Midnight Hunter
百合ひろし:作

■ 第三章 葵1

葵は我慢できなくなり、理彩に懇願した―――。理彩はあっさりと快諾し、その為の場所を案内した。そこは職員の駐車場の隅にある木に囲まれた小さな小屋だった。昼間でも存在感が無く、田舎の駅にある様な、中心にストーブが置いてある待合室みたいな言われて初めてそんな物があるんだ、と気付く程度の狭い場所だった。
葵はその扉を開いた。中は綺麗に掃除してあるが、全く使っている気配は感じられなかった。
「……ここも、『私達』の施設なんですか?」
葵は聞いた。今まで、誰にも知られない様にではあるが、ミッドナイトハンターの為の物をいくつか見た。この建物もそう見えても仕方の無いことだった。理彩は、
「用務員の施設ね―――。つまりはそういう事」
とだけ答えた。葵はそれを聞いて理彩の方を向いて自分にいい聞かせる様に頷き、半歩足を踏み入れた後背中に手を回した。それからブラジャーのホックに指を掛けてゆっくりと、
プツッ
と外した。ストラップを右、左と肩から抜いてブラジャーを胸から外し、乳房を露出させた。そして左手にブラジャーを持ったままカラスマスクに手を掛けて外し、理彩に乳房を見せるように体を向けて、カラスマスクと可愛い青のリボンが付いた薄い水色のブラジャーを理彩に両手で差し出し、
「……持ってて……下さい……」
と言った。理彩は、顔を真っ赤にしてうつ向きながらカラスマスクとブラジャーを差し出した葵から受け取り、
「なるべく早く―――ね」
とだけ言った。夜の闇の中だが周りの光は意外と明るい。葵の乳房の形、色、全てが分かった。

葵は小屋に入り扉を閉めた。心臓は鼓動を早め、何とも言えない期待感と背徳感があった。葵は靴を脱いで上がり、立ったまま乳房に手を掛けた。外では理彩が見張っていたが、理彩は扉を少し開けて、
「屋根の上から見張るわ―――。外からは見えないし聞こえないから心配は要らないわ」
と言って扉を閉めて、屋根に登った。どうやら窓は中からしか見えないマジックミラーで防音もしっかりしてるらしい。葵は安心というとおかしいが、安堵の表情を浮かべた。
それからゆっくりと乳房を揉みほぐし、更に腰、首筋、太股等にも手をやり快感を高めていった。葵は初めてでは無かった。しょっちゅうでこそ無いが過去にも何回かはした事があった為、何処を愛撫すれば快感を得られるかは分かっていた。
「く……ふっ……う……」
声が溢れて来た。そして最初は立っていたが、尻を着いて座る体勢になり、更には仰向けになった。
片膝を立ててそれから股間に手をやった。するとパンティは湿っていた―――。しかしこれは今オナニーを始めたからではない。美幸のオナニーを見ている時に既にこうなっていたのだった。
「ミッドナイトハンターでオナニーなんて私―――だけなのかなあ……」
葵はそんな疑問を抱いた自分を間抜けだと思ったが、止める事は出来なかった。
左手で首筋から腰を撫でるというかマッサージするように刺激を与え、右手で乳首を転がした。体はビクッと時々大きく反応した。それと同時に、
「あっ!」
と鋭く声を出した。葵は右手を乳首から顔に持って来て目頭を覆った。涙が出て来ていたので拭ってからパンティのサイドの部分で拭き、そのまま股間にやった―――。そして腰や太股を愛撫していた左手を乳房にやって、乳首をやさしく転がした。
「ん……んくっ、あっ―――あっ」
葵は目を閉じて顎を上げてあえぎ声を上げた。足を開き、片膝を立てた。


狭い小屋の屋根の上で理彩はただ待っていた。自分が葵に教えた通り、中の音―――主に葵のあえぎ声であるが―――は聞こえなかった。それから葵から受け取ったブラジャーを見てみると何だか葵の性格が出ている様だった。
「可愛いモノ好きなのね―――」
理彩は呟いた。小さいのも含めて編み込まれてる模様1つ1つや縫い目まではっきりと見える程近くで凝視等は本人しか普通は出来ないが、理彩はその本人から顔を真っ赤にしながら渡されたのだ―――。理彩は純粋に葵の性格を知りたく、ブラジャーを観察していた。勿論その間も自分の姿が見えないように、そして周りを警戒することも忘れてはいなかった。
「可愛いモノを好んでそれを追究し続け、でもお茶らけたりはしないで真面目に―――か」
理彩は呟いた。

葵は顔を扉から見えない方向に向けて目を閉じて居た。誰も見ていないが、万が一突然扉が開いたら―――。葵は美幸のオナニーを覗いたが、そうなれば、つまりここの扉が開けられれば自分が覗かれるのである。その時顔を見られなく無かったので顔をそらしていた。扉側に足を向け、顔は丁度外からの光が入らない所に置いていた。
「あ……あ……あ……あ……」
少し声が大きくなり、間隔も狭くなって来た。体には汗が浮いて来て、特に乳房に浮いて来たのが外からの光をキラッと鈍く反射していた。
形の良い弾力ある乳房を左手で扱き、右手ではパンティの上からクリトリスと膣口を早く撫でるように左右にシャカシャカと擦った。しかし、感触はすでにシャカシャカではなく、ヌチャヌチャだった。
「―――あんっ!」
葵はビクンと激しく反応すると同時に鋭い声を出した。それから手を止め、左手も乳首から股間に持って行き、目を開けて
「ごめんなさい……私……」
と呟き、涙を1粒流して目を閉じた。そして左手でパンティを直してからサイドを軽く掴み、
「今の格好―――パンティ1枚が好きみたい……」
と誰も居ない狭い部屋で告白した。そして右手で今度はピンポイントで膣口を刺激した。パンティのクロッチが膣に少し押し込まれ膣から愛液が溢れ出て染み込みそして指にも伝わった。
葵は左手をパンティから離し、左足の膝裏にあてがい持ち上げてより開かせて、尻側から右手をサポートした。そして右手で素早くパンティを直して、前から手を入れた。
「ああっ!―――あっ……っ」
右手が膣に達するまで左手でパンティの上から刺激し続け、その快感に声を出した。そして右手は陰毛をかきわけ、クリトリスを触った後膣口に到着した。
「あっ、ああっ!」
葵は快感で段々頭が真っ白になり、声のセーブも利かなくなってきた。今まで家や寮で何回かした事があるが、誰かに聞かれまいと声を殺していた。しかし今は抑えるモノが無かった。好きなだけ出来る上に理彩が見張っている―――。それが葵を新たな快感へと導いていた。
『ミッドナイトハンターの掟、解ってるるわね?』
ここに来る前に言った理彩の質問がふと葵の脳裏をよぎった。パンティ姿を愛すること。葵は当然だと思った。だからこそ今その姿に興奮してオナニーをしているのではないか?そして暫くその状態で右手の人差し指と中指の2本を膣に出し入れし、左手はその右手をサポートして快感にあえいだ。
葵はその後右手を膣から抜き取ってパンティからも出した後、親指と薬指を使って両手でパンティを直し、それから右手の人差し指と中指を眺めた。
「こんなの……初めて……こんなに気持ちいいなんて……」
葵は愛液で濡れてキラキラ輝いている2本の指を眺めて呟いた。何だか意識は半分夢の中のような感じで、もうずっとここにいてこうしていたいとか、他の事なんてもうどうでもいいとすら思っていた。今まで何回かやったオナニーはこれ程気持ちの良いものでは無かった。確かにイク事はイッたが、肉体的な快感のみでそれで終わりといった感じだった―――。

「リボン。そんな所でどうしたんだ?」
ピエロが下から声を掛けて来た。理彩は、
「今、中で取り込み中よ。中から見えない様にして」
と答えた。ピエロは、
「取り込み中?宮原さんが誰かとやり合ってるのか?」
と聞いた。理彩は首を振った。そして、葵のブラジャーをブランとぶら下げて見せて、
「マスターベーションよ……」
と答えた。ピエロはフッと笑い、
「そうか……、やっぱり君が特殊か」
と言って185cmの巨体で音も立てずに屋根の上に上がった。そして理彩の隣に座った。理彩はパンティを直して、
「普段真面目なだけに……刺激が強すぎたようね……。美幸先生のマスターベーションは」
と言った。ピエロは、
「彼女も困った先生だ……。どうしたものか―――な」
と呆れる様に言った。そして、
「宮原さんを待ってるのか?」
と聞いた。理彩は、
「ええ、待つわ。何回イッても良いわよ。兎に角、仕事中に我慢出来なくなるのだけはいけないですから、私がこうやって指導しているうちに自分で何とか我慢出来るようにならないとね」
と答えた。
「――――――あっ!」
その時中から微かに声が聞こえて来た。防音の部屋から聞こえて来たのだから葵は相当大きな声で叫んだに違いない―――。
「よっぽど気持ち良いのか―――な」
ピエロは笑って言った。理彩は、
「そうね―――たまには普段の自分を忘れるくらい快感に浸るのも彼女には必要なのかも知れないわ……」
と笑った。

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