母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 染み込んでいく官能3

 キッチンに裸でエプロンだけを身に着けているまさみ。裸エプロン、龍一の指示だ。どこで龍一を待てばいいのか悩んだ。裸エプロンでリビングにいるのは似つかわしくない。恥辱が募るばかりだ。結局、龍一が来てもすぐ判るキッチンで待つことにした。

 一本の三つ編みにされた髪型、大きなメガネは崩さずにいた。いつもなら龍一に、髪を解きメガネを外すように命令されている。会う時は奈緒でいるようにと……。しかし今日は、まさみの家で会う。龍一への抵抗のつもりで髪型、メガネはいつも通りにしていた。言われれば、髪を解きメガネを外せばいい。それまでは、まさみのままでいようと……。後に束ねられ顔の輪郭を露にした髪型とメガネはまさみを、奈緒の時より幼く見せる。幼く可愛げな顔に、大きな胸、丸みを増したお尻、そしてすっきりと括れた腰。それを隠すのは、頼りない小さなエプロンだけだ。いつも通りのつもりが、裸エプロンをより卑猥に見せた。まさみは恥ずかしさと不安に頬を染め、俯きじっと佇み龍一を待った。

 9月だというのに、日中はまだまだ暑い。エプロン一枚でも、まさみには熱く感じる。恥辱に火照った身体は、ほんのりと朱に染まり汗ばんでいた。時計は12時を廻り、待つ時間がこんなに長く感じられるとは思いもしなかった。その時、玄関のチャイムが鳴った。きっと龍一が来たに違いない。まさみは、エプロンの前を手で押さえ玄関に向かった。

 ドアを開けると龍一が入ってくる。しかし、その後に人影が……。
「えッ!?」
 龍一の後にいたのは、耕平のバンド仲間・及川と柴田だった。
「まさみちゃん、久しぶり」
「うひょー、裸エプロンじゃん。龍一の言ってたこと、本当なんだ」
 及川と柴田が眼を輝かせ、玄関に入ってきた。その後にはさらに男たちの影、初めて見る顔の男、四人が続いて入ってくる。
「うっ、嘘ッ! どうして?」
「一人じゃガマンできないだろ? まさみの淫乱オマ○コは……。仲間を連れてきてやったぜ」
 龍一は、ニヤリと口元を吊り上げた。
「おっ、メガネっ娘! 萌〜〜〜なんだな」
「お前、メガネフェチか。でも、かわいいな」
「あの娘を抱けるの? あんなかわいい娘で童貞捨てれるなんて、ラッキー」
「顔、ちっせえ……、脚、長いし……胸、でけえ!」
「あんなかわいい娘が犯らしてくれるの? 本当に?」
 及川と柴田の後ろからヒソヒソ声で、まさみを見た感想を思い思いに喋ってるのが聞こえてくる。ある者は期待に男たちは声を上擦らせ、またある者は半信半疑でまさみに視線を投げ掛けている。エプロンの小さな胸当てでは隠し切れない豊かな双乳、鋭く括れた腰、前垂れから伸びたナマ脚に、容赦ない視線が突き刺さる。
「い、イヤッ! そんな……」
 龍一が一人でない事に、まさみはたじろぎ後退る。耕平の友人、それに知らない人達……、男たちのまさみを値踏みするような視線に恐れさえ感じる。まさみは胸と股間を小さな手で隠し、じりじりと後に下がった。

 及川と柴田の影からまさみに視線を投げ掛ける男たちは、及川たちに『童貞を捨てさせてやる』と連れて来られたのだ。オタクっぽい風貌でいかにも女性に縁の無さそうな男、真面目ながり勉風で女性とは一度も付き合ったことの無さそうな男ばかりだ。しかしまさみに、そんなことを感じる余裕は無かった。オドオドとした態度とは裏腹に、及川と柴田、二人の影からギラギラと性欲を滾らせた視線をまさみに向けている。刺すような視線が、まさみの恐怖心を煽る。
「コイツ等なら心配ないぜ、口は堅いから……。女にもてないヤツばかりだから、しっかり溜め込んでるぜ、まさみちゃんの大好きなザーメン! 大好きなんだろ?」
 及川が靴を脱ぎながら言う。
「いっ、いやあ……」
「嫌がるのも演技なんだろ? 龍一から聞いてるぜ、レイプされるシュチュが大好きなんだって?」
 柴田も笑顔でまさみを見詰めている。先日、龍一との性交を盗み聞きしている二人は、まさみとのセックスを夢見ていた。龍一にセックス好きたと吹き込まれ、まさみを犯りたいという願望と嘘でも良いからそうあって欲しいと言う願いが、それを信じ込ませた。連れて来られた四人も同様である。日頃、女に縁の無い男にとって、すごくかわいい娘がセックスしてくれるという謳い文句は魅力的であった。半ば嘘でも良いからと思い、付いて来たのだ。実際のまさみを見た男たちはその清楚な可愛さと裸エプロンというエロさのアンバランスに、もうセックスすることしか考えられなかった。

「それも一回じゃガマンできない好き者、輪姦願望の女だってな……」
 龍一がまさみの心を折るように冷たく言葉を付け足した。
「この前、まさみちゃんに会った時から夢だったんだ。その大きな胸でパイズリしてみたいって……」
「オマ○コの締め付けも最高だって? 龍一から聞いてるぜ」
 及川と柴田が、ニヤニヤと涎を垂らさんばかりににやけている。
「お尻も使えるんでしょ? 使っていいんだよね」
 落ち着きなさげに言うのは、ニキビ面のオタク男だ。
「ダメェッ!」
 イヤイヤと顔を横に振り、じりじりと後退しキッチンまで逃げたまさみ。これから行なわれることの恐ろしさに、顔は血の気が引き蒼ざめている。胸と股間を手で隠し、身体を捩りながら一歩一歩退く。無意識にエプロンの胸当てを握り締めるまさみ。胸当てがまさみの手の中で皺になり、中央の谷間に引き寄せられ乳頭が顔を出す。
「おっ! 乳首丸見え」
「いやっ! 見ないで!!」
 まさみは慌てて腕でバストを隠した。
「ほ、本当にいいの? 犯っても……」
 まさみのあまりの真に迫った表情に、図体はでかいが気の弱そうな男が不安げに確認する。
「今日は特別だ。一週間抱いてやらなかったら、欲求不満が溜まったらしくてよ、一週間分セックスしてくれなくちゃ許さないってさ」
「嫌がってるみたいだけど……」
「演技だよ、演技! 本当は興奮してんだぜ、コイツ。レイプされること想像して……」
 嘘を並べ、男たちの躊躇を取り除く。
「今日だけだぞ。勝手に犯ったらただじゃ済まさないからな。俺の女を……」
 釘を刺すことも忘れない。

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