売られた少女
横尾茂明:作
■ 少年の性1
光男が土曜の放課後、怒った顔で、「今日こそ絶対来いよ」と辺りに気づかないように小声で囁いた。
あの日から光男は呆けたように美由紀に夢中になり・・夕方になると決まって美由紀を誘う。美由紀も光男が嫌いなわけではなく・・ただ政夫に対する罪悪感から柔らかく拒否していたのであるが・・。
光男は同学年の女の子にはもてていた。・・美由紀も一時は光男に憧れたことも有ったが・・久三に性技を仕込まれ、男の性が判り始めた頃から・・その想いは少しずつ薄らいで行った。
しかし・・あの日以来、美由紀は清潔そうな光男のペニスに魅入られていた。・・もう一度口に頬張りたい・・ウブな光男に、もう一度・・少女の様に恥ずかしく抱かれたいとも思っていた。
(先週はお爺さんと奥様が相次いで亡くなられて・・お父さんは美由紀のとこに来なかった。今週も東京に行ったきり・・もう10日もお父さんには逢ってないナ・・)
(生理が始まる前に・・もう一度・・お父さんにしてもらいたかったのに・・)
(光男君・・今日は怒ってたな・・美由紀とSEX・・すごくしたいんだろうな)
(これ以上・・光男君を怒らせると・・またあの事を言い出しかねないし・・)
(今から・・抱かれに行こうか・・)
(光男君のあれで・・喉の奥・・突かれたら・・やっぱり・・濡れちゃうだろうな)
(光男君・・お尻もお腹も・・硬かった・・若い素敵な体だった・・)
(今度は・・もっと美由紀のはだか・・見るのかな・・恥ずかしいとこ・・いっぱい開いて・・)
(あぁぁん・・考えてるだけで濡れちゃうよー・・お父さんごめんなさい)
美由紀は小学生のとき友達と一回だけ行った光男の家に向かった。光男の父母は駅前で時計と宝石の店を営んでおり、帰りはいつも9時過ぎと光男は言ってた。
美由紀は思い出を辿って風呂屋を目印に右に曲がった。花屋の時計で1時半を確認して路地に入り懐かしい光男の家の前に立った。・・あたりを見渡し人影のいないのを確認し玄関の引き戸をそっと開く。
「ごめんください」
暫くして奥からどたどたと光男の足音・・。
「おー来たか! 上がれ上がれ」
満面の笑みを浮かべ眩しそうに美由紀を見つめる・・。
「きょうは誰も・・いないの?」
「おお・・俺だけだ・・・・・」
「では・・お邪魔しまーす」
美由紀は誰に言う訳でもなく声を上げて靴を脱いだ。
光男に案内されるまま長い廊下を歩き、今度は広い庭に出て井戸端を横目に離れに入る。
(なんて大きなお屋敷かしら・・)
離れの奥が光男の部屋らしい・・
(よくもまー・・ここから私の来訪が分かったもの?・・)
光男がいかに美由紀の来着を待ちかねていたか美由紀にはわかって、少し嬉しくなった。
「さっ中に入って」
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