瑞希と悠希の放課後
木暮香瑠:作

■ 交錯する思い1

 自室に籠もった悠希は、電灯も点けないままベッドの上で泣いていた。窓から差し込む月明かりが、薄暗い部屋の中、悠希の横顔を青白く浮かび上がらせている。隆のことを思うと、止めどなく涙が溢れてくる。姉の淫らな姿を見せ付けられた悠希の昂ぶった心は、いっそうの涙を誘った。
(ううっ、隆さん……。どうしてお姉ちゃんの恋人なの? 私じゃあダメなの?)
 涙を湛えた瞼に、さっきまで焼き付けられた姉に淫らな肢体が浮かんでくる。興奮状態の脳裏には、フラッシュバックのように次から次へと男たちに翻弄され揺れ動く姉の裸体が浮かび上がった。
(お姉ちゃんのどこがいいの? あんなに淫乱なのを知っているの? 淫乱なお姉ちゃんが好きなの?)
 隆のことを思うと、さらに涙が溢れてきた。

 どのくらい泣いていただろう。涙も涸れ、虚無感だけが身体を包む。その時ふと、股間を包むショーツの冷たさを感じた。
(あっ……、濡れてる……)
 悲しいのに、虚しいのになぜ濡れているのだろう。悠希はスカートの中にてを忍ばしてみた。手に触れたのは粘り気のある液体。
(なぜ? なぜ濡れてるの?)
 昂揚した中、熱くなった身体は、媚肉の変化を気付かせなかったが、姉の痴態を見せ付けられた淫心は興奮していたのだ。

 ショーツの中に手を忍ばせる。そして、恐る恐る亀裂に指を埋めた。
(あ、熱いわ……。こんなに熱くなっている……)
 血流を集めた媚肉は、外気に触れ冷めたショーツと違い、未だ熱を帯びたままだった。

 湿った熱い媚肉に触れた指は、砂漠で水を見つけた旅人のように、朦朧とした意識の中、走り出す。指自身が潤いを求めるようにもぞもぞと蠢いた。
(ああ……、隆さん……)
 隆のことを思うと、自然と指が動く。砂を掻き分け湧き水を探すように、指が媚肉を弄った。

 悠希は、姉の犯されている姿を自分に重ねていた。悠希に隆が覆いかぶさり、腰を動かしている。
(隆さん……、も、もっと激しく……、ああっ、あん……)
 四つん這いになった悠希に、隆が腰を打ち付けている。そんな姿を思い浮かべながら、亀裂に埋もれた指を動かした。
「あうっ! あん……、うう……」
 堪える口元から、押し殺した喘ぎ声が漏れる。
「ああん、たかしさん……だめ、そんなに激しくしちゃあ……。声が、声が漏れちゃう……」
 ベッドの上でお尻を掲げ、指で亀裂の奥を弄る。顔をシーツに押し当て声を殺し、掲げたお尻をうねらせた。

 眼の前が、頭の中が真っ白に塗りつぶされる。妄想の中で隆が放出したザーメンが、悠希の顔に、膣に降り注ぐ。真っ白に染め上げるまで浴びせられる精液に、意識が白く飛んでいく。
「あっ、ああっ、あうっ、あううう……」
 ふーーと遠のく意識の中、悠希はシーツの海に崩れ落ちた。



「はあ、はあ、はあ……」
 自分の荒い吐息に気付き、意識が戻ってきた。
「はあ、わ、わたし……どうなったの?」
 シーツを握り締めた手を手繰り寄せる。
「イッ、イっちゃったみたい……」
 身体が泥沼に使っているような重だるさの中、ゆっくりと身体を起こした。初めてのエクスタシーによる気だるさが、徐々に取れていく。
(わたし……、何してんだろ? こんな時に……。わたしもお姉ちゃんと一緒? 淫らな血が流れてるの?)
 意識が戻るにつれ、不安に身体が震えた。震えを止めるように、悠希は胸に廻した腕をギュッと抱きしめた。

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