母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 不幸の包囲網4

「よっ、田中。久しぶりだな」
「こ、小林さん……」
 マネージャーの田中は、久しぶりの再会に顔を顰めた。奈緒がデビュー当時、写真集の撮影をしたとき以来だ。余り会いたくない相手である。撮影時、奈緒に卑猥なポーズを要求し泣かせ、それ以来、彼には仕事を頼まなくなっている。田中は嫌な思いを、露骨に顔に出した。

「コイツは俺の息子の龍一だ。よろしくな」
 龍彦は、マネージャーのそんな態度も意に介せず龍一を紹介した。
「何の用だ? こっちには何も用は無いが……」
 田中は、ぶっきら棒に言う。奈緒の仕事振りにも不満があったし、小林の出現がそれに輪を掛け田中を不機嫌にさせた。
「そんなに奈緒を怒ってやるなよ。奈緒には奈緒の事情ってもんがあったんだよな。フフフ……」
「じ、事情って……」
 龍彦の知った素振りに、田中は不審げに顔を顰めた。まさみも二人の出現以来、何かに脅えているような表情をしている。

 その時である。まさみの中で、前後のローターが同時に唸りをあげた。
「あんっ、ああん……。だ、だめ、だめえ……。と、止めて……」
 まさみは、悲鳴ともつかない呻き声を上げ床に崩れ落ちた。
「どうした!? 奈緒!!」
 田中は、奈緒に駆け寄った。引き起こそうと手を奈緒に掛けようとする。その時、田中は低い振動音に気付いた。
「なっ?」
「はうっ、はあ、はあ、はあ……」
 驚き目を見開く田中に、奈緒の荒い息遣いに混じってブーーーン、ブーーーンと混じる音。驚きに手を出し損ねている田中を出し抜き、龍一が奈緒を引き起こした。

「『強』の味はどうだ? 本番中は『弱』で許してやったが……。『最強』を味わってみるか?」
 龍一は、スイッチを切ると耳元で囁いた。
(『弱』でも、あんなに……)
 まさみの股間には、グッショリと濡れたショーツが張り付いていた。
(さっきのが『強』……? 『最強』にされたら……)
「だめえ……。そんなことされたら……」
(そんなことされたら、もう終り……。田中さんの前で逝っちゃう。もう……終わってるのかな? わたし……)
 瞼を閉じたまさみは、俯きじっとしている。
「奈緒、スカートを捲って見せてやりな」
 龍一は、まさみを見ずに言った。視線はマネージャーの田中に向けられている。ポケットに忍ばせた手は、ローターのリモコンを握っている。
「判ってるだろ? お前はもう、俺たちに逆らえないってこと……」
 耳元で囁かれる声に、まさみは背筋を凍らせた。
(逆らったら……逝かされちゃうんだよね)
 まさみの下半身は、すでに熱く熱を帯びている。
「はっ、はい……」
 まさみはスカートに手を掛け、そしてゆっくりと持ち上げていく。スカートが捲くられていき、ミルクを溶かし込んだような程よい肉付きの太腿が露になっていく。

「な、奈緒!? な、何してんだ?」
 田中は、龍一の命令に従うまさみを信じられない思いで見ている。龍彦は、田中の驚く様を見て言う。
「俺の息子、奈緒と付き合ってるんだ。こういう仲なんだよ」
「そ、そんなバカな」
「結婚相手がいるのに付き合ってるっておかしいか? えっ? 今も、もう同棲してんだろ」
「うっ、どうしてそれを……」
 事務所関係者、それも社長と星野奈緒に近い者、そして武内親子しか知らない筈のことを小林親子は知っていた。
「でも、俺の息子とも付き合ってるんだ」
 龍彦は、疑っている田中に追い討ちを掛けるように言った。

 スカートを捲くり、愛液で濡れたショーツをマネージャーに晒して立っているまさみ。俯き佇むまさみの太腿には愛液が垂れ、コードがショーツの中から太腿に止められたボックスまで伸びている。
「コイツ、もう処女でもないんだぜ。俺とも、息子ともやってる。先生の息子の耕平ともな……」
 ニヤニヤと卑猥な笑顔で、呆然とする田中に龍彦が教える。
「ば、バカな。あの先生の息子ともやってるのか? 結婚すれば、奈緒とヤツは親子になるんだぞ」
「それがやってるんだ。淫乱なアイドルだな、奈緒は……」
 龍一が田中の声を遮るように言う。
「ち、違います。わたし……、淫乱なんかじゃ、ない……」
「じゃあこれはなんだ?」
 龍一はまさみのショーツをずらし、ローターのコードを引っ張り引き出した。愛液と一緒に、ドロリと白濁液が漏れ出し太腿を伝う。
「ザーメンをマ○コに溜め込んで、テレビ出演するアイドルが淫乱じゃなくて、いったい何なんだ?」
「ひ、酷い……。これもみんな龍一さんが……」
 弱々しく顔を振るまさみ。強く逆らえば、もっと酷いことをされる不安がまさみを気弱にしている。

 田中は、もう一本コードが奈緒の股間から生えているのに気付く。
「奈緒……。お前……」
「ああ、コイツ、お尻も入れてるんだぜ。大好きなローター……」
 龍一は、お尻のローターのスイッチが入れられた。
「あん、だめ、だめえ……。お、お尻は……あんっ、やめて……あうっ、ううう……」
 まさみはお尻をクネクネと燻らせながら、甘い喘ぎ声を上げた。
(し、尻でも感じるのか? 奈緒……、お前……)
 田中はお尻で感じて喘ぎ声を漏らす奈緒を、声も掛けられずに見詰めているだけだった。

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