黒い館
けいもく:作

■ 12.真菜ちゃんの失態4

 そのとおりでした。香子さんを責めれば責めるほどに、その身体に魅せられていく気持ちを抑えようもありませんでした。

「当番というのは、自分の身体でお館様を満足させなければならないのよ」と裕美さんは、言っていました。

「ここは、どの部屋にも鍵がついてないでしょ。それで以前は、お館様は好きな時に部屋にいって女性を抱いてもかまわないということになっていたの。

 そうすればね、お館様は、夜中の二時や三時に突然やってきて、女性をレイプしていくのよ、納得しているのだから、レイプとまではいえないかもしれないけど、でも、夜中に突然、襲われるのだからね。気にしすぎると、眠れなくなっちゃうしね。

 それもたまらないから、女性が一人ずつ交代でお館様の部屋でセックスの相手をすることになったの。

 だから当番の女性は、お館様が他の女性を襲わないようにしなければいけないのよ」

 由美さんの言っていることも理屈としてはわかりました。

「お館様が当番の人よりほかの人が、抱きたくなった場合は?」
 わたしは、聞きました『男心と秋の空』でした。

「そうね、お館様も好きあらば、ほかの女性を犯してやろうと思っているところがあって、完全には無理よね。でも普通は自分のベッドに裸の女が寝ていたら、まずその人に手をつけようとするものでしょ」

「わたしの時はね、部屋を抜け出そうとすると大きな声で、『ダメ』というの、そうすれば、『便所だよ』言って、ごまかそうとするから、帰ってきたときにキスをして、抱きついていれば大丈夫」
 愛子さんが言いました。

 女性ばかりのミーティングの場で、ずいぶんと悪し様に言われているお館様ですが、必ずしも、いつでも好きあれば、当番以外の女性を犯してやろうと思っているわけではありませんでした。

 お館様が香子さんをレイプしたのにはこんな背景があるのでした。

 その夜、お館様は、真菜ちゃんの脚を開かせて、よがる顔を見ながら気持ちよく腰を動かせていたのです。

 真菜ちゃんのように、若く引き締まった肉体を堪能するというのもお館様にとっては、また心地いいものでした。アクメに達したのを知り、しばらく休憩させてやろうと思い、股間から自分のものを抜いたのも真菜ちゃんを気づかってのことでした。

 もう少しだけ、真菜ちゃんのおっぱいと股間を舐めてから、精液を放てば、今夜も気持ちよく眠れるくらいに考えていました。

 ところが、お館様が抜いたのを自分の中に精液を入れたからだと勘違いした真菜ちゃんは、お館様に自分の乳首を咥えさせ、頭を抱え込んで、母親が子供をあやすようにしながら、すやすやと眠ってしまったのです。

『おれは赤ちゃんじゃない』と思ったのですが。

 咥えている乳首を強めに吸っても、真菜ちゃんは起きる気配をしめしません。

 ガブリと咬みつこうかとも思ったのですが、もし、それが裕美さんのおっぱいならためらわず咬みついていたのですが、真菜ちゃんだからこのまま寝かせてやろうという親心を持ってしまったのです。

 それで、とりあえず真菜ちゃんはあきらめて、感付かれないように腕をほどき、静かに廊下に出たのでした。

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