夢魔
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■ 第3章 浸食(梓)2

 梓は玄関を出ると、真っ直ぐに自宅から5分程の距離に在る、大きめの公園に向かう。
 時間は5時を向かえようと言う頃で、ようやく東の空が明るく成り始めていた。
 そんな中を歩く梓は、黒い鞄を後ろ手で両手に持ち、お尻を振りながら、歩いている。
 本人は、散策中の積もりで歩いているが、その姿は露出狂の淫女そのものだった。
 ピンヒールで歩くため、背筋を伸ばした身体は、自然と体軸で回転し、梓の着衣は徐々に拡がり始める。
 上半身はその豊満な乳房の谷間を見せつけ、危うく乳首が見えそうに成る程はだけられ、腰から下に至っては、足を前後に入れ変える度、股間の陰毛が見え隠れしていた。
 しかも、両手を後ろ手に組んでいるため、肩が後ろに引かれ、自然と胸を張る形になり、着衣の乱れは一歩毎に拡がって行く。
(ああ…わたし…あるいてる…ほんとうに…はしたない…かっこうで…そとを…あるいている…)
 梓の身体は、徐々に露出の快感に侵され、淫夢の興奮が目覚め始め、内股をタラタラと愛液が伝いだす。
 公園の入り口に着いた梓の姿は、合わせていたコートの前が、細く身体の中心の肌を晒す程乱れ、身体全体を妖しくピンクに染め、顔は陶酔の表情を浮かべていた。

 公園の中に入った梓は、真っ直ぐに奥まった場所にある公衆便所に進み、アンモニアの匂いが立ち篭める、便所内の一番奥に在る個室の扉を押した。
 この公園の公衆便所は、男女の区別が無く、個室が多い変わりに、その前には男性用の小便器が無く、壁に放尿する形式のトイレで有った。
 その為ここを使用するのは、日中の明るい時間の子供か、浮浪者や酔っぱらいの類だけだった。
 梓はこの公園に着いてから、徐々にその意識を覚醒させ始める。
 トイレに向かって一歩踏み出す度に、意識を覆った膜が、一枚一枚剥がれるような、そんな感覚が梓の中に現れる。
 しかしそれと同時に、押さえようのない興奮が梓の中に生まれ、身体を前に押し出すのだった。
 梓は一番奥の便座に腰を掛けると、足を前の扉面の壁に立て掛け、大きく開くとコートのベルトを解く。
 コートは押さえを失いハラリとはだけ、梓の裸身を晒す。
 梓は便座の上に寝そべるような形に腰をずらし、コートの前を完全にはだけると、お腹の上に鞄を置き、中身をまさぐりマジックと、制汗スプレーを探す。
 しかし、鞄から出てきた物は、長さ30pのディルドーと黒い数珠状のアナルバイブだった。
 梓はそれを見て、愕然とする。
(ど、どうして…これがここに有るの?。これは…夢…? い、いったい…いつから…。私は…いつ眠ったの…)
 梓は目の前に有る、夢の中でいつもある人の前で、痴態を晒す時に使う道具を見て、震え上がった。

 梓はガックリと肩を落とし、涙を溢す。
(私は、どうやってもこの夢から、逃げられないのね…。良いわ…それなら、それで快感を求める…夢の中でも構わない…)
 梓は早々に開き直り、アナルバイブを口に咥えると、唾液を大量にまぶして、アナルにあてがい、奥まで飲み込む。
(くっ…夢なのに…今日は…少し痛いわ…)
 アナルバイブを飲み込むと、底部に有るスイッチを入れ、蠕動させる。
(くうっ…こ、腰の位置かしら…肛門が…引っ張られる…)
 梓は尻タブを両手で持つと、左右に開いて肛門の巻き込みを直す。
(あ…ああっ…落ち着いたわ…。う…ん〜っ…そうこれ…この感じ…あああぁ〜っ…堪らない…)
 梓はアナルから拡がる快感に、心を蕩かせる。

 梓は一度両腕を下に向けて肩ごと開き、スプリングコートを滑らせて脱ぐと、片手で便座を押さえ、両足を壁に突っ張って身体を浮かせると、コートを素早く床に落とし、元の姿勢に戻ってディルドーを股間にあてがう。
 全裸に成った梓は、便座に身を預け、開脚したまま激しくディルドーを出し入れする。
(くあ〜ん、いい…気持ちいい…あはぁ〜…すごい、凄く感じる…何…これ…いつもの夢じゃない…あひゃ〜ん…)
 梓は余りの快感に、戸惑いや驚愕を押し流し、たちまち巻き起こる官能に、激しく感じ始める。
 そして、その官能は何の制限もなく、一挙に梓を絶頂へと押し上げる。
(きゃはーーーーーん、あ、あ、あ、すごい、あああーーーっ、イクーーーーーーっ!)
 快感の波は、一息に梓を飲み込み翻弄した。
 ビクビクと全身を、痙攣させ梓は荒い息を吐きながら、驚いていた。
(イ、イケた…イケたわ…それも、凄く気持ちよかった…夢なのに…こんな気持ちいいの…初めて…)
 梓は唐突に訪れた、オナニーによる絶頂感に、驚きと同時に強い諦めを感じた。
(やっぱり…私は夢でしかイケ無い…こんな、変態みたいな真似をしなきゃ、イケ無いんだわ…)
 その時梓に、一つの考えが浮かぶ。
(変態みたいな真似…違う…変態なのよ…私…。だから、普通じゃイケ無くて、夢でイケるの…そうよ…きっと、そう…)
 梓はそう思い込む事に寄って、今の快感を理解しようとした。
 そして、坂道を転がり落ちてゆく。

 梓はどうせ夢ならばと、思い切り淫らに成る事を決めた。
 ディルドーの底に着いている吸盤を咥え、唾液を塗すと扉に押し付ける。
 便座を抱え、バックの姿勢でディルドーに手を添え、オ○ンコに咥え込み激しく腰を振り始めた。
「あはぁ〜ん、くぅ〜…きもちいい…はん、はん、あは〜ぁ…いいの…いいの〜っ…オ○ンコ…きもちいい〜っ…」
 扉に固定されたディルドーは梓が腰を打ち付ける度に、ゴンゴンと扉を揺らし、公衆便所自体に異常な振動を伝える。
 そればかりか、梓は自分がいかに淫乱で、それを満たすためには、どんな事でもすると、口にしていた。
 梓は余りの快感に、自分があられもない姿を晒している場所に、他人が近付いて来るのを、悟る事が出来なかった。
 梓がそれを知ったのは、扉が大きく開き、その拍子に扉に固定したディルドーが、オ○ンコから一気に引き抜かれ、その刺激で絶頂を迎えると同時に、潮とオシッコを撒き散らせた時だった。

 梓は突然の刺激に、苦も無く絶頂から失禁し、お尻を晒したまま便座を抱えて、荒い息を吐く。
 そして、暫く快感に浸った後、陶然とした表情で、後ろを振り返り、用意した言葉を吐こうとした瞬間、その表情が固まった。
(だ、誰…あ、あの人じゃ無い…そんな…こんな時、現れるのは、必ずあの人…)
 梓は、梓の姿を見て固まっている、全裸で白衣を着て首輪をした、メガネの女性に驚いた。
 そして、その後ろから現れた、学生服姿の長身の少年が、固まっている梓に呟く。
「何だ…野良犬ですか…あなた、主人が居ないんでしょ…僕で良ければ、この人のように飼って上げますよ…」
 その少年が親指で女性を指しながら言った言葉で、梓は全身を電流が貫くように感じた。

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