瑞希と悠希の放課後
木暮香瑠:作

■ 姉は妹のために肌を晒す3

「朝食の用意できてるから……」
 悠希の部屋のドアに向かい、瑞希は朝食の用意が出来ていることを告げた。
(悠希……、心配しないで。私が何とかするから……)
 瑞希は、悠希と顔を合わすことなく出かけることにした。

 瑞希は、いつもより早く家を出た。ここ数日、悠希と視線を合わすことはあなかった。土曜日の夜以来、二人は会話を交わしていない。悠希も瑞希と視線を合わせることが出来ず、戸惑っているようだ。何か喋ろうとするが、瑞希が顔を向けると視線を逸らし俯いてしまう。そんな妹を助けることが出来るのは、自分しかいないと言い聞かせ学園へと出かけた。

 瑞希がいつもより早く家を出たのは、学園で着替えるためだ。高田裕司から、学園での服装を指定されていたからだ。渡された紙袋を開けると、中からはテーラーカラーのブラウスと黒いスカートが出てきた。黒い皮のスカートを手にとって見る。瑞希は、スカートのあまりの短さに驚いた。恐る恐る腰に当ててみた。
「えっ? これじゃあショーツが見えてしまうわ」
 スカートは、股下五センチも無かった。少しでも前屈みになろうものなら、お尻の膨らみはおろか、その柔肌を包むショーツまで見えてしまうだろう。
「こんなの穿けない……」
 もしやと思い、ブラウスも確認してみる。テーラーカラーのブラウスは、胸元が大きくV字に開きサイズも瑞希の胸を包むには小さそうだ。

 ブラウスを着替えてみると、ウエストの細い瑞希の腰にぴったりと貼りついている。しかし、一番上のボタンが掛からない。どんなに胸元を引っ張ってみても、ブラウスは胸を締め付けるだけでボタンホールに届かない。ただでさえ大きく開いた胸元のブラウスである。ボタンの掛からない胸元は、正面から辛うじてブラジャーを隠すのがやっとだ。横から胸元を覗くと、大きな胸が災いしてブラウスのカラーを押し上げてしまいブラジャーが覗けてしまう。
「これを着て授業をしろって言うの? 一日こんな格好をしてろって言うの?」
 瑞希は、悠希の代わりをするといったことを悔やんでいた。しかし、後悔なんてしてられない。悠希を守らなければと言う責任感で、スカートに脚を通した。

 黒皮の生地から、白磁のように肌理の細かい肌の生脚が伸びている。パンストはおろか、ストッキングも身に着けることは許されてなかった。瑞希は、その大胆な姿に頬が熱くなる。少しでも脚を隠そうとスカートの裾を引っ張ってみる。しかし、スカートは、瑞希のウエストの知って用意されたかのようにぴったりとフィットし少しも下がらない。少し屈むと、伸びない皮の生地はショーツに包まれた双尻を露にしてしまう。歩くだけでも、太腿はおろか臀部の膨らみがちらちらと覗いた。
「いやっ、酷い……。こんな服装で授業をしろだなんて……」

 裕司の指定したミニスカート、ブラウスでの授業は、ストリップショーの告知だった。
 今までも何度か、校内ストリップショーは秘密裏に行なわれていた。何らかの理由で、お金が必要になった女生徒が出演していた。いつもは、学園の指定どおりのスカートを穿いている女生徒が突然ミニにしたら、それが出演の合図だった。男子生徒は、ミニスカートを穿いた女子生徒と入場料を比較検討し観覧を決めるのだ。入場料の半額が出演した女生徒に渡り、残りが裕司たちの取り分になっていた。

 職員室に入った瑞希に、教員たちの驚きの眼差しが向けられる。
(ああ、見られてる……。そんなに見詰めないでください)
 瑞希は、恥辱に頬を染め俯いた。
「瑞希先生、今日はどうされたんですか?」
 入口近くにいた若い男性教師が、瑞希の肢体を足元から舐めるように視線を這わしながら尋ねた。
「おかしいですか? に、似合いませんか?」
 瑞希は俯き、理由を尋ねられないよう質問を返した。
「いやあ、似合ってます。瑞希先生なら、何を着ても似合ってます」
 若い男性教師は、自分のスケベ心を悟られまいと視線を上に逸らした。そして、服装を褒めた。
「そうですか?」
 瑞希は、恥かしさで目を合わすことも出来ない。視線を床に落としたまま、返事をした。床に落とした視線に、自分の足が写る。普段は見せることの無い太腿が見える。改めて、自分の姿のいやらしさを思い知る。
「いつもの清楚な瑞希先生もいいが、今日は女らしさが滲み出ていてすばらしいですよ」
 男性教師は突然の降って湧いたような楽しみが無くならない様にと願い、瑞希の服装を褒めた。実際、初めて見る瑞希の生脚は、細すぎず適度な脂が乗り大人の魅力を醸し出している。
 ぎこちない褒め言葉は、瑞希の羞恥心をいっそう煽った。瑞希は、顔を紅く染め急いで自分の席に着いた。


 一時間目から、瑞希の受け持つ科目の授業があった。瑞希は、三年生の教室がある棟へ急いだ。始業のチャイムが鳴ったというのに、廊下では生徒たちが先生が来るまでの時間を無駄話に費やしている。

 瑞希の姿に気付いた生徒たちの目が、大きく見開かれる。驚きの視線を向けた後、ミニスカートから覗くすらりと伸びた脚に落とす。
「チャイムは鳴ったわよ。早く教室に入りなさい」
 瑞希は、優しく注意しながら通り過ぎた。男子生徒たちは、注意されても教室に入ることなく通り過ぎた瑞希の後姿に視線を這わせていた。クリッ、クリッとスカートの中で揺れるヒップを、スカートの裾から覗きそうな柔肌の隆起を見詰めていた。

 瑞希は、振り向かなくても男子生徒たちが見ていることを察していた。背中にお尻に男子生徒たちの熱い視線を感じる。
(ああっ、見られてる……。見ないで……、お願い、見ないで……)
 瑞希は、見えない圧力に押し潰されそうになるを必死で堪えていた。背中に圧し掛かる視線に押されるように早足で急いだ。瑞希のお尻が、いっそう大きく左右に揺れる。そのヒップに、男子生徒たちの視線はさらに熱く注がれた。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊