夢魔
MIN:作

■ 第1章 淫夢11

 バスルームで排便を終えた、弥生の瞳に意識が、戻り始める。
「あふぅ〜…はん…く〜ん…はぁ〜…」
 弥生は直腸内の全てを出し終えると、お尻を高く上げ、顔を床に着ける。
 両手を後ろに回すと、お尻を思いっきり開いて、排便で汚れたアナルを晒す。
 暫くその姿勢でいた弥生だが、自分の身体に誰も触れないのを、怪訝に思い身体を持ち上げる。
 そして、バスルームに自分しか居ない事を確認すると、泣き出しそうな顔になり、辺りをキョロキョロ見回し始めた。
「わん! わん、わん…わん…わん…わ…ん……」
 犬の鳴き声で呼ぶが、勿論なんの返事も返ってこない。

 弥生は汚れた身体のまま、バイブと革製ショーツを戻し、キョロキョロと見回しながら這い始める。
「わん! わんわん…」
(いや…置いていかないで…置いていかないで下さい…弥生を…もっと…可愛がって…遊んで下さい)
 弥生は家中を這い回り、誰かの姿を探す。
「わん…わん…わ〜ん…わんわん…」
(い、居ない…何処へ行ってしまわれたんですか…私は、何か粗相をしてしまったの…まだ、入れて貰って無いのに…)
 弥生は項垂れながら、バスルームに戻ると、排便の始末を始めた。

 自分の排便を手で握りつぶしながら、細かく砕いてシャワーで排水溝に流す。
 その目は悲しみに濡れ、肩が小さく揺れ始めると、涙が溢れ始める。
(弥生は…弥生は、もうこの世界から…出たくない…。でも…目が覚めると…全てが夢なのよね…。全て消えてしまう…)
 弥生には、今の行動が夢なのか、現実なのか理解できて居ない。
 現実と夢の間を妄想が塗りつぶし、弥生の精神を侵し始めていた。
 全ての道具を綺麗に洗い終えると、弥生はまたそれを身に着け始める。

 全てを身に着けると、弥生はまた四つん這いで、寝室に戻り床に踞る。
 すると、またどこからともなくアラーム音が鳴り、弥生の意識が薄れて行く。
 フラフラと立ち上がると、パソコンの前に座り、電源を入れる。
 そして、URLを入力すると、どこかのサイトを表示する。
 其処には数行の文字が書いて有るだけだった。
 弥生はその文字を見詰め、読み終えるとホームに戻り、履歴を消して電源を落とす。

 弥生は暫く電源の入っていないパソコンを、ジッと見詰めているた。
 すると、玄関でチャイムが鳴り、弥生はスッと立ち上がると、そのままの姿で玄関まで歩いて行った。
 玄関を開けると弥生はスタスタと門まで進み、門の下に置いて有る封筒を手に取り、踵を返して戻って行く。
 寝室に戻ると弥生は、その封筒をテーブルの上に置き、装具を外すと一つずつ横に並べ始める。
 そして、全裸に戻ると部屋着を着込み、ベッドに横になる。
 ベッドに横たわった弥生の身体から、力がスッと抜けると、深い眠りに落ちて行く。
 全身の力を抜いて、横たわる弥生の顔がニッコリと微笑み、目から涙がスーッと流れた。

 どこかの部屋で男が二人、モニターを見ながら立っていた。
 一人が席について、キーボードを叩き始めると、数字と記号の羅列が並び始める。
 もう一人は立ったまま、マウスを操作し画面のデーターを切り替える。
「No.1は、もう充分だな…余り長く放っておくと、本当に壊れてしまう…」
 白衣を着た男が、メガネを押し上げ呟くと
「じゃぁ、そろそろ摺り合わせだな…いよいよ、リアルでの調整に成るわけだ…へへへ」
 キーボードを叩く男が、下卑た笑いを浮かべて話す。
「ああ、彼は居ないけど、帰って来てからいくらでも、参加できます…」
 静かにモニターを見詰めながら、白衣の男が言った。

 美紀は5時間目が始まっても現れない、稔の席を凝視しながら考え込んでいた。
(妄想が出てきたら…危ないって言ってたわね…これからは、気をつけなくちゃ…余り深く考えずに…笑い飛ばせば…)
 美紀は稔に説明された話を、幾度も反芻し自分の意識に、刻みつけて行く。
 それが、どういう結果を招くのか、美紀にはまだ理解できて居なかった。
 美紀には自分の身に何が起こっているのか、何が起きようとしているのか、現時点で知りようが無かった。
 それは、この罠が巧妙に仕組まれて居たから以外の、何物でもなかったからだ。

 5時限目が終わると、美紀の元に沙希が現れる。
「ね、ねえ美紀…さっき、柳井の言った事…本当かな…。どうも、胡散臭いんだよね…ね、小室先生に聞いてみようか…」
 沙希が提案すると、美紀は頬を赤らめ
「だ、ダメだよ…あんな事言えない…」
 そう呟くと、慌てて口を押さえる。
「え? …あ、あんな事って…エッチな事…」
 沙希は驚きを浮かべ、美紀に問いかける。
 美紀は顔を真っ赤にして、口を押さえたまま、コクリと頷く。

 沙希は驚いた表情から、頬を染めると、美紀の耳元に唇を寄せ
「実は…私もなんだ…エッチな夢…」
 小さく囁いた。
 今度は、美紀が驚きの表情を浮かべ、沙希を凝視する。
 二人はこの時初めて、自分達が同じ悩みに侵されている事を知った。
「もうすぐ6時限目始まっちゃうし、放課後直ぐに小室先生の所に行こう…。大丈夫、変な所は伏せて話せば良いんだし…ね」
 沙希がニッコリ笑いながら、美紀を押し切ると、美紀も渋々頷く。

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