売られた少女
横尾茂明:作

■ 離郷1

 強烈なオーガズムの波が何度も訪れた・・時間とともに少しずつその波が引いていく・・美由紀は肩で大きくあえぎながら政夫の胸に頬を寄せて痺れるほどの余韻を楽しんでいた。

「美由紀・・きょうはすごかったね・・そんなによかったのかい?」

「あぁぁ・・お父さん、よかったよー! まだこんなに気持ちがいいなんて・・・」

 政夫は「お父さん」といわれるたびにドキッとする・・中学生の実の娘と近親相姦している錯覚に囚われてしまう・・、美由紀がいくとき「お父さん気持ちいいー」と言われると政夫はたわいもなくワナワナと射精してしまう・・鬼畜の想いとは脳をこんなにも爛れさせてしまうのか・・・。

 中学生の少女が・・女に変貌していく・・政夫は早熟過ぎる少女に危うさを感じる。それは少女がいつの日にか自分の元から去っていく危惧でもあった。

「東京の家は来週には完成の予定だよ、美由紀は来週から春休みだったよね?」
「世田谷の中学には一昨日編入届けを出しておいたから春休みが終わったら東京で新学期だよ・・いよいよ3年生か・・こちらの友達にはもう東京に引っ越すことは言ったのかい?」

「・・・みんな私のこと・・薄々知ってるみたいで・・友達・・いなくなっちゃった・・」

「そっか・・・ごめん・・、でも向こうに行ったら美由紀のこと知ってる人はいないから心おきなく友達を作ることができるよね」

「美由紀・・お父さんだけいればいいの・・友達なんか・・美由紀いらないもん!」

「・・・・・・・・・・・・・」

 少女は寂しいのか・・甘えるようにさらに深く政夫の胸に顔をうずめる。

「東京オリンピックがもうすぐ始まるよね! お父さんといっぱい見に行こうな!」

「うん・・美由紀今からすごーく楽しみなのフフフ」

 話題を変え・・美由紀の笑顔を誘うことが出来た・・。
 しかし政夫は・・少女の心の揺らぎに敏感に反応する自分を何故か寂しく感じた・・(執着なのか・・)


 早朝・・黒塀町の堤を自転車で疾駆した・・桜の蕾が大きく膨らんで来週あたりが見頃と感じた。
 美由紀は桑名駅でいつものように自転車を停め、徒歩で学校に向かう・・橋を渡ったところで光男が俯きながら石を蹴って美由紀を待っていた。

「おっはよ!・・美由紀きょうは10分も遅いけど寝坊でもしたのか?」

「ううん・・今朝おばさんちに寄ってきたの、今週でお別れだから・・最後のお礼にと思ってね・・」

「美由紀も人がいいね・・あのババーお前を売った女だぜ・・」

「でも・・私の血筋は・・おばさんだけしかもういないもん・・」

「でっ・・おばさんはなんて言ってた?」

「・・・・・・・・・・・・」

「だよな・・・あのババーが・・いいこと言うはずがないよな・・」

「そうだ! きょう学校が終わったら俺んち来いよ、お別れパーティーでもしてパーッと騒ごうぜ!」

「・・・・・パーティーなんて嬉しいこと言ってくれるのね・・でも嘘!・・またしたいんでしょ?」

「先週3回もしたのに・・もうしたくなっちゃったの光男君?」

「いいじゃないか・・もうお別れなんだから・・」
「でもこれっきり美由紀の躯・・抱けなくなちゃうんだよなー・・」

 光男は寂しげに空を見上げる・・。

「ハイハイ分かりましたよ・・光男君ちに行けばいいんでしょ」
「もう最後だから・・きょうは光男君のしたいこと全部させてあげるネ・・」
「でも・・・この前みたいに痛いのは・・イヤよ・・」

「美由紀・・・ちょっと言いづらいけど・・きょう芳雄も呼んでいいかなー」
「芳雄のやつ・・美由紀のこと・・昔からすごく憧れてて・・」
「この前・・美由紀が東京に引っ越すって教えたら・・泣きだしちまってな・・」
「どうだろー・・別れの記念に・・美由紀の裸・・見せてやれないかなー」

「バカ! なに馬鹿言ってるの・・光男君」
「どうして私が芳雄君に裸を見せなきゃならないの?」
「芳雄君とは今まで話しもしたことがないのよ・・」
「それと・・男の子って・・女の子の裸しか頭にないの! 他に考えること何か有るでしょう・・」

「そうポンポン言うなよ・・」
「そうだよな・・俺だって美由紀の裸を他人に見られるなんて・・絶対我慢出来ないけど・・」
「でも・・あいついい奴なんだ・・俺の・・・親友・・・」

「もー光男君たらー・・・そんな話じゃないでしょー」
「・・・・・・・・・・」」

「でも光男君の親友なら・・もう最後だし・・・・」

「美由紀!・・ありがと・・芳雄には見せるだけだから・・」

「でも私たちがしてるとこも見られるんでしょ・・SEX見られるなんて・・・恥ずかしいな・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「本当に見せるだけでいいのね・・・・でも芳雄君・・我慢出来るの?・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

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