

とパイルドライバーを決めた。亜湖はゆっくりと崩れ落ち、仰向けに大の字になった。香は立ち上がり、数秒眺めた―――。しかし、香の期待通りにはならなかった。
仕方ないのでフォールした。
「ワン、ツー」
カウントツーで亜湖は足を振り上げて返した。
「ちょっと弱かったかな?」
香はそう呟いた。期待していたのは―――そう、亜湖の痙攣だった。


10分経過―――。
香は亜湖の髪を掴んで起こすと、亜湖の首を左脇で抱えてキメて、右手で軽くパンティの前―――リボンとサイドの間の丁度太股の付け根辺りの部分を軽く持った。思いきり掴むと当然掴まれる様には出来ていないので破れてしまう可能性があるので親指を上から通して後は手を添えるだけにした。
亜湖は同じ様に左脇で香の頭を抱え、右手でブルマを掴んだ。ブルマは丈夫なので問題ない―――。
体勢的には右手でしっかり掴める亜湖の方が有利だが、今まで蓄積したダメージが有り、特に腰が狙われていたので踏ん張れなかったのと、香は亜湖の首をきちんと決めていたので下手に抵抗するよりも食らう方がダメージが少ないので亜湖はおとなしく持ち上げられた。
香は普段は高速ブレーンバスターをするが、この時は亜湖を逆さに持ち上げた後、しっかりとパンティを掴み、固定した。
そして、カメラに見せ付けた後後ろに放り投げた。
ドオン! という音と同時に、
「あああっ!」
と亜湖の声が響きわたった。亜湖は背中を押さえながら反動で上体が起きたので、そこに香はサッカーボールキックを入れた。
「あああっ!」
亜湖は声を上げて仰向けに倒れ、背中を反らして右手で押さえた。香はゆっくりと亜湖の髪を掴んで起こし、ロープに振った。亜湖はロープに向かって走り、跳ね返って来た。香は少し間を置いて走り、ラリアットを放とうとしたが、

技は受けて返す。だが、隙の大きいのは返せ―――

亜湖は丸紫のルールに則り、香のラリアットをネックブリーカーで返した。そしてフォールに行った。
「ワン、ツー」
香は足を振り上げて返したが不意打ちだったので少し反応が遅れたため、カウントツーになった。
亜湖は後頭部を押さえる香のポニーテールを掴んで起こした。香の体操服は汗で濡れ、オレンジのブラジャーが透けて見えていた。
亜湖は香を場外に落とし、追い掛けた。そして先程香が亜湖を叩いた椅子が投げ捨ててあったのでそれを手に取り、香の背中に叩き付けた。
「あああっ!!」
香は大声を上げて、背中を押さえた。その後亜湖は、香のポニーテールを掴んで鉄柵に振り、すぐに追い掛けた。香は鉄柵に背中から激突し、声を上げた。亜湖はリングサイドに急いで登り、そこから香に向かってジャンプした。
香は亜湖がリングサイドに登ったのに気付いたので、
「飛ぶ気? ココ(丸紫)では返してくれって言ってるようなものよ」
と思ったがあえてそれを受けるのも悪くないと思った。勿論返すが―――。その為にすぐに立ち上がれるような体勢を取ったが、そこに亜湖が飛び込んで来た。

信じられない事が起こった―――。
亜湖が馬飛びの様な体勢で立ち上がった香の顔に股間をぶつけた。
香は倒れずに受け止めて二歩下がった。端から見ると逆肩車の様に見えた。
亜湖は股間を香の顔にぶつけた痛みと、恥ずかしさというか何とも言えない感情が湧いてきて、香の肩に跨ったまま顔を真っ赤にして両手で顔を覆い首を左右に振った。
一方香は亜湖の股間が飛び込んで来たので顔を横に向けて受けたが、正面は股間が、左右は太股に挟まれ、目の前が真っ暗になった。少し首を回すとパンティの布の感触が肌に伝わった。
香は訳の分からない怒りがこみあげてきた。
カメラに映されてるのを知っててここまで狙ったのかこの女―――。亜湖はやられている姿が似合ってるのに―――。
「こ、この!!」
香は言い掛かりとしか思えない怒りに任せて、そのままパワーボムをするように亜湖をマットに叩き付けた。亜湖は大の字になって動かなくなった。
メイドのレフリーが急いで下りてきて香を制止した後亜湖の様子を確認した。亜湖が腕を動かしたのでメイドは試合を続行した。

香は亜湖の髪を掴んで起こし、放り投げるように鉄柵に振った。亜湖は勢い良く鉄柵に激突し、
「あああっ!」
と声を上げ、ドスンと腰から落ちた。香は、
「随分しぶとくなったわね」
と吐き捨てると亜湖の髪を掴んで起こし、さっきと同様に鉄柵に亜湖の頭を叩き付け、その後正面を向かせて髪を掴み、腹に膝を入れた。
「あうっ、あうっ!」
亜湖の膝が崩れ落ちると背中を鉄柵に叩き付けて香も鉄柵を掴んで膝で亜湖の首をえぐるように押し付けた。亜湖は香の膝を両手で押さえ、離そうとしたが、離れなかった。

15分経過―――。
香は時間を聞いて少し焦りを感じた。
「25分持てば―――ね」
生徒会長の言葉が気になり始めた。
「まだあと10分あるじゃない。亜湖よりは私の方が体力残ってるわ」
香はそう思った。それから亜湖の髪を掴んで起こして抱え上げ、鉄柱に背中をぶつけた。そして先程マットを剥がした所にボディスラムで投げ捨てた。
「あああーっ!」
亜湖は上体を反らして背中を押さえて声を上げた。香は鉄柵の外に出て椅子を畳んで積み上げて、鉄柵内に戻り、亜湖の髪を掴んで起こし抱え上げた。そして鉄柵の外に出て椅子を積み上げた所に亜湖を投げつけた。
「あああっ!」
亜湖は声を上げた。そして椅子の山は崩れ、亜湖も滑り落ちた。亜湖は背中と頭を押さえて横たわった。
「フフッ、疲れて来たしそろそろ―――」
香はそろそろいいだろうと思った。後でもう一度弓矢固めを掛けると言った。つまり、亜湖とさくらと最初会った時に思った、ブラジャーが"取れてしまったら"どうなるのか―――?
亜湖の髪を掴んだ時ブラジャーのホックは片方外れていたのが分かったが亜湖は気付いていなかった。
香は周りを見渡した。しかし、偶然それを出来そうな物は見当たらなかった。亜湖が立ち上がると香は亜湖の胸に蹴りを入れた。亜湖はフラついたが倒れなかったのでもう一発入れた。亜湖は香の足を捕まえたので香はそのまま軸足でジャンプし、亜湖の後頭部に蹴り―――延髄切りを入れた。亜湖は香の足を離したが倒れなかったので香はもう一発胸に蹴りを入れ、直ぐにドロップキックを見舞った。亜湖は吹っ飛んで机に激突し、机と共に崩れ落ちた。
香は額の汗を拭ったが顎からは汗が滴り落ちた。体操服は完全に濡れ、まるでこの格好でプールにでも入ったかの様だったが、まだブルマはずぶ濡れでは無かった。
香はブルマを直し、倒れている亜湖を捕まえに行った。
亜湖は倒れた机にもたれかかった状態で、頭を鉄柵につけて完全に顎が上がっていた。片膝を立てて、激しい息遣いをしていて胸と肩が大きく動いていた。
そして、左手で肩から外れたブラジャーのストラップを直そうとしたがその時、ベルトが背中の方から抜けて揺れた―――。
香は亜湖の髪を掴んだ。

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