Midnight Hunter
百合ひろし:作

■ 第三章 葵8

葵は気が付くと、小屋の中にいた。葵の瞳は天井にぶら下がっている蛍光灯を捉え、そして自分の横には理彩が何も言わずに座っていて、更に由紀子と典子も居た―――。葵は飛び起きた。
「あ、あの男は―――!?」
そして1つの事に気付いた。そう、ブラジャーを着けていない事に―――。
「え……?」
葵は理彩に説明を求めた。
「貴方、犯される所だったわよ……」
マスク越しだったが理彩は静かに、そして強く言った。葵は下を向いて、
「え―――?」
と聞いた。理彩は、
「まだ1人でやる事は暫くは無理ね。自分の闘い方を身に付ける為に先輩に協力して貰ったのに先輩が居なくなった途端にそれを忘れるとは」
と厳しく言った。そう―――こういう場合由紀子だったら足場の悪い所に男を誘い出したに違いない。典子だったら何度か逃げて追い詰められた振りをして男の頭に一撃を入れたかもしれない―――そういった事を考えながら見回りをするのを怠っていた結果だった。
「兎に角これで思い知ったでしょう。私達は負けたら犯されるって事を頭に置いておく事ね」
理彩はそう言った。葵は、
「わ……、私―――犯されたん……ですか?」
と聞いた。声は動揺していた―――。


「グフフ……気絶したみたいだな。これからお楽しみタイムだ」
男はそう言って葵に馬乗りに跨り、背中に手をまわしてブラジャーのホックに手を掛けて取ってしまった。そしてブラジャーの匂いをかいで満足げな表情を浮かべた後、所謂猫の耳の様に被った。そして露になった形の整った綺麗な乳房に口づけ勢い良く吸った。そして、葵の腹の上で股間を擦りそれから葵の体から降り、パンティの中に手を入れた。
「この可愛いパンティちゃんも頂いてくぜ〜。たっぷり濡らしてからなぁぁぁ。そしてお前の体も頂くぜぇ」
と言い、手でクリトリスを愛撫し始めた。葵の意識は飛んでいたが体はピクッと反応し、愛液がパンティを濡らし始めていた。
「何だ?気絶してても感じてるのかよ〜。それとも気絶した振りして実は起きてて楽しんでるのかい??」
男は甘い声でそう葵の耳元で囁いた。葵は意識が無かったのでその言葉には一切反応しなかった。そして男は、
「もう我慢できないぜ。お前の体頂くぜ」
と言って勢い良くズボンを下ろしチ○ポを出した。その巨根からは我慢汁が滴らせていてチ○ポの先から脱いだパンツまで糸を引いていた。

―――葵のパンティに手を掛けようとしたその時。その男の肩をトン、と叩く者が居た。
「何だ!?いい所なんだ。邪魔するなボケ」
と言うとそこに居たのは、下着姿の女だった。
「お前らもしたいのか?これ見てヤりたくなる気持ちも解るけど順番なんだ。後にしろよ」
と言うと、下着姿の女の―――、ウェーブの掛った髪に顔の上半分を隠すマスクに黒い靴下、そして黒いリボンの付いたブラジャーとパンティ姿の女―――理彩は、
「お断りするわ」
と言った。男は、
「お……お前―――、お前が目的だったんだ!ここで会ったが百年目、この女と一緒に犯してやる」
と言ってズボンを上げて穿き直し、理彩に掛かって行った。理彩は男の一撃を外し蹴りを入れた。しかし男はよろけるものの倒れなかった。
「俺は格闘技の心得あるぜ。女の攻撃なんて俺には効かない。この女で証明済みだ」
男は一瞬パンティ一枚姿で倒れている葵を指差して言った。理彩は、
「格闘技やってるのね……解ったわ」
と言ってもう一発攻撃を入れた。しかし、男は倒れない。男は、
「効かないと言ったばかりだぜ。元々お前を犯す心算だったんだ。大人しく犯されろ!」
と言って捕まえに掛かった。理彩がクスッと笑って余裕を持ってそれをかわしたその時、男は頭に強烈な一撃を受けた。
「な……」
男はそう言うと同時に前に倒れ、気を失った。男の後ろに由紀子と典子が足を振り下ろした状態で立っていた。下着姿の女3人は男を暫く見下ろしていた。それから理彩は男の頭から奪われた葵のブラジャーを取り返したが、葵の体には着けずにそのまま持っていた。
「着けてあげないの?」
雪の様に白い下着姿にマスクを着けた由紀子が聞いた。理彩は、
「ええ。コレでクロッチもさっきの意味が分かったでしょうね。それを知ってもらう為に」
と言って、葵が起きて何が起こったのか理解してから返す事を示唆した。
男はその後用務員室に連れられて行ってそれから"用務員"から警察に引き渡された。

「ギリギリ何とか犯されずに済んだわよ」
とだけ言った。葵は、
「……はい……」
と返事した。犯されずに済んだ事には安心したが、この言葉で何があったのかは理解した。あの男にやられて犯される寸前まで行った所を理彩達に助けられた、という事だった。理彩は、
「私が居るうちに、自分の闘うスタイルを確立させなさい。これで解ったでしょう」
と言い、ブラジャーを返した。葵は、
「はい……」
とゆっくりとブラジャーを着けながら言った。葵は空手をやっているとはいえ、こういうケースの時は野戦は出来ない事を思い知らされた。それは自分より大きくて強い男性を相手にした場合は、犯してくださいと言うようなもの。そして犯されてしまえば、ミッドナイトハンターの存在も世に出てしまう。今まで10代、葵も入れれば11代だが、それが崩壊してしまう事を意味していた。ミッドナイトハンターは敗北は許されないのだった。
自分の戦闘スタイルの確立がどれだけ重要か―――、何の為に典子や由紀子、そして理彩が違う戦闘スタイルを取っているのか、唯強いだけでは通用しないのがミッドナイトハンターであり、それを思い知った夜だった。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊