虜囚にされたOL
木暮香瑠:作

■ 罠に嵌ったOL11

 その頃、小林亮輔は太田幸造の息子の副社長・太田隆一に連れられ『バー・ヘブン』に向かっていた。太田産業での会議は難航し、次回会議に持ち越されていた。太田産業にとっても取引停止だけは避けたく、必死の延命工作を繰り広げた。何とか会議を引き延ばし、結論を次回会議に持ち込んだのだ。そして接待と称し、亮輔を飲みに誘ったのだ。

「面白い店ですよ。きっと小林さんも気に入りますよ」
 太田隆一は、腰を低くし亮輔を店に誘った。
「私はすぐ失礼しますから……」
 麻希との約束のことが気掛かりな亮輔は、気乗りしなかった。麻希の携帯に電話を入れても、電源が切られているようで連絡が取れない。亮輔は、隆一のひつこい誘いを断りきれず付いて来た。

 店の中に入ると、ボックス席入口の周りを数組のカップルが取り囲み中を覗いていた。周囲を憚らない喘ぎ声に誘われ集まってきたのだ。
「すごいぞ。見てみろよ。オマ○コしながらしゃぶってるぜ。それもすげえ美人……」
 男は、ギラギラした視線を投げかけている。
「でけえ胸してんな。しゃぶって貰いてえ……。お前もあれぐらいサービスしろよ」
「何言ってんのよ、ただの淫乱女じゃない。私は恥ずかしくてあんなこと出来ないわ」
 男の言葉に女は、軽蔑の眼差しをボックスに注いだ。
「やりてえ、あんないい女と……。お前と月とスッポンだな」
「あんた、あんな変態がいいの? カーテンも閉めないで……、露出狂じゃん」
「見られてるのに気付いてないのかな? 本気で感じてるぜ」
「違うわよ! 見られて感じてんのよ、本物の露出狂よ!」
 男たちは皆、興奮した視線を送り、女は口々に悪口と嫉妬の言葉を発した。

 亮輔の耳にも、ボックス席の中から女の喘ぎ声が聞こえてくる。
「ひいいっ……、たま、たまらないっ……す、すごいの、太田さんのおチン○ン。あ、ああ……、いい……」
(なんて店だ! 太田産業は、俺を馬鹿にしてるのか? 色仕掛けで取引継続を取ろうとしているのか?)
 亮輔は、ムッとした表情で太田隆一を睨んだ。

 再び、人目をはばからない喘ぎ声が亮輔の耳に入る。
「もっと……、もっと深く……入れて、もっとオマ○コにぶちこんで……。お口にも頂戴……」
 普通の神経をした女性なら、決して口にするような言葉ではない。ましてや、人前で口にする言葉じゃない。そんな言葉の筈なのに、声に聞き覚えがある。
「えっ……?」
 亮輔は恐る恐る視線を、聞き覚えのある声が漏れてくるボックス席へ向けた。

 亮輔の目が、驚きに大きく見開かれた。いやらしい視線で中を覗いていた隆一がワザとらしく驚き、亮輔に耳打ちした。
「あれっ? 彼女、お宅の会社の社員じゃないですか?」
「うっ……!!」
 亮輔は返事が出来なかった。あまりの驚きに言葉を失っていた。
「確か小林さんの彼女……笹岡麻希さんですよね」
 裸身を汗でヌラヌラと輝かせ、額に頬に解れ毛が貼り付いた美人。その女は、見知った人だった。亮輔の最も大切な、そして最も愛する人だ。
「まっ……、麻希……」
 亮輔の口から、やっと聞こえるくらいの小さな声が漏れた。

 亮輔の目の前で恋人の麻希が、今まで見たことないくらいに淫らに男根を咥えた腰を揺すっている。ジュルジュルと音を立て、見知らぬ男の怒張をしゃぶっている。
「欲しい! 欲しいんです。ねえ、どうか、オマ○コにミルクを注いで。一緒にイッてェ!!」
 目の前の麻希は、自分とのセックスでは口にしたことない淫らな言葉で喘いでいた。亮輔には、とても信じられない光景だ。信じたくない光景だった。
 亮輔が今にも膝から崩れ落ちそうになるのを、太田隆一が肩を組み支えた。

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