夢魔
MIN:作

■ 第2章 浸食(弥生)1

 弥生は安らかな寝息を立て、眠っていた。
 しかし、顔には明らかな憔悴と、満たされない不満が現れている。
 そんな中、アラーム音が鳴り、弥生の眠りを覚醒させる。
 弥生は大きく一つ背伸びをすると、あくびをして目を擦る。
 枕元に置いて有る、メガネを掛けると、ベッドから出る。
 そして、その視線は自然にベッドの横に置いてある、テーブルに向いた。
 途端に弥生の身体が、硬直する。
(えっ…何…まだ、私眠ってるの…。じゃなきゃ…これがここに有るなんて…)
 弥生は恐る恐る、自分の頬に手を当てる。
(一緒か…だって、夢の中でも痛みを感じてるんだもん…)
 弥生はそう考え、手を下ろす。

 そして、弥生は傍らに置いて有る、封筒に手を伸ばし、中身を確認する。
 封筒の中身は、大きく引き延ばされた、写真だった。
 そう、弥生が夜毎繰り広げる、淫らな行為の写真。
(う、嘘…夢なのに…写真がある…そんな…。いえ、違うわ…これも夢だから…写真も夢なのよ…)
 弥生は自分に言い聞かせて、写真をマジマジと見詰める。
(え!? …お、おかしいわ…この写真…映ってない…どうして? …全部私だけ…あの方が…居ない…)
 弥生は写真を見詰め、いつも自分を散歩させてくれる、[大切な人]の姿を探すが、何処にも映っていない。
 弥生は次々と写真を入れ替える、しかしどれを見ても、結果は同じだった。
 すると、写真の束の間から、一枚の紙が落ちる。
 その紙には、[今日は8時からいつものように、始めなさい]と書かれていた。
 弥生はその紙を手に取ると、胸に抱きしめウットリと顔を蕩かせる。

 時計を確認した弥生は、指示の時間まで後、20分足らずしか無い事に気づき、急いで支度を始める。
 部屋着を脱ぎ捨て、バイブとTバックショーツを着けると、乳房にクリップを嵌め、首輪をする。
 そして、紺のバックスリットが入ったタイトスカートを履くと白いブラウスを地肌に着ける。
 その上に白衣を羽織ると、寝室を後にする。
 玄関に着くと、下駄箱から白いピンヒールを取り出し、扉を開ける。
 庭を突っ切って門を出ると、ポケットに入っているリモコンをオンにして、バイブを動かす。
 たちまち、弥生の頬はピンクに染まり、身体をくねらせながら、学校に向かう。

 職員用の入り口から入り、保健室へ向かい鍵を開けて、中に入る。
 保健室の静まりかえった中で、弥生はいつものように、椅子を入り口に向ける。
 そして、白衣の裾を背もたれの奥に落とし、タイトスカートを前に引く。
 弥生の履いているタイトスカートのバックスリットは、お尻の頂点の直ぐ下まで入っており、前に引っ張ると、下半身が丸出しになる。
 ブラウスのボタンを上から4つ外すと、大きくはだけ乳房を露出する。
 両足を肘掛けの上に乗せ、足を大きく開いて腰を前に突き出す。
 Tバックショーツの前をずらして、バイブを引き抜くと口に咥え、指を差し込んでオナニーを始める。
 そして、扉を開いて大切な方が、現れるのを待つ事が、弥生の日課だった。

 いつものように弥生は、オナニーに耽る。
 弥生の頭に靄が掛かり始めた頃、廊下を歩く靴音が聞こえる。
(あ…足音…来てくれたの…大切な方…扉を…扉を開けてください…)
 弥生は熱い息を吐きながら、オ○ンコをクチュクチュと掻き混ぜる。
 扉の前で足音が止まり、気配が保健室に漂う。
(く、来る…扉の向こうに…誰か居る…。今日は…いつもと、感じが違う…はぁ〜…切ない…ドキドキする…どうして…)
 弥生の表情は、赤く染まり緊張を露わにする。

 そして、扉がユックリと開き、入り口に一人の影が立っている。
(あ! ああぁ…来て下さった…大切な方…早く…早くリードを…おねがいします…)
 影はユックリ中へ入ってくると
「上郷…先生? な、何て格好を…」
 弥生に向かって声を掛けた。
 弥生はその影が、自分の待ち望んで居た者と、別人だと気づく。
 慌てて身体を隠そうとするが、その手を影に捕まれる。

 影は扉を閉めると、鍵を掛け弥生に告げた。
「先生にはこんな趣味が有ったんだ…丁度良い、僕は実はサディストなんです…」
 そう言うと、影は弥生を椅子ごと、明かりの届く場所に押しやりながら、姿を晒す。
「先生は、主人が居ないようですね…だったら、僕が成って上げますよ」
 明かりの中に現れた、稔を見詰め弥生の脳が、急速にその認識を繋ぎ合わせる。
(あ! ああ! 解った…私は唯待っていたんだ…こんな方が…私の…大切な方が現れるのを…。私を飼って呉れる…私のご主人様を…夢の中で…ずっと…探してたんだ…)
 薄明かりの中で、稔を見詰める弥生は、稔を主人と認識し身体を震わせる。

 震える唇から、バイブを零れ落とすと
「お、お待ち…しておりました。ご主人様…」
 掠れた声で囁き、目から涙を溢れさせた。
 稔はニヤリと笑うと、制服のポケットから、鎖のリードを取り出し
「いつか、これを使える日が来ないかって、持ってたんだ…」
 弥生の首輪に繋げる。
 弥生はその音を聞いただけで、全身を震わせて、絶頂を向かえた。
 こうして、弥生の想像世界から浸食した淫夢は、現実世界にその位置を移した。

 弥生は保健室の床に平伏し、稔の足下に踞っている。
 稔は先程迄、弥生が腰掛けていた椅子に座り、足を組んでいた。
「さて…上郷先生は僕の奴隷に成ったんだ…これから何て呼ぼうかな…」
 稔の足下に平伏する弥生は
「ご主人様のお好きな呼び方で…ポチでも…ベスでも…頂ける名前を喜んでお受けします」
 頭を上げる事無く、震えながら答える。
 弥生の心は、現実を満たし始めた淫夢に、興奮を隠せないで居た。

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