母はアイドル
木暮香瑠:作

■ 明かされた秘密3

 深夜、まさみが家に帰った時には先生は既に床に就いていた。まさみに余計な気を使わせないためにも、今まで通りの生活のリズムを守っている。まさみが帰るまで起きていたら、早く帰らなければと余計な気遣いをさせてしまう。まさみが仕事に打ち込めなくなってしまう。そんな思いがあるからだ。

 誰もいない静寂のリビング……、罪悪感と虚しさがまさみを責める。先生に嘘をついている、あんなに愛してる先生に……。耕平君を苦しめている、全てを知っていて優しく見守っていてくれる耕平君を……。心臓を握り潰されるような心苦しさにまさみが佇んでいると、トイレの為二階から降りてきた耕平と顔を合わせた。
「今帰ったのか?」
「うん……」
 出かける時、仕事は早く終わると言っていたまさみ。気まずさが込められた返事を返す。龍一の所から帰ってきたことに気付いている耕平も、気まずさに後の言葉が続かない。慰めるべきか……、それとも龍一とのセックスに満足して帰ってきたのか耕平には計りかねている。

 気まずさを振り払うようにまさみは、耕平に言った。
「今日もいっぱいセックスしちゃった……」
 そして耕平の肩に手を置き、娼婦が男を誘うように上目遣いに台詞を続けた。
「耕平君、抱いて。し足りないの……、身体の熱が……まだ冷めないの。熱いの……、火照ってるの、身体が……。抱いて! して!!」
 龍一の命令通り、耕平を誘った。龍一の命令に逆らえば、これから火照った身体を沈める手立てが無くなる。もう抱いてもらえないかもしれない、そんな不安がまさみを、行動に駆り立てた。
「めちゃめちゃにしていいよ、わたし淫乱だから……。抱いて!」
 耕平を誘いながら、ワンピースのボタンを外していく。開かれた胸元から、深い谷間が現れる。ブラジャーを押し上げると、双乳がブルンと揺れ耕平を誘う。量感が増し、そして柔らかそうにそよいでいる。
(龍一に揉まれて……大きくなったのか? 柔らかくなったのか?)
 出会った頃よりも量感を増し柔らかそうに揺れる胸が、耕平に嫉妬心を起こさせる。

「セックス無しじゃあ、身体が疼いてどうしようもないの。一日何回も精液、欲しいの。オマ○コの中に……。セックス無しじゃあ、生きていけないんだ。淫乱だから……」
 ワンピースの裾を捲くり、薄い布に包まれた膨らみを耕平に晒す。パンティには染みが出来ている。耕平に抱かれようと決めた時から、子宮は疼いていた。そして愛液を滲み出していた。
(ああ、もう濡れている……。本当の淫乱になっちゃったんだ、わたし……)
 濡れた布地は恥丘に貼り付き、縦筋の形をはっきりと見せていた。
「嘘じゃないよ。本当の淫乱だよ、わたし……。ほらっ、こんなに濡れている……、耕平君に抱かれると思うと……」
 そう言いながらパンティをずり下げる。露に煌く繊毛が、耕平の目にも見て取れる。まさみは、それを見せ付けるように腰を突き出す。
「耕平君が女にしたおマ○コだよ……。だ、抱いて……。ほらっ、濡れてるでしょ? セックス無しでは我慢できないの……」
(耕平君のおチン○ンなら……、わたしを満足させてくれるかもしれない。耕平君の若いおチン○ンなら、龍一さんと同じくらい絶頂を味わわせてくれるかも……)
 淡い期待を持ちながら耕平を誘った。一度、抱かれることを覚悟した身体は、すでに準備を整えていた。身体の中心から火照りだし、お腹の奥が疼く。
(鎮めて、わたしの火照り……。龍一さんのおチン○ンを入れたい。突かれたい、掻き回されたい、おマ○コを……。でも今は無理だから……耕平君、入れて! 逝かせて……)
 しかし耕平はまさみの顔をじっと見詰め、口元をギィッと噛み締め黙ったままだ。
「ここじゃイヤ? わたしはここでもいいよ、リビングでも……。イヤなら耕平君の部屋でする?」
 ワンピースの開かれた胸元から覗く双乳、捲くられた裾から晒す恥丘がゆるゆると揺れている。太腿に引っ掛かったパンティが卑猥さをいっそう増長する。
「ねえ、こんなに濡れてる。わたしの準備は出来てるよ。耕平君がしてくれないなら、これから街に出て誰かにしてもらっちゃうよ。誰でもいいんだ、おマ○コしてくれるなら……」
 虚ろな瞳をゆっくり閉じ、キスをねだる様に口元を耕平に向けた。

 パチンッ!!

 まさみの頬に、耕平の掌が飛んだ。誘惑に負けそうになる気持ち、折れそうな気持ちを振り払う耕平の必死の抵抗だった。

 我に返ったまさみの瞳が大きく見開かれる。その瞳に、耕平の真剣な顔が映り込んでいる。
「ううっ……、ごめんね」
 まさみは、それだけ言い残すと自分の部屋に、逃げるように走っていった。
「嘘つくの……、下手すぎるよ。嘘つくの……。誰でもいいなんて……」
 耕平には判らない。抱かれたい相手が、龍一なのか親父なのか……、それとも自分なのか……。耕平は、階段を登っていくまさみを見詰めていた。歪んで映るまさみの後姿を……。

(わたし……、耕平君を利用しようとしてるだけなんだ。龍一さんとのセックスと同じ絶頂を味わいたくて……)
 自分の部屋に飛び込んだまさみは、締めたドアに背中を預け、耕平を誘惑したことを後悔していた。
(先生が寝ている家で……先生の息子の耕平君にセックスをおねだりするなんて……)
 隣の部屋では先生が既に床についている。罪の意識に、胸がドクンドクンとマグマのように泡立っていた。
(龍一さんに言われたからって……、耕平君におねだりするなんて……。自分が気持ち良くなりたいからおねだりするなんて……。耕平君はわたしの息子なのに……。うっ、うううっ……)
 まさみはベッドに倒れこみ、シーツを涙で濡らした。

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