君の瞳の輝き
あきんど:作

■ 第二部10

そのころ隣室ではソファーにどっぷり腰を落としている近藤と桐嶋の姿があった。
近藤「どうだい。なかなかうまく行ったようだな。」
桐嶋「そのようですね。ありゃかなりの上玉だ。車の中でもけっこう少女独特の匂いさせててこっちは理性を失うところでしたぜ」
近藤「あぁだろうな。大人には出せないいやらしさがあるしな」
 近藤は身を乗り出し桐嶋の耳元でこういった・
近藤「だがな、なかなか撮影にうんとは言わないところがなぁ・・」
 近藤は腕組みをして考え込んだ。
桐嶋「ですね。結構ここまでほねがおれましたぜ」
近藤「何かいい手でもないか?まだまだあの子は使えるぞ!」
桐嶋「薬でも打って漬けますかい?それとも何か彫りますかい?」
近藤「ばかやろう。そんなことしたらせっかくの生娘が台無しじゃねーか」
桐嶋「それもそうですね。すんまへん」
近藤「まあいい。ところで倉田のほうはどうなっとる?」
桐嶋「その辺は抜かりがないよう若いもん使わせて手を打ってあります」
近藤「そうか、二言目には倉田倉田って・・うっとおしい」
 近藤は険しい顔をして舌打ちをした。
近藤「まぁ崩せるならあの父親だな。正確には母親のこれだがな」
 近藤は親指を立てて桐嶋の前に突き出した。
桐嶋「あの、男ですかい。あれはかなりあの子にに入れこんどりますな。ほっといたら襲うかもしれませんぜ」
近藤「うん。それはわかっとる。まぁあの男がいることで鈴がこっち側に来とるわけだから意外と使えるぞ!」
 近藤は悪どい笑みを浮かべていた。
桐嶋「まぁ今回はなんとか撮影にまでこぎつけてあとはどう料理するかですな」
近藤「まぁ一応、考えてはいるがな。うまくいくかは桐嶋、お前にかかっとるぞ!頼むぞ!」
桐嶋「へい、わかりやした。精一杯やらせていただきます」



 それから1時間後、鈴は部屋で食事をしていた。
 たくさんの海の幸と暖かい料理に鈴はつい微笑みももらしていた。
近藤「鈴ちゃん。将来は何になるつもりだい?夢とかあるのかい」
鈴「うーんと・・私は・・特に。」
 鈴の脳裏には父親を死なせてしまったことへの悔いの気持ちがあった。
 こんな自分が将来の夢など語れる資格があるだろうか。鈴の心の中に常にその気持ちがあった。
 そのときだった。近藤の携帯が鳴った。
近藤「おう、俺だ!”どうした?」
 近藤は黙って聞いていたがやがて大きな声で
近藤「何!倉田さんが!」
 隣にいた桐嶋は黙って酒を飲んでいた。
近藤「鈴ちゃん。倉田さんが交通事故で今、病院に運ばれたって・・」
鈴「えっ!それで・・」
近藤「うん。何か危ない感じらしい。心配だね」
 鈴は言葉を出せないくらい頭の中は倉田のことでいっぱいだった。
近藤「ちょっと病院に電話してどういう状態か聞いてくるよ」
 近藤はあわてて部屋から出て行った。
 残された鈴は黙って酒を飲んでいる桐嶋と二人きりになった。
桐嶋「ところで鈴ちゃん。」
 霧島がしばらくたってから言った。
桐嶋「ちょっと明日の撮影の前にリハーサルしようと思ってるんだけどいいかな?」
鈴「えっ今からですか?」
桐嶋「うん。隣の部屋で・・すぐすむから」
鈴「えっ・・うーん。」
桐嶋「もう用意しちゃってて・・いいよね?」
 拝むようなポーズに鈴は仕方ないなという表情で「わかりました。」と答えた。
 その言葉をきいて桐嶋の表情はキツイ顔をして隣の部屋へと鈴を連れて行った。

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