悪魔のメール
木暮香瑠:作

■ 恥辱的なメール1

 昼休みの時間も終わり、5時間目の授業が近づいている。美樹と由布子は、次の授業のあるパソルームに向かった。美樹の通っている高校は、パソコン学習に力を入れていた。週に2時間、IT授業と称したパソコンを使った科目がある。パソコンルームには、40台のパソコンが装備されていて、インターネットも出来る。生徒全員に、メールアドレスも与えられていた。昼休みと放課後は、それらのパソコンも自由に使うことも出来た。

 二人がパソコンルームに入ると、クラスのみんながメールのチェックをしていた。いつもとは違うざわめきが起こっている。
「お前のところにも来てるか? このメール……」
「わたしのところにも来てる。嫌ね」
 クラスメートの一人が、
「美樹、由布子。見てみなさいよ、変なメールが来てるわよ」
 美樹と由布子は、クラスメートのパソコンを覗き込んだ。メールには、

わたしのイヤらしい所、見て……。恥ずかしい格好を見て……。

と、一行だけ書かれている。そして、画像が一枚添付された。その画像は、トイレで写されたものだ。一人の女性が、トイレを行っているところがローアングルで写されていた。胸から下だけが写されていて、誰だか判らないものだ。和式の便器にまたがり、大きい方を行っている。スカートを捲くり、ピンクのパンティーが膝のところに纏わり付いている。そして、丸い真っ白なお尻から茶色い便が、今まさに便器の底に落ちようとしているところだった。縦裂は、脹脛に辛うじて隠れ見えないが、便器の金隠しと脹脛の隙間から、陰部の繊毛が見て取れる。陰になった股間の陰毛は、濃く茂っているように見えた。

「すげーな、自分でこんな写真送ってくるなんて」
「ああ、でも、このウ○コ、太くねえか? お前のチ○ポなら入りそうだな、この娘」
「ほんと、お前の小さいチ○ポなら入るぞ、きっと」
 男子たちは、ふざけて笑いながら写真を見ている。メールは、クラスの全員に送られてきていた。

 美樹には、その写真を直視することが出来ない。写真に写っていたパンティーに見覚えがあるのだ。先週の金曜日に、ピンクのパンティーを履いていた。美樹は、慌てて自分の席に座る。異様なざわめきの中、美樹もパソコンを立ち上げ、メールをチェックした。差出人不明のメールが一通届いている。美樹は、恐る恐るメールを開封した。メールには、みんなと同様に画像が一枚添付されている。その画像は、クラスメートに来たものとは違い、顔まで写っていた。美樹自身の顔が写っていたのだ。メールの文面には、

この授業中にトイレに行き、パンティーを脱いで来い。ノーパンで授業を受けろ。
さもないと、顔つきの写真を学校中に送信するぞ。

と、書かれていた。美樹は、慌ててメールを閉じた。先週のことを思い出してみる。金曜日、確かに学校のトイレで使った。お昼休みに、大きい方をした。そのとき、履いていたパンティーが、写真に写っているピンクのパンティーだった。美樹は、家以外で用をたす時は、和式トイレを使っている。誰が座ったか判らない洋式の便座に座ることを躊躇われるからだ。写真に写っていたのも、和式トイレで用をたす姿だった。
(あの時だわ。だ、だれ? 誰がこんなことを……)

「これ、学校のトイレだよな」
「じゃあ、こいつ、うちの学校の女子かよ?」
「このクラスの女子かもよ?」
 男子たちは、相変わらずメールをネタに騒いでいる。女子も、ヒソヒソと会話をしている。クラス中のみんなが、自分の排泄姿を見ていると思うと、美樹は恥ずかしくなり顔を赤く染めた。

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