瑞希と悠希の放課後
木暮香瑠:作

■ 生徒会長は虐めの標的2

 悠希は、五人に囲まれ近くの公園に連れて来られた。
「トイレの中がいいわ。人に見られるとまずいし……。裕司、見張ってて……」
 真莉亜はそう告げると、裕司を入口の前に残し、四人で悠希をトイレに押し込んだ。
「やめてよ。何する気?」
 嫌な予感がしていた。悠希は、じりじりと壁際に下がりながら小さな声で訊ねた。

「なんでもいいからお金貸しなさいよ」
 入り口を塞いだ澪が、凄みの篭った声で言う。
「いやよ。どうして貸さなきゃいけないの?」
 悠希は不条理な頼みに納得がいかなかった。と言うより、脅しに屈する自分を認めたくなかった。悠希は澪たちの無心を、きっぱりと断った。

「貸してくれないんだ。困っている人がいても助けないんだ。それでもみんなの為の生徒会長なの?」
 澪が悠希の肩を強く押した。洗面台の前のタイルの上に倒れ込んだ悠希は、大きな瞳で四人を睨み返した。
「その目が気に入らないのよ」
 新垣美帆が、床に尻餅を付いている悠希の顔目掛けて脚を繰り出した。
「キャッ!!」
 悠希は、辛うじて両手で美帆の脚をブロックしたが、トイレの床に這い蹲るように倒れた。
「顔は止めときなさいよ。ばれるから……」
 美帆の後ろで、真莉亜の冷静な声がする。
「そうだね。黒川先生に腫れた顔、見られるとまずいね。そりゃっ!」
 美帆はそう言うと、悠希のお腹に鋭い蹴りを入れた。
「うっ、うぐ……」
 悠希は、お腹を押さえ床に蹲る。喧嘩慣れしている美帆の爪先は、的確に悠希の鳩尾を捕らえていた。

 お腹を両で手押さえ痛みに耐えている悠希を見下ろしながら、美帆は言った。
「お金、貸すの貸さないの?」
「貸さなっ……」
 悠希が返事を言い終わる前に、再び美帆のつま先がお腹に減り込む。
「貸すでしょ?」
「ううっ、うううっ、いやっ!!」
 悠希は、痛みに眉を歪めながらもお金を貸すことを拒絶した。

「痛い思いしただけじゃ駄目みたいね。それじゃ、恥ずかしい思いしてもらいましょうよ」
 壁に凭れ成り行きを見詰めていた真莉亜が、醒めた声で取り巻き達に語りかけた。しかし視線は、悠希に向けられたまま冷たい光を放っていた。
「えっ?」
 驚き顔を上げた悠希を、澪が羽交い絞めする。と同時に、麻貴が足を押さえ込んだ。
「何する気?」
 驚きに目を丸くする悠希のミニスカートに、美帆が指が掛かった。
「やっ、やめて……」
 悠希が悲鳴を上げるより早く、スカートは美帆の手により捲られていた。

 お臍が覗くくらいに捲られたスカートの下から、肌理の細かい柔肌とライトブルーのチェックのショーツが露出した。お臍のところにはブルーのリボンに飾られた高校生らしいショーツが、柔らかい膨らみを包んでいた。真莉亜はカメラ付き携帯を取り出し、ショーツを露にされた悠希の股間にレンズを向けた。

 シャッター音が響き、悠希に写真が撮られたことを知らせた。
「ひどい。もう、いいでしょう。放してよ」
(ぜ、絶対許さないから……。こんなことしてただで済むと思ってるの? パンツの写真を撮られたくらいで……、私、負けない……)
 これで開放されると思い、悠希は悔しさを押さえ言った。先生に言おうか、それとも警察に……、どうしようかと思案していた。
「これだけじゃないわよ。もっと恥ずかしい所、撮ってあげるわ。誰にも告げ口できないように……」
 真莉亜が顎で三人に指図をする。美帆は、悠希のショーツに手を掛けた。
(うっ、うそ……!! ぬ、脱がされる……)
 真莉亜達の虐めは、悠希の想像を超えていた。悠希は狼狽し、手足に力を込めもがく。
「いやああ! だめ!! だめええ!! そ、そんな……」
 悠希は必死の抵抗を試みるが、体格のいい澪に羽交い絞めにされ麻貴に足を抑えられた身では身体をくねらすのがやっとだった。ショーツが太腿まで下ろされ、お腹と太腿に囲まれた三角地帯に淡い翳りが顔を出した。
「いやあああ!! ひ、酷い……」
 悠希の悲鳴も、押さえ込む三人には何の意味も持たなかった。美帆は、悠希のショーツを一気に足首まで下げた。

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