悪魔のメール
木暮香瑠:作

■ 最後の命令4

 美樹は、セーラー服のスカーフを解き、ファスナーを開く。セーラー服を脱ごうと手をかけるが、手が震える。
(わたし……、脱ごうとしてる。学校の中で……、裸になろうとしてる……。脱がなくちゃ……、わたしの恥ずかしい写真、公開されてしまうのね。脱がなくちゃ)
 俯いた頬を赤く染め、セーラー服を捲っていく。淡いパステルピンクのブラジャーが覗けてくる。美樹は、縁がレースで飾られたハーフカップのブラジャーを選んで身に付けていた。パンティーとお揃いのブラジャーだ。見せることを意識しているかのようなお気に入りのものだった。犯人にでも、見られてしまうことは恥ずかしい。見られることを意識して、一番おしゃれなランジェリーを選んでいた。

 美樹は一気にセーラー服を首から抜き取った。ハーフカップのブラジャーは、量感のある相乳を押し上げ、はっきりとした谷間を形作っていた。
(ああ、恥ずかしい……。どうしてこんなブラジャー、選んでしまったの? 犯人にしか見られないのに……、犯人に見せるために選んだみたいじゃない……)
 美樹は、両手を胸の前に当て下を向く。しばらく、そのままじっとしていたが、いくら待っても事態は好転することは無い。カーテンの向こう側にいる犯人からは、何の反応も無い。美樹は、両手をゆっくり下げ、スカートのファスナーを下げ、ホックを外した。ホックを外されたスカートは、頼りなさげに広がりながら床に落ちていった。
「あっ、……」
 覚悟はしていても、思わず声が漏れてしまう。美樹が身に付けているものは、お揃いのパステルピンクのブラジャーとパンティ、それと白いソックスだけになった。パンティーも、ブラジャーと同様に、ベルト部がレースで飾られた見せるためのオシャレなものだった。レースで飾られたベルト部はお臍の少し下で腰に掛り、生地は両サイドからV字を描き、股間に吸い込まれているかなりのハイレグのものだ。恥丘を包んだ薄い布地は、よく見ると翳りを透かしているようにも見える。誰もいないステージの上で、ランジェリー姿になった美樹の身体が、ほのかに桜色に染まっていく。
「見てる……」(見てるんでしょ? カーテンの向こうから……)
 美樹の発する声は、聞き取れないほどのものだった。美樹は、床に落としていた視線をカーテンに向ける。潤んだ視線が、少女と大人のはざ間の色気を漂わせている。

 美樹は、カーテンから、今にも自分の方に迫ってくるような視線を感じる。それどころか、あるはずの無い視線が、美樹の横の壁から、背中の壁を通り越して美樹を見つめているような気さえしてくる。横の壁が、背中の壁が美樹に向かって迫ってくるような恐怖を感じる。
(えっ、どこ?……どこ? どこから見てるの?)
 美樹は、後ろを、横を見渡した。そこには白い壁があるだけだ。しかし、恐怖は、美樹に命令の実行を催促しているように迫ってくる。
(そっ、そうね……。脱がなくちゃ、早く脱がなくちゃいけないのね……)
 美樹は、ブラジャーのストラップに手をかけた。ストラップを外されたブラジャーは、今まで押し込まれていた肉球に弾かれ、前にはらりと飛ばされた。
「はぁ、だめ……」
 ブラジャーの拘束を解かれた胸がブルンと揺れている。美樹は、思わず両手で胸を隠した。隠しきれない美樹の相乳が、腕に押されてはみ出す。はみ出した肉球が、胸の谷間を強調する。
「はっ、恥ずかしい……。でも……、脱がなくちゃ……」
 美樹は、胸を覆っていた腕をゆっくりと下に降ろし、パンティーに指をかける。前屈みになった美樹の胸は、釣鐘型になり、その大きさを露わにした。
「はあ、はあ、はぁ…………」
 美樹の息使いに、胸が大きく揺れている。美樹は、胸を揺らせながら、パンティーを下げたいった。腰骨にかかるパンティーを下げようと腰を腰を振ると、たわわに実った相乳が左右に揺れる。
「はあ、いやっ、恥ずかしい……」
 パンティーが太股まで下げられると、今まで恥丘に張り付いていた茂りがふわーと立ち上がる。その茂みは、あたかも美樹の恥ずかしい部分を覆い隠すかのように広がった。

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