夢魔
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■ 第2章 浸食(弥生)7

 梓が慶一郎の電話を受けた頃、上郷家では稔と弥生が風呂に入っていた。
 弥生は稔の背中を、自分の身体で洗いながら
(おかしいわ…これ…夢じゃないみたい…だって、こんな風に…相手の人を、認識できた事…無いモノ…)
 弥生は今初めて冷静に、稔との関係が現実だと、認識し始めた。
(えっ…だったら…こんな事…良くないわ…だって、10歳も違うし学校の生徒だし…こんな事…駄目よ…)
 弥生は稔の腕を乳房の間に挟み、擦りつける。
(ど、どうしよう…気持ちいい…止められない…駄目だと…解ってるのに…ああぁ…この腕に、抱かれたい…)
 弥生の乳房に挟まれた稔の腕は、着衣の上からは想像も出来ない程、逞しく鍛えられていた。
 それは、腕だけでは無く、身体全体が引き締まった筋肉で覆われ、脂肪が殆ど付いていない身体だった。

 弥生は稔の身体を、丁寧に洗いながら、最後の希望に掛けて、口を開いた。
「あ、あの〜…こ、これって…夢…ですか?」
 弥生は実に間の抜けた質問を、稔にした。
 稔は弥生を見詰め、クスリと笑い
「弥生は、夢の方が都合が良いの?」
 問い返した。
 弥生はドキリとした表情を浮かべ、暫く黙り込むと、コクリと頷いた。
 稔は、暫く弥生を見詰め、目を閉じると何か考え、口を開く。
「悪いが、夢じゃ有りません…弥生が僕を夢として扱うなら、僕はこれで帰ります」
 そう言って立ち上がる。

 弥生はたちまち、恐怖感に襲われる。
(ま、また…悶えるだけの、日々を送るの…や、やだ…あれは…いや!)
 弥生は立ち上がった稔の足に、しがみ付いていた。
 稔は立ったまま、弥生を見下ろし
「放してください、上郷先生…僕は生徒ですよ。僕に何をするんですか?」
 落ち着いた声で、静かに弥生に告げる。
 弥生の身体は、その声を聞いて、震え始める。
(やだ…やだ…そんな声で…先生って…呼ばないで下さい…弥生って…牝犬弥生って、呼んで下さい…)
 弥生の感情が爆発する。

 弥生は必死にすがりながら、稔に謝罪する。
「済みません…済みません、お許し下さい…お許し下さい、ご主人様…弥生が、間違っておりました…」
 弥生が懸命に掴む手を、稔はスルスルと解き、身体を離す。
「どちらにせよ…僕は帰ります。上郷先生、言葉は戻らないんですよ…行った過ちには、必ず誠意が必要なんです」
 稔はそう言って、手桶を持って身体の泡を落とし、踵を返す。
 弥生はその背中に、意を決して声を掛ける。
「どうすれば、お許し頂けますか…どうすれば、誠意を受け取って頂けますか…」
 稔は少し考え、弥生に告げる。

「自覚して下さい…貴女は学校の養護教員で、10歳も年下の生徒に、奴隷にして欲しいと頼んだ女だと言う事を…。僕が許すまで、貴女は僕の事を、ご主人様と呼ば無いで下さい…名字に君付けで呼んで下さい…僕も上郷先生と呼びます」
 稔の言葉は弥生にとって、痛烈だった。
 立場を気にした発言が、罰則として立場を露わにする呼び名しか、許可されない。
 それが、どんな行為の最中でも、一切逆らえないのだった。
「そ、そんな…それじゃ…」
 弥生は、言葉を途中で飲み込み、俯いた。
(だめ…これは…罰…ここで口答えしては…絶対に駄目)
 弥生の中で、強く囁く声がして、弥生は反論を止めた。

「わ、解りました…柳井…君…」
 弥生は稔の名前を呼んだ時、深い悲しみと甘い倒錯感を同時に感じた。
(な、何…今の感じ…悲しくて苦しいんだけど…ゾクゾクする…ああ…とうとう…私おかしく成ったのかしら…)
 稔は弥生の変化を、見逃さなかった。
(生徒とSMのプレイをする…そんな、背徳行為を想像したね…いや、感じたのか…どちらにしろ、この躾が終わったら、弥生は僕達の手の内です…)
 稔は状況を分析して頷くと、弥生に向き直り
「で、どうします? …続けますか? 上郷先生」
 弥生に質問をした。
 弥生はビクリと身体を震わせると、頬を紅潮させ
「は…い…。続けさせて下さい…柳井…君…」
 弥生は稔に哀願した。

 稔は弥生の側に立つと
「足を開いて、オ○ンコを開いて見せて下さい」
 弥生を見下ろし、命令する。
 弥生はお尻を、洗い場の床に付き、膝を曲げて足を大きく開くと、両手で大淫唇を引っ張り、オ○ンコを晒す。
「こ、これで良いですか…柳井君…」
 稔をメガネの奥から、上目遣いに見詰めて聞いた。
「顔を僕に向けて、大きく口を開いて…」
 稔がそう命令すると、弥生は顔を上げ、口を大きく開く。
「今から僕はオシッコをします。上郷先生は、それを残さず飲んで下さい…解りましたか? 養護教員の上郷先生」
 稔の言葉に、弥生は愕然とする。
(そ、そんな…オシッコを飲むなんて…そんな事…それじゃ、生徒のおトイレじゃないの…)
 弥生は強い抵抗感を意識では感じながら、心が自然に反応し頷いていた。

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