右手の中指
田蛇bTack:作

■ 5

≪第4話≫

時計の針は時に恐ろしく早く動くものだ。気づけば日は沈み、あたりは闇に包まれた。蒼く不思議な夜が来た。

「月ヲ見テハイケナイヨ」
…そう言われても、月なんてあいかわらず分厚い雲の向こうのモノだ。見えるはずがない。
ただ、なんとなく月がありそうな場所から、気味の悪い青く深い光がこぼれているような気がした。

「あゥ…クゥ…んんんっ…もっと…突いて…かきまわしてよ」
この頃すでに夜はオナニーをしなければ寝付きが悪くなってしまっていた。
月のことなんて忘れてしまえ。早くイって、眠ってしまえ!!!
私の中指は膣の上の壁のザラザラしたところを軽くふれながら素早く動かす。
きっとどんなテクニシャンより中指が勝るだろう。

「あぁああっ!!」
最後にク●トリスをぐるりと触れた時、私の体は大きくのけぞり、寝返りを打った。そして間違って窓の方向を見たとき、

…見てしまったんだ…
……月を。…



すべての音が止まった。私の呼吸する音も、心臓が立てる音も、何も聞こえない。私の目は月から離れなくなった。目をつぶることさえできない。

月には、父の目があった。そのぎょろりとした目とあった瞬間、私の右手の中指は…
あっという間に肥大していった。

右手が融ける…熱い…熱いよ…熱い……
中指がどんどん伸びる。太くなる。色も赤黒くなる。先端がとがり、穴があいた。血管が浮かび上がり、スルメのような匂いまで放ち始めた。
そして私の右手は私が動かそうと思っていないのに、股間に入る。

ズブズブズブズブ…
中指が…いや、もはや指とは言えないものが、膣に入り、上下運動を始める。
さっきイったばかりだからうまく愛液が出ない…痛い……

ジュボジュボ…ジュコジュコジュコジュコ!!!
「う、んんんんんんんんんん!!!!!!! うわぁあああっ」
発狂してしまいそうだった。だけどここで声をあげては、ママにバレてしまう。
私は必死に左手でタオルケットを口に押し込み、声がでないようにした。

ズブ、ズボッ!! ギチャギチャギチャギチャ
中指だけでなく、もう右手自体、コントロールができない。月の中に光る妖しい目は、かすかににやけた気がした。

ブシューッ…。
やがて、中指から白い液体が出た。私の膣からこぼれ、シーツを汚す。
そしてそのまま中指は縮まり、もとに戻った。コントロールも効く。
ホっとした私の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。

私はそのままぐっすりねむりについたのだが、夢の中でも月の目はじっと私を監視しつづけていて、ちっとも疲れがとれなかった。

しかし、それはその日の夜に終わることではなかったのだ。

その夜は雨が降り、何もなかったのだが、次の夜また月が出た。
そしていつものようにかなしばりのような状態になり、月と目が合うと、私の中指はペニスになり、私を破壊するような勢いで犯しだす。
全然気持ち良くない。痛い。愛液が出なくなると膣の壁がこすれて破れてしまいそうになるので、その度に左手で必死にク●トリスをこすり、愛液を絞り出した。

それは月が出る晩の度に繰り返された。秋晴れが続くと体が壊れてしまいそうだった。
別に運動部をやっているわけでもない。アルバイトに精を出しているわけもない。
精を出しているといえば膣の中になのだが…
とにかく疲れるようなものは何もないはずなのに、授業中にぐったりと倒れて寝てしまう日も少なくなかった。

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