売られた少女
横尾茂明:作
■ 能動的な快感1
光男とは神社の階段で別れた。
「今度はいつ逢える?」と光男が聞いてきたが・・曖昧ににごしてすり抜けた美由紀であった。
神社の森の葉裏のそよぎはもう茜色に染まっていた。初秋の夕方の空気は少し湿り気を帯びて美由紀の髪をしっとりと濡らす。
(今夜は旦那様の帰る日・・早く帰らなくちゃ)
美由紀は自転車に乗り・・曲がった坂を下った・・。
(あぁぁ・・気持ちいいよー)
光男とのSEXは不完全燃焼に終わった。・・いま性器は爛れるように濡れている。・・美由紀は、脚を開き坂を疾走する。股間はサドルの心地よい振動で今にも弾けそう・・。
(今夜はいっぱい旦那様に可愛がってもらわなくちゃ・・)
政夫は名古屋駅から関西線に乗り継ぎ、いま蟹江の明かりを通過した。
(やっと桑名か・・)
政夫は東京銀座への出店で忙殺される中、妻の倫子が危篤との電話で伊豆のサナトリュウムに駆けつけた帰りであった。
(あと一週間はもたないと医者は言ったが・・我々の結婚は一体なんだったのか)
政夫は12年前・・桑名の旧華族の娘と見合い結婚をした。まるで骨と皮で出来た女との印象から政夫は結婚を強く拒否したが・・父親に懇願されて嫌々承諾したのだった。
その介が有って父親の営む呉服店は桑名の一等地に出店が出来、店の格も上がった。
しかし倫子は肺が冒されており、結婚は名ばかりで・・政夫とは一度も交わることなく伊豆のサナトリュウムに去った。
(親父も肺癌で時間の問題だし・・週末は葬儀が重なるかもな・・銀座の出店でこの大事な時に・・困った)
(しかし・・今頃・・美由紀は何してるんだろう・・桑名に着いたらまず黒塀町に行こう・・)
政夫は美由紀の柔らかい裸像を思い浮かべると今までの憂鬱は薄らぎ、少し笑みがこぼれる。
(あー・・今はあの柔肌が恋しい・・いまひととき・・美由紀に溺れよう)
東京に発つ前の晩・・痛烈な射精感のあと、美由紀の内モモを枕に余韻を楽しみながら美由紀の性器を見つめていた・・。
(いつみても飽きない・・なんて素晴らしい造形なんだろう)
(色といい・・形といい・・滑らかさといい偶然に出来たとは思えない男をとろかす魅惑の構造・・この体に活力が漲っておれば・・枯れるまでSEXを繰り返すのに・・)
美由紀は商店街で買い物を済ませ家路を急いだ。
(あそこがベタベタして気持ちが悪いな・・帰ったらすぐお風呂を沸かして入らなくちゃ)
美由紀は腰を浮かしてサドルが性器に当たらないように自転車を漕いだ。
(今夜は旦那様といけるかもしれないな・・だって・・触っただけで弾けそうだもの・・)
美由紀は家に着き、風呂を沸かしながら料理に取りかかった。先日プロパンガスを設備してもらってから調理がすごく楽になり、その分調理に技巧が凝らせるようで政夫には喜ばれていた。
美由紀は風呂で丹念に性器を洗った・・膣にも指を幾度も挿入して隅々まで洗う。ともするとクリトリスを刺激したくなる欲求に駆られるが歯を食いしばって耐えた。
(旦那様は美由紀のここが大好き・・もし光男くんの匂いが残ってたら大変だもん)
政夫は執拗に美由紀の性器と肛門を舐める・・。
(きょうは舌だけでいっちゃうかも・・ウフフ)
美由紀は風呂から上がり、裸のまま裏庭の濡縁で虫の音に耳を傾けながら火照った体を秋風にさらしていた。すると車が止まる音に続いて玄関に「ただいま!」の声・・。
(旦那様だ!)
美由紀は慌ててバスタオルを体に巻いて玄関に急ぐ。
「おかえりなさい!」
美由紀は政夫の首に甘えてしがみつく。・・そのまま玄関口に二人はもつれ込み、戸を閉めたときにはバスタオルが落ちて美由紀の全裸が眩しく電灯に照らされる。
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