母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 妄想を誘う肢体7

 早めの夕食も終り、することもなく時間だけが過ぎて行く。まだまだ時間は十分にあると思っていたが、時計はすでに六時を指していた。
「DVDでも見るか、龍一の持って来た……」
 虚しさを紛らわすため、耕平はDVDを見るため自分の部屋に上がった。

 今日持ってきてくれた作品は、ヒロインは昨日の物よりさらに若い。十代と思われる女性が、セーラー服のコスプレで四十代のオヤジに犯されていた。まるで耕平の父親とまさみの歳の差位だ。そこに若い男も乱入し3Pが始まる。
『いい、いいの。どっちもいい。どっちのチ○ポも……いい……』
 淫乱娘の声が、一人の部屋に響き渡る。画面の中では、少女が中年男性と若い男の怒張を舐め、うっとりとした目で言う。
『入れて、後ろから入れて……。口も、お口も犯して……』
 耕平はすでに、股間を大きく膨らませていた。股間の物を取り出し、手で摩る。鈴口から透明な先走り汁を拭い棹に塗りつける。
「奈緒……」
 つい口走ってしまう。それと同時に、握り締めた手に力が籠もる。耕平は、画面の少女と奈緒の顔を重ねていた。
(こんなことしていいのか? 彼女はオヤジの嫁さんだぞ)
 一瞬、後悔の念が浮かぶが、妄想を止めることはしなかった。

 画面の中では、少女が中年男に背後から犯され、若者の物を口に咥えている。喘ぎ声を上げる少女の顔が画面いっぱいに映し出された。
『ああん、あん……。い、いいの、いい……』
 喘ぎ声が妄想と絡まりあい頭の中をグルグルと駆け巡る。
(俺がいない間、毎晩してたのかな? オヤジとアイツ……)
 妄想を膨らませ、裸の奈緒を思い浮かべ肉根を握った手に力を込めた。
(だめだ。こんなこと考えちゃ……。あいつは家族なんだぞ)
 耕平は、妄想を振り払うように首を横に振る。しかし、妄想は頭から離れようとはしない。
(いやっ、俺は認めてない……。アイツはただの同居人なんだ。アイドルが家に同居してるだけなんだ)
 耕平は、妄想を肯定する理由を考えて仕舞う。
(男ならみんな、アイツでマスターベーションしてるはずだ。あいつをオナペットにしてるヤツなんか大勢いるはずだ。オレだってその中の一人に過ぎないんだ)
 股間の物を鎮めるには、身体の中に溜まった熱い滾りを解き放つしかない。耕平は自分の行為を肯定し、肉棒を摩る手を速くした。

 昨日から、何度目の射精だろう。しかし、中から中からと淫欲が湧き上がってくる。股間の肉根は、すぐに立ち上がり硬さを取り戻す。
「ちきしょう。アイツが来てからなんか変だ、オレ……」
 耕平は、再び目を画面に向けた。頭の中は、黄色い妄想の霞が掛かっていた。



 髪は三つ編みに戻し、メガネを掛けたまさみが一人で帰ってきた。マネージャーとは、一本通りを離れたところで分かれたらしい。一時も早く家に帰りたくて、淡い化粧を残したままの半分奈緒、半分まさみの姿で帰ってきた。
(髪を解きメガネを外したらあの星野奈緒になるんだ……)
 耕平は、まさみの顔をじっと見た。
「耕平君、風呂は終わった?」
 まさみは、耕平の視線に気付き訊ねた。
「ああ、入ったよ」
「じゃあ私、風呂入るね。やっぱり変だよね、お化粧してる私って……、普通の十七歳ってお化粧しないよね」
 まさみは、耕平の視線を化粧のためだと思い込んだ。画面を通せば判らないほどの薄化粧である。いやっ、画面に映る奈緒の素肌を美しくスッピンに見せるための化粧である。しかし、家庭の中で化粧をしていることを嫌に思い、早く洗い落としたいと思ったのだ。

 まさみは、編んであった髪を解きメガネを外した。一瞬にして、まさみから星野奈緒へと変わった。耕平を惑わす残像を残し、まさみは脱衣場に消えていった。



 龍一は、普段から無免許で運転している父親のワンボックスカーを耕平の家の裏に止めていた。まさみが帰って来るのを確認し、受信機の電源を入れる。そして、送られてくる映像を監視した。

 しばらく待つと、脱衣場のドアが開く音に続いてスラリとした伸びやかな脚が画面に映し出される。
「おおっ、入ってきたぞ。まさみちゃんだな……」
 画面に足を滑り落ちるスカートの映像が映し出される。服を脱いでいくまさみの下半身を、洗濯機の影に仕掛けられたレンズは鮮明に捉えていた。
「しめしめ、何にも気付いてねえや。脱ぎだしやがった」
 龍一は、無線カメラから送られてくる映像をモニターで確認し、ビデオのスイッチを押した。

 ガサガサと衣擦れの音が聞こえる。ブラウスを脱いでいるのだろう。下半身しか映さない画面は、龍一の空想を助長する。しかし今日の目的は、太腿の付け根、そこにある黒子を確認することである。
「早く下を脱がねえかな……」
 龍一は、ゴソゴソとカバンの中を探す。父親から手に入れた写真を手に取り、視線を再びモニターに向けた。画面には、今まさにパンツを脱ごうと手を掛けている映像が映し出されていた。

 龍一は星野奈緒の太腿付け根に黒子の写った写真を手に、モニターの画面を食い入るように見詰める。パンツが下ろされ、股間の淡い茂みが現れる。しかし、太腿は閉じられていて、肝心の黒子がある場所が見えない。
 チェッと龍一は顔を顰めた。その時、まさみが風呂のドアを開き、足を一歩、前に踏み出した。その瞬間、硬く綴じた縦裂と共に太腿の付け根が露になった。
「あった、黒子が。……やっぱり星野奈緒だ……」
 龍一が確証を得た時には、まさみはもうバスルームに消えていた。
「出てくるのを待つか。もう一度、ケツを拝めるかも……」
 龍一は、バスルームに消えていく瞬間に見たまさみの丸く引き締まったお尻の膨らみを思い出しにやけた。

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