右手の中指
田蛇bTack:作
■ 7
「おいやばいぞ、もう1時だいぶ過ぎてる。撤収だ!いいか、シナ、そのまま30秒動くなよ。動いたら次は犯す!」
そう言うと私の体は一瞬で解放された。そしてそのまま頭のなかで30秒数えた。そしてゆっくりとおきあがり眼隠しを外すと、自分の体があった。
心配していた乳頭は傷がついていなかったので安心した。
が、驚いたことに、陰毛がだいぶ燃やされていた。短くなった毛に触れると、さらに灰と化した毛がぼろぼろと落ちた。
パイパン、とまではいかないが、だいぶ薄い。
困ったな。あ、でも困らないか。これからゆっくり伸ばそう。
レイプ未遂をされたというのに、妙に冷静な自分。こんな私は強い子なの?
だがボケている暇はない。私はさっさとパンティを履いて何事もなかったようにふるまった。
教室に入ってきたクラスメイトは焦げくさい匂いに少し疑問を感じたようだがすぐにカーテンと窓が開けられ換気されたため、先生は気付かなかったようだ。
その夜も月が出た。私はほぼなくなった毛を気にする暇もなくいつものように右手に犯された。月が私を見ている。あれは…パパなのだろうか。
≪第6話≫
冬が来た。
押し黙るような乾いた空気と、かすかにただようクリスマスの匂い。
公園に一面に敷き詰められたこげ茶の落ち葉は、踏むたびに乾いた音を立てる。
昨日の夜もよく晴れたせいで、私の指は暴れた。クマがとれない。
どんな高いメイクでも、表情まではごまかせない。
私のアゴ、こんなにとがっていたっけ…。
化学室の一件以来、タケシはおとなしくなった。新しい彼女ができたという噂もきいたのだが、もうどうでもよかった。
お互い腫れものに触るような扱いをしていたし、さいわい学級委員が仕切る仕事もなかった。
だけど…。
「今夜も晴れて、綺麗な月を見ることができるでしょう」
…私は今夜も自分の指にレイプされるらしい。
トゥルルルルルル、トゥルルルルルル…
「はい、もしもし…」
だが、その日の夜、電話が鳴り響いた瞬間、右手の中指は元の大きさにもどりだした。いつもは私が何度もアクメを迎えてもしつこく突いてくるくせに…
それに今何時? …夜中の1時?! 非常識な時間に電話をかける人もいるもんだなぁ…。
途中でやめられたもの足りなさで、私はいつぶりかわからないマイペースなオナニーを始めた。久しぶりにキモチィと思った。
「シナ!!!! パパが!!!」
しかしそれも中断されてしまった。お母さんが電話を片手に震えながらこっちを見ている。
「…なに?」
おろしたズボンを隠すように布団をかぶせたまま首だけ振り返って言う。
「パパが、警察……、とにかく、すぐに行きましょう」
「…え?」
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