瑞希と悠希の放課後
木暮香瑠:作

■ 悠希の決心3

「悠希ちゃん!!」
 部室のドアを開けた途端、吊るされた悠希の姿が瑞希と隆の目に飛び込んできた。二人は、一刻も早く助けようと部室に飛び込んだ。隆が一歩、部室に踏み込んだ時、首筋に鈍痛が走る。
「うっ!?」
 隆の身体がゆっくりと床に崩れていった。ドアの陰に隠れていた男の手刀が打ち込まれたのだ。



 隆が意識を取り戻したときには、後ろ手に縛られ椅子に座らされていた。後手は、背凭れの後ろで括り付けられているみたで動かせない。ぼんやりとしていた視界が、次第に鮮明さを取り戻す。その視界には、悠希に代わって吊るされている瑞希の姿が映った。
「み、瑞希!!」
 瑞希の横には、脱力した悠希が虚ろな瞳でぺたんとお尻を床に着けしゃがみ込んでいる。二人の周りを、真莉亜、裕司、そして数人のラグビー部員が取り囲んでいた。
「気が付いたみたいだね。瑞希先生の恋人……」
 真莉亜が、冷たい視線を投げ掛ける。
「き、君たち! な、何が目的だ!! 瑞希を放せ!」
 立ち上がろうとするが、足も開いた形で椅子の脚に縛り付けられていて身動きできない。隆は、不自由な身体を精一杯伸ばし叫んだ。

 ゆっくり近づいてきた真莉亜は、隆の顔を覗きこみ言う。
「ねえ、県大会でのラグビーの試合、負けてよ。瑞希先生からも頼んで……」
 真莉亜は、隆と瑞希に視線を交互に送りながら言う。瑞希は、イヤイヤと顔を弱々しく振る。隆のラブビーにかける思いを学生の時から知っている瑞希には、できない願いだった。たとえ自分の身に、どんな不幸が降りかかろうと……。

「ねえ、どうなの? 瑞希先生がどんな目に遭ってもいいの?」
 真莉亜は隆の前にしゃがみ込み、薄笑いを浮かべ顔を覗きこむ。
「な、何を言ってんだ。君たちは何をしようとしてるのか判ってるのか? これは犯罪だぞ!」
 隆は、ぐっと唇を噛む。隆が答えに窮しているのをいいことに、真莉亜は次の計画を実行した。真莉亜は立ち上がり、見下すような視線を投げ掛けた。
「まあ良いわ。あなたにも弱みを持ってもらうわ。それも瑞希先生の目の前でね。そうしたら、私たちの言うこと聞いてもらえるでしょ」
 真莉亜にとって隆が言うことを聞いてくれるかなど、どうでもよかった。と言うより、簡単に言う事を聞いてもらっては困るのだ。真莉亜にとっては、瑞希を陵辱するのが目的なのだから……。

 裕司が、瑞希たち三人を拉致する計画を聞いたとき、真莉亜はすぐさまその計画に乗った。瑞希に決定的なダメージを与えてやりたかった。目障りな悠希を虐めてやりたい。二人をメス豚に堕としてやる、精液公衆便所以下の存在にしてやる。そうすることで、裕司が瑞希を抱くことも性欲処理の為に抱いているだけなんだと自分を納得させられる気がする。いや、納得しようとしたのだ。

 真莉亜は、床に座り込んでいる悠希に視線を移すと命令口調で言う。
「悠希、隆さんを気持ちよくしてあげなさいよ」
「?」
 悠希は、驚きの表情を真莉亜に向けた。
「あなたの身体を使って気持ち良くさせてあげるのよ」
「えっ?!」
 悠希の顔が一瞬強張る。
「出来るでしょ? あなたの身体で、負けるようにお願いするの。学園の為に尽くすのが生徒会長の勤めだものね。そうすれば、あなたの恥ずかしい写真を捨ててあげるわ」
 真莉亜は、悠希が生徒会長に立候補したときの言葉を引用して責める。
「あなた、隆さんのこと好きなんでしょ? あなたにとって一石二鳥の美味しい話じゃない?」
 有無を言わせない強い視線で、真莉亜は悠希を見下ろしている。逆らえばどうなるかを想像することは容易い。その為にラグビー部員たちを連れてきているのだろう。姉がマンションで受けた仕打ちが、この部室で悠希に降り注ぐのだろう。姉の前で、密かに思いを寄せる隆の前で……。

 悠希はしばらくの思案の後、観念したかのように頭を垂れ隆の前に立った。
「隆さん……、わたしで気持ち好くなって下さい」
 悠希は、隆だけに聞こえるくらいの声で呟く。そして、ブラウスのボタンに手を掛けた。
「だ、だめだ! 悠希君! やめなさい!!」
 隆は、目の前でブラウスを脱いでいく悠希に叫ぶ。制止も耳に届いていないかのように、悠希は肌を露にしていく。悠希は、背中に手を廻しブラのホックに手を掛けた。
 プチッと小さな音に続き、純白の布切れが床に落ちる。
「おおっ!」
 観客であるラグビー部員たちの歓喜の声が上がる。人気者の生徒会長・黒川悠希のバストが露になったのだ。男たちの妄想の中で夢見ていたバスト、まだ線に硬さを残す初々しい肉球はツンと吊り上り、その先端にピンク色の乳頭が慎ましく鎮座している。
「ピンクだぜ。ピンクのチクビしてるぜ」
 男たちの視線が悠希のバストに突き刺さる。
「ああ……、恥ずかしい……」
 悠希はほのかに朱色に染まった顔を俯かせ、そして手を腰を覆っているブラ同様の純白のパンツに手を掛ける。
 ゴクリと唾を飲む音がし、男たちは黙り込んだ。隆もその少女と大人の間の初々しい裸体に息を呑んだ。沈黙の視線が支配する中、衣擦れの音だけが聞こえる。そして遂には股間を飾る翳りまでをも、隆の前に、男たちの視線に晒した。

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