夢魔
MIN:作
■ 第4章 主人7
弥生が稔の精液を口に受け止め、幸福感に浸っている頃、梓は地獄にいた。
絶頂に失神し、絶頂で目覚め、身体を蕩かせて行く。
梓は既に感覚的に、自分の身体が、溶けて無く成っているようにさえ、感じていた。
(きもちいい…あああぁ〜…ぜんぶ…ふあ〜っ…きもちいい…ひぃー…)
梓は混濁した意識の中で、自分が今どんな姿勢をしているのかすら、理解できず押し寄せる快感に流される。
胡座をかいた対面座位で力尽き、ガックリと項垂れる梓を、抱え込んだ真は、目の前にいる梓の身体を見て
(う〜ん…少しやりすぎましたか…陽気を少し吸い過ぎましたね…)
少し反省しながら梓を見詰める。
真の膝の上にいる梓は、見る影もなく衰えていた。
実年齢より10歳若く見えていた梓が、逆に実年齢より10歳老けて見える。
僅か1時間半の性交で、梓は完全にその美貌を奪われ、老いていた。
張りの無い肌に皺が浮かび、筋肉は力を失って脂肪がだらしなく垂れ下がり、目の下には濃い隈が出来ている。
(ですがこの方には、度の過ぎる非礼を頂いた事ですし、一度この姿を確認させるのも、良いかもしれませんね…)
真は梓の非礼に対する罰として、自分の今の姿を見せつける事を考え、膝から降ろし抱きかかえた。
女性にとって老化が進み、醜く変わる程恐ろしい物は無い。
特に中年に差し掛かった女性には、この罰はてきめんの効果を与える。
真は梓を抱え、ユックリと客間を出ると、階段を下りて行く。
真達がリビングに着いた時、弥生がウットリとした表情を稔に向け、その身体に舌を這わしていた。
リビングに戻ってきた真に気づき、稔が声を掛けようとして、梓の異変に気づく。
「真さん…僕より酷い事なんじゃないですか? それって…」
稔が言った言葉に、弥生が後ろを振り向くと
「きゃーーーーーっ」
恐怖に歪んだ顔で、高い悲鳴を上げる。
弥生の悲鳴に、真の腕の中の梓が身じろぎをする。
真はそんな梓を降ろしてソッと立たせると、梓の膝が力無くカクンと折れ、その姿を姿見に映す。
「い、いやーーーーっ」
梓は強ばった表情で、両手を頬に添え、鏡に映る自分を見詰め、固まった。
「真さん…悪戯はもう良いでしょ…本当に気が触れますよ…」
稔がそう言うと、真は頭を掻きながら
「そうですね、折角の奴隷ですから、大切に扱わなくては…」
梓を抱え上げ、胡座を組ながら、膝の上に抱える。
そして、何かの経文を唱えながら、そのリズムに合わせ、梓を貫き精を放つ。
すると、梓の身体が見る見る潤いを取り戻し、最初より肌の艶も張りも戻って、艶めかしさまで滲み出した。
「ふぅ〜っ…済みません驚いたでしょ…梓の陽気を取り込んで、私の中で練り直し、また戻したんです…。今の気分はどうですか?」
真が梓に尋ねると、梓は驚いた表情で
「か、身体が…軽いです! す、凄い…肌もプリプリ…」
自分の手足を動かして、頬を撫でる。
梓は真に抱きつき
「ご主人様…有り難う御座います…。それに、申し訳御座いませんでした」
感謝と謝罪を述べた。
そんな二人を、弥生は凍り付いたように見詰めている。
(こ、これは…夢…あ、有り得ない…こんな事…)
固まって思考が停止した弥生に、稔がソファーから手を伸ばし、弥生を抱え上げ、自分の膝の上に乗せる。
弥生は稔の突然の行動に驚くも、主人の膝の上に乗せられ、別の緊張が込み上げた。
弥生は自分がこの後、何をされるのかドキドキしたが、稔は弥生を抱き竦め、耳元に囁いた。
「ビックリしたでしょ…これが真さんの力…僕が尊敬していて、敬語を使う訳が解った…」
稔の囁きに、胸の中でブンブンと頭を縦に振る。
「弥生も今度真さんにして貰うと良い…ただし、相当の覚悟は要りますよ」
稔が弥生に囁くと、弥生は全身をブルりと震わせ
「わ、私はまだ良いです…」
小さく答えた。
そんな稔と弥生のやり取りを聞いていた真が、振り向いて弥生に話し掛ける。
「私の技術は修行の成果ですが…稔君のは才能です。とても真似の出来る物では、無いですよ」
真はそう言うと、稔に向かってニヤリと、意味深な微笑みを浮かべる。
すると稔は、真に向かって
「僕の持っている物は、何一つ特殊では、有りませんよ…」
自分が指摘された物の、意味が解らない様子で、真に答えた。
「いやいや、あれは中々出来る物では有りません。私も修行の一環で、似たような物を学びましたから、良く分かります」
真は稔に微笑みを消した顔で、真剣に唱えた。
真に言われて、腑に落ち無いながらも納得した様子の稔に、弥生が尋ねる。
「ご主人様…一つ質問して良いですか…」
弥生は稔の顔をのぞき込み、自分の疑問をぶつけてきた。
「ん? なんですか弥生」
稔が弥生に問い返すと
「ご主人様も…真様のような事が出来るんですか?」
恐る恐る稔に聞いてきた。
「僕にはあんな凄い事は出来ませんよ…真さんが言っている、僕に出来る技術は、催眠術と心理誘導の事です…」
稔が弥生に事も無げに言うと、真がそれに付け加える。
「それも、特A級の腕前のね。彼の凄い所は、いつそれに掛けられたか、解らない位自然に掛けるんだ…」
真がそう言うと、弥生は口をポカンと開け、稔の顔を見詰めた。
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