Midnight Hunter
百合ひろし:作

■ 第三章 葵2

「はぁ……はぁ……」
葵は背中を反らし頭の天辺を床につけて肩を浮かせて激しく呼吸をしていた。全力で組み手をした時や、この間、理彩と闘った時と同じ位息が上がっていた。その為呼吸を整える為に少し手を休めていた。
「う……イキたいけど、イキたくないよ……」
そう呟いて右手を再びパンティの上に這わせた。左膝を立てて今度は右足の付け根からパンティの中に指を入れた。パンティはぐっちょり濡れてもう愛液は染み込みきれずに浮き上がっていた。そして尻側も濡れて更に床にも愛液を垂らしていた―――。葵はそれだけ濡れている事をゆっくりと確認した。それを嫌らしいと思う気持ち半分、やりたいからやっていいじゃないかという気持ち半分だった。まあどちらにしろ恥ずかしいと思って居たので顔は赤かったが―――。というか、ずっと顔は赤かった。もうどうしようもない恥ずかしさの中でのオナニーだったのである。
「―――私……イキます」
キッと天井を見た後目を閉じて、太股の内側からパンティの中に入れた右手の人差し指と中指を膣の中に入れて動かし、中をかき回した。左手は乳房を揉み扱いてから腰、そして膝を立てている左足を更に開かせ、尻側からパンティを触った後、サイドをギュッと強く握った。引っ張ったりはせず、ただ強く握った―――。
「ああっ、あっ、あああっ!!あんっ、あああっ!!」
膣を激しくかき回し、愛液が漏れ、そして快感に体がピクピク反応し、それに合わせて鋭い声が出た。これが自分の声かと思ってしまう位張りのある良い声―――、葵の普段の声は暗めの声だが今の声は違う。全く別人の様な声だった。
ドタン
左足を思わず振り上げて振り下ろした為、床を思い切り叩いた。勿論葵の意志ではない―――。葵の意志は、激しくマ●コを弄るだけでビクビク動いたりこうやって足を動かしたりするのは体が勝手に反応しているのである。それにも構わず葵は左膝をもう一度立てて膣を2本の指で激しく攻撃した―――。
「――――――あああっっ!!!」
体を限界まで反らし肩、腰を持ち上げ、頭頂と尻で体を支える形になり、それでも愛撫をやめないでいた。愛撫の激しさに体は揺れ、汗で輝く弾力のある乳房が細かく揺れた。そして―――、
「あぐっ!!」
葵がそう叫ぶと同時に、限界まで反らした体は一瞬動きを止め、その後激しい痙攣が襲ってきた。反っていた体はドサッと崩れ落ち、足は両足とも投げ出す格好になった。オーガズムに達してイッてしまった瞬間だった―――。
「あ……あ……あ……」
葵は痙攣と共に声を出した。更に愛液が溢れ出し、まるで失禁をしてしまった様に感じた。パンティを握っている左手から力が抜け、そして膣に指を突っ込んで愛撫していた右手の動きは止まっていた。
ビクン……ビクン……
痙攣はまだ止まらなかったが葵はゆっくりと目を開けた。涙で周りがよく見えなかったので、左腕をパンティから離して涙を拭い、右手を膣から抜き取って後ろ手に上半身をゆっくりと起こした。その時にビクッと体を反らして痙攣した。
「あ……」
痙攣に合わせて声が出た。そして、自分がどれだけ濡れたのか―――自分の目で見た。パンティはグチョグチョに濡れて、さっき見た美幸に劣らない程、というのは大袈裟かもしれないがそれだけ濡れていた。それだけではない、床にも愛液を垂らしていたのだから―――。
「―――グチャグチャに……なっちゃった……」
そう呟いたが、何というか満足感に満たされたと思った。こんなに気持ちの良いオナニーは初めてだった……。

葵は暫く後ろ手につき片膝を立てる姿勢でいた。
「……」
それから気持ちが落ち着いてからゆっくりと立ち上がり、濡れたパンティを直した。その時一部の愛液が足を伝わり、垂れて行った。
「後で―――掃除に来るよ……」
濡れた床を見て言い、扉を開けた。そして辺りを確認すると理彩が降りて来た。
「終わりました……ごめんなさい」
と謝った。理彩はカラスマスクとブラジャーを返そうとしたが、葵は首を振った。理彩はフッと笑って、
「余韻に浸りたいのは解るけれど、正体知られる訳には行かないでしょう?」
と言ってぐっと差し出した。葵は受け取り、手に持っていたが両方ともつけようとしなかった。どれだけ快感をむさぼったのかは今の葵の姿を見れば解る。しかしそれはそれ、これはこれ―――。理彩は指笛を吹いた。するとピエロが現れた。
「―――!」
葵は思わず両手で口を覆った。折角普通の顔色に戻るまで中に居たのにまたみるみる赤くなり、すぐに真っ赤になってしまった。
葵は首を振り、ピエロに背中を向けて両手で口だけから顔全体を覆い、しゃがみ込んでしまった。兎に角顔を隠したかったのでそれからカラスマスクを急いで着けた。
理彩にだったらグシャグシャに濡れたパンティ1枚姿を見られても何とか耐えられた。しかし、オナニーに到った事の経緯を知らず尚且つ男性では恥ずかしくて堪らなかった。
「いや、それが普通の反応だよ―――」
ピエロが言った。葵は、
「え―――?どういう事ですか……?」
葵はゆっくりと恐る恐る立ち上がり、手を顔からどけてピエロに体を向けた。僅かに木の葉の間から洩れた街灯の光がカラスマスクと汗の浮いた乳房と愛液で濡れたパンティを照らした。左手にブラジャーを持ち、右手でパンティの右側をキュッと直した。下側はヌメッとしていた。
「この建物はそんなミッドナイトハンターの為に建てたんだよ。結構我慢出来なくなるんだ―――」
ピエロは言った。そして、
「マジックミラーも防音もその為だよ」
と言って扉を開けて中を見た。成程―――かなり楽しんだ様だな、と思った。葵は、
「あ……嫌。見ないで下さい」
と言ったが理彩に止められた。
「彼は掃除するだけよ。それ以上は無いわ―――」
と言った。ピエロは笑って、
「リボンは1回も使わなかったな。不感症なのかな―――?」
とお茶らけた。理彩は、
「不感症じゃないわ。私も快感は感じるわよ―――」
と笑顔で言った。勿論目はマスクで隠れていたが―――。

「じゃ、掃除は彼に任せて最後に外を見回って今日は終わりにしましょう」
理彩が言うと葵は、
「……はい」
と返事した。オナニーしたのは葵の都合―――、その為に最後の見回りをしない訳には行かなかった。理彩はその辺のけじめはきちんとしていた。ここで葵を休ませたらそれこそ堕落したミッドナイトハンターになってしまうからだった。
理彩は更に、
「今は外していたい気分でしょうけど―――その形、守りたいならブラジャーも着けなさい」
と言った。葵は、
「え―――?……はい」
と返事をし、ブラジャーを着けた。ミッドナイトハンターは時に激しい動きをする。その時クーパー靭帯を切ってしまったら折角の弾力ある美乳が垂れてしまって台無しであるからだった―――。葵はそんな可能性がある事は露程も知らなかったが理彩が警告する様に言ったので従った。

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