悪魔のメール
木暮香瑠:作

■ 最後の命令2

忠告!

お前は、我々の命令をやぶったな。
体操着の下は、何も着ることは許さないといったはずだ。
お前はその指示を破った。我々の命令に従わなかった。
パンティーを履いていたのは許せない。

お前の写真を公開する。
下記のサイトに行ってみろ。
パスワードは『 MIKI32 』である。パスワードを入力して、
次のページに進んでみろ。

http://rosyutu.xxxerotown-net.net/

だが、もう一度チャンスをやる。
次の命令に従えば、このページは削除してやる。
従わない場合は、パスワードを公開する。
学校中にメールを送ることはおろか、
世界中にパスワードが公開されることになるだろう。

《 命令 》
7月○○日、放課後、音楽室のステージ上で全裸でオナニーをしろ!

 音楽室の前部には、ステージがある。普段はカーテンで仕切られているが、クラス単位で演奏会や演劇の上演が出来るようになっている。そのステージ上で、全裸でオナニーをしろと言うのだ。
(そんな……。そんなこと、出来ない……。でも、しなかったらどうなるの?)
 美樹は、頭の中が真っ白になる。

 美樹は、メールにかかれているアドレスをクリックした。ブラウザが起ちあがり、ページが表示される。ホームページ上には、全身が写ったトイレでの画像が掲示されていた。モザイクで顔が隠されているが、写真の人物が誰か当てた人には、パスワードで顔付きのページに入れるようになっていた。写真の下にある入力ボックスにメールに記されていたパスワード記入し『ENTER』をクリックする。画面が変わり、モザイクの無い美樹の写真が現れた。誰にも見られたくないトイレで排出行為をしている美樹の全身が写った写真だ。
(いや、こんな写真、見られたくない。見られたら生きていけない……。こんなパスワード、すぐに判っちゃうわ)
 美樹は急いでブラウザを閉じた。パスワードは、名前と出席番号を組み合わせたもの、『 MIKI32 』である。美樹には、このパスワードが、誰でも容易に判るものに感じた。

 前の方の席では、まだ、男子たちがヒソヒソ話をしている。Hサイトを見ながらの卑猥な会話をしているのだ。しかし、美樹にはそんなことは判らない。全ての会話が美樹についての話に思える。すでにこのページを見ているのではないかと不安になる。
(め、命令に従わなきゃあ……。これ以上、写真を公開されたら……、わたし、学校にこれない。生きていけない……)
 パソコンを虚ろな目で見つめたまま、時間だけが過ぎていった。

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