家畜な日々
非現実:作

■ 〜愛しき繭〜18

「残念だったねぇ、公衆便器繭〜」
「ぅっくう!?」

あえて赤になるように調整して運転いるとしか思えない程、赤信号に引っ掛かる。
この度重なる羞恥に、顔を背けるしか抵抗出来ないのだ。
そんな私を楽しそうに眺めるユウジは言う。

「大丈夫だって、スモーク貼ってるんだから外からは見えないよ」
(そ、そんな事言われたってぇぇ……)
「僕の車によく乗ってるんだから知ってるだろぉ?」
「でぇ…っもぉ!?」
「まぁ、そんなリアクションは大歓迎だけどね」
「ひ、どぃぃ…よぉ」

免許を持たない私には、今までの経路を見てても何処へ向かっていたのか理解出来なかった。
ようやく「あぁ」と解ったのは繁華街へと続く道程だった。
そして繁華街に入ってからは、覚えのある小道を曲りくねり車はゆっくり止まった。
(ムネさんの……お店?)
変態家畜雌豚由紀の一所有者でもあるムネさんの店の前で車は止められたのだ。

「とりあえず服買ってくるからさ、待ってなよ」
「え…ぇ?」
「すぐ戻るって」

取り残されるという不安に全身を震わせて私は叫ぶような声でお願いをする。

「いゃっぁ、ユウジ様ぁーーっ、いやぁぁっ!!。
お願いだからお願いですから…置いてゆかないでっぇ!!!」
「ふふっ」

ユウジは苦笑しながら、まるで子供をあやす様に私の頭を撫でながら言うのであった。

「心配要らないよ、鍵は掛けるし5分で戻るから」
「ぃや…ぃぃやぁぁ〜いゃぁぁ〜〜〜」
「ふふふ、何て可愛い公衆便器なんだろぉなぁ〜〜。
大丈夫だよ、僕は君を永遠に公衆便器として愛すからね。」

そしてユウジは運転席のドアを開けて、外へと出て行ってしまったのだった。
こうなってしまうと、もはや声を発するのも恐ろしい……。
スモークガラス越しにムネさんのお店に入って行くユウジ様を目で追うしかなかった。
(お願いだから……早く帰ってきてぇぇぇ)
こんな事をした当人を待ち侘びるしかないの……。
だって私は人として外れた存在の、公衆便器なのだから……。

車内のデジタル時計は見る度に1分をようやく刻むというじっれったい物…… ……。
(ようやく4分?)
週末ではないのに繁華街は街唯一の遊び場という事もあって、行き交う人の数は凄く多かった。
皆が皆、男も女も、現実を忘れる為に遊び歩いている。
スモークは貼られている物の……外の罵声や歓喜は否応無く耳に通るもの。
快楽に満ち溢れた繁華街を闊歩する酔っ払い達の賑やかな声が私の耳を打つのだった。
そんな人達が車の横を千鳥足で通り過ぎて行くのだ。
相変わらず露出されたまま拘束され続けている私は、息を殺すようにじっと潜み通り過ぎるのを待つしかない公衆便器っぷり(?)。
とにかく……主であるユウジを待ち続けるしかなかった。
そんな雑踏の中、数人の聞き覚えのある声に反応した。
いや……聞き覚えあるというレベルじゃない……。
(パパっ?)

背けていた顔を恐る恐る助手席のドアへと向けた。
…… …… ……間違い無くパパだ。
それに続くのはユウジのお父さん。
そして先行するのは……水色の開襟型ブラウスに黒のカーディガン、そして白のパンツの変態家畜の雌豚由紀だった。
(ぇ…えぇぇっ、何でっぇ!?)
ユウジの狙いなのか、それとも偶然なのか……突拍子も無いシュチュエーションに理解が出来ない。
その時丁度、ユウジが小脇に抱えたラッピングされた荷物を抱えて出てきたのだった。
丁度、私が乗っている車の直ぐ傍だった。

「ユウジ君じゃないか」
「あっぁ!」
「何だい、いきなり大声で?」
「い、いえ……偶然ですねぇ」
「そうだね、あれっ繭は?」
「いや、その……あの繭ちゃんは僕の家で……」

何とも苦しい嘘。
かなりシドロモドロなユウジだった。

「お、大野さんは……その、雌豚由紀の調教ですか?」
「まぁね、今日はちょっと大人しめな服装だけどね、デジカメ用意したんだよ」

パパが胸ポケットからデジカメを取り出しながら言った。
CMでもよく見かける最新式のデジカメ……これにはかの雌豚由紀の痴態が納められているのだろう。

「へへへ雌豚由紀…今日もいい感じに雌豚だねぇ?」
「あぁん…ごめんなさぁぁいぃ、雌豚由紀はぁぁ〜〜〜〜。
オ○ンコに吊るされちゃった鈴ネぇ、鳴らしちゃうのぉっぉぉ!。」
「コラァ、変態家畜雌豚由紀〜〜、もう陥落か?」
「ぁ〜〜ぉおおっぅ、はっぁ、ンぅぉ…ぅ〜〜〜感じちゃぁぁ〜〜。
うんぅんぅんっぅ……はっぁはぁはああぁ……。」
「だらしないなぁ、変態家畜の雌豚由紀!?」
「ンぅふっぅ……ごめ、ごめンなささぁいぃぃ…ぃぃ」
「嬉しいのか!?」
「うれ、う…嬉しいぃ…で〜〜っぇぇしゅう」
「凄いですねぇ大野さん、もう雌豚由紀は完全に服従してますよ」
「ふふふ、次の調教が楽しみだよ」
「出来れば、参加したいですねぇ」
「その前に繭とちゃんとしてくれればな」
「それは勿論」

助手席に拘束され、あられもない姿を晒し、私はパパとユウジの話に……小さく首を振った。

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