和世の性
あきんど:作

■ 7

行為の後、和世は私とは目をあわそうとはしなかった。
シャワーを浴びようとバスルームに誘ったが和世は何も言わずベッドに横たわったままだった。
シャワーを浴びながら逃げられることを考えたが、カメラで撮影したフィルムがあるのを思い出し、安心していたのだった。
私の知るところでは彼女は郊外のマンションで一人暮らしをしているはずだった。
彼女を私は車に乗せて家まで送ろうとしたが、家を知られるのが嫌なのか途中の駅で降りていった。
その間何も言わなかったが、二人の関係は最初のときとかなり変わっていった。

3日ほどたった金曜の朝、例の予定の日だ。私は社内でわざと用事を作り和世に近づいた。
島田「田中さん、今度のプレゼンの資料だよ、目を通しておいて…」
私は彼女の書類と一緒にメモも渡した
そこにはこう書かれているはずだ。
(今日仕事終わったら、ここで待ってておいて、この間のビデオカメラの画像渡したいんだ)
彼女はメモを読んでるのを横目で見ながら仕事についた。
彼女は唇をかみながら迷っているようだったが、まぁ必ず来るだろう

案の定彼女は、待ち合わせした喫茶店で待っていた。
今日はピンクのTシャツにジーンズという格好だった。露出は少ないが体の線がよくわかる。
私がテーブルbについても彼女は口を開こうとしない。
島田「はい、これ、この間の撮影したディスクだよ」
私は彼女の前にディスクを置いた
和世「コピーしてるんでしょ?」
あきらめたように小さい声でそうつぶやいた
問い詰める様子ではなさそうだった。
和世「どうしたらいいんですか? 教えてください、どうしたらこんなことやめてくれますか?」
私は無言で注文していたコーヒーを飲んでディスクをかばんになおそうとした。
和世「一応これはもらっておきます」
彼女はディスクをショルダーバックの中に入れた。
島田「今日はちょっと付き合ってほしいんだ、ディスクもそこにある。」
和世「やっぱり、ディスクはこれだけじゃなかったんだ」
島田「もちろんさ、だけどコピーしたのは君が持っている1枚だけさ」
和世「本当?」
彼女はさぐるように私の顔を見つめた。
島田「本当さ」
彼女はディスクを取り返そうとしているのだろうか。私の車に乗り込んだ。
車の中でディスクがないか探しているのがよくわかった。あちこちに視線を送っているからだ。
車は高速を走り、都心からどんどん離れていく。
1時間後、車を今日の舞台になる古びた洋館に到着した。
建物に入るとナンシーが出迎えてくれた、この屋敷の主だ。
ナンシー「いらっしゃい、早いわね島田さん。」
島田「ああ、まだちょっと用意ができてないんでね」
ナンシー「あら、後ろにいるのがうわさの和世ちゃんね、はじめまして…」
和世は探るような目線で周りを見ているが無言だ。
島田「ちょっと、支度部屋にいる、用意ができたら来てくれ」
島田「それと和世、ディスク原版はここにある。」
私はスーツの内ポケットに手を入れて、メモリーカードを出した。
島田「このカードが原版だ。あとでな」
私は2階にある支度部屋に上がっていった



島田が去ってから……………始



ナンシーと二人きりになった和世
ナンシーは和世を別室に誘った
ナンシー「かわいそうに」
和世「ここはいったいどこなんですか? どうしたらいいのか、私ぜんぜん…」
ナンシー「あなたが映ってるビデオ見たわ、私あなたに同情してるの、同じ女性として許せないわ」
和世「でも、あんなに島田さんと仲良く話してた…」
ナンシー「これ見て頂戴…。」
ナンシーは部屋にあったDVDプレイヤーの再生ボタンを押した。
テレビに映像が流れる…。
そこにはナンシーらしき女性がカメラの前でインタビューを受けている
インタビューしているのは島田。ナンシーは乱暴な言葉でねちねちと攻められている。
ナンシーは停止ボタンを押してこういった
ナンシー「もうたくさん。私、脅されて仕方なくしたがっているふりをしているの。ディスクの原版を取り戻す隙を窺っているのよ」
ナンシー「あなたもそうでしょう?」
和世「う、うん。でもどうしたらいいか?」
ナンシー「あなたのディスクはあの男が今持っているから…。」



島田が去ってから……終

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