売られた少女
横尾茂明:作

■ 身売り少女6

「女将・・見てみな!」
「この色合い・・これが生娘だぜ! それとな・・これが処女膜」
「女将なんざこの膜が有ったのはいつ頃か・・記憶もないぐらいだろうにムヒヒ」
「それとこの小陰唇を見てごらんよ! なんて綺麗な色なんだろ」

「そうでしょうとも! まだこの子は本当に男を知らないんですから」
「ねっ! 若旦那そうと解れば買ってくださいましなー」

「んんー女将・・一体いくらなんだい!」

「まあまあ・・ありがうございますー」
光子は満面の愛想笑いを作り、手を摺り合わせた・・。

「まっ! これだけの躯・・500万と言いたいところ・・300万では?」

「おいおい300万と言ったら家が一軒買えるぜ!」

「何をおっしゃいますの若旦那! 300万くらいの金なんぞ若旦那にしてみれば、はした金みたいなもんでしょ!」

「聞きましたよ・・京都の芸子の水揚げに200万払った! てね」

「なんだい! もう噂が立ってるのかい?」
「親父に10年早いわ! と怒鳴られて・・そりゃー大変だったんだよ」

「女将・・この娘はあんたのいい値にするからさー絶対内緒頼むぜ!」
「今度親父にバレたら勘当もんだからねー」

「ハイハイ解っておりますよ」

「しかしこんなにいい娘がいることが分かっておればなー・・」
「あんな芸子の水揚げはしなかったものを・・あー勿体ないことをしたよ・・・」

「じゃぁ若旦那、いつこの子を引き取って頂けますの?」

「そうさなー・・来週の日曜でどうだい?」
「黒塀町の角に、ちょいと小綺麗な借家が有ったろ」
「そこを借りとくから日曜にこの娘と荷物を入れておいておくれ」

「ハイハイ! 有り難う御座います」
「美由紀! お前はいつまでメソメソ泣いてんのよ!」
「若旦那にお礼を言わないか!」

美由紀は起きあがり・・脚を正座にくみ、
「有り難う御座います」
と嗚咽混じりの声で三つ指をついた。

「おー可愛い可愛い! おじちゃんこそよろしくな!」

「じゃぁ女将! 頼んだよ、金は明日にでも振り込んでおくからね」

政夫はズボンの前のシミを隠すようにいそいそと帰っていった。

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