売られた少女
横尾茂明:作

■ 身売り少女2

この家に来たときから楽しい思いは一回たりとて無かった・・。
ただこの1ヶ月・・久三に性器を舐められ絶頂に身をゆだねた刹那のみが美由紀の慰めだったのかもしれない。

学校で男子生徒から優しく言葉を掛けられたり・・手紙を貰ったりしたときは心が潤ったりもしたが・・自分の心の深淵からはい上がり自分の心を解放することは一切無かった美由紀である。

今はそれでよかったと思う・・。
辛すぎる人生に耐えるには・・それでよかったと・・。

美由紀は小さなタンスを開け、真新しいセーラー服を取り出した。
光子が先月、この日のために買っておいたものである。

セーラー服を抱えて階下の風呂に急いだ。

洗い場で何度もお湯をかぶり・・性器を丹念に洗った・・。

タオルで体を拭い・・スキンクリームを体中に丹念に擦り込んだ。
これは光子が1ヶ月前に
「この体は高く買ってもらわないとね」
と言い、毎日の日課として美由紀に課したのである。

塗り終わり美由紀は全裸を鏡に映してみた・・自分で見ても素晴らしい裸像と感じた・・。

素肌にセーラー服を着、スースーとする下半身を感じながら奥に急いだ。

「美由紀です・・入ります!」

美由紀は正座して襖ゆっくりと開いた。

三つ指ついて「いらっしゃいませ」とお辞儀し顔を上げた・・。

そこには、光子と初めて見る男が並んで座っていた。
光子は「扇屋の政夫さんだよ」と男を紹介した。

男は「さーこっちにおいでな」とニヤつきながら手招きした。

美由紀は襖を閉め男の前に進んだ・・この時、部屋の明るさが眩しいと感じた。

近づく美由紀の顔を見て・・男の目が大きく見開いた・・。

(あの子だ!)
政夫は以前に街ですれ違った美由紀を覚えていた・・。
美由紀とすれ違った時・・政夫は美由紀に見とれてしまった。
その少女は光をまとっているように輝いていた。それは色の白さだけではなく体全体から放つオーラであったと思う。
(こんな田舎にこれほどの美少女が居るとは・・)

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