夢魔
MIN:作

■ 第4章 主人8

 そこに梓が怖ず怖ずと、割って入ってきた。
「あ、あの…私そろそろ、仕事の準備に戻ろうと思うんですが…宜しいでしょうか…」
 梓が出勤時間を迎え、家に戻る許可を受けに来た。
「ああ、構いませんよ…弥生、梓に服を貸して上げてください…この時間帯に、あのコート一枚では、無理があるでしょう…」
 稔の言葉に、梓が感謝すると、弥生が立ち上がり
「はい、今ご用意します…」
 そう言って、自室に戻って行った。
 稔は梓に向き直ると
「ところで、梓はまだ不敬の罰が、決まっていませんでしたね。真さんどうでしたか、梓は放逐の罰が軽くなるように、奉仕できましたか?」
 梓を見詰めながら、真に尋ねる。
 梓はドキリと表情を固め、真の顔に急いで振り返り、ワナワナと唇を振るわせ、息を飲んだ表情で凝視する。
 真はユックリとタメをつくり、唇を開いた。
「そうですね、奉仕は満足の行く物には遙かに足りませんでしたが、その姿勢は買って上げるべきレベルでしたね」
 真の言葉に梓が、深々と頭を下げ
「有り難う御座います…有り難う御座います…」
 何度も感謝の言葉を、真に告げた。

 そんな梓に稔の声が、冷たく降り注ぐ。
「そうですか、では結構な罰が必要ですね…」
 稔はそう言って暫く考えると、おもむろに立ち上がり、アタッシュケースに向かう。
 そして、有る物を持ってソファーに座り直し、梓にそれを渡した。
 稔が梓に渡した物は、妙にリアルな豚のマスクだった。
「梓はそのマスクを被って、自分の職場を全裸で、這い回りなさい。隅から隅まで全部廻るんですよ」
 稔の言葉に梓が驚き、震えながら
「ご、ご主人様…私の勤務先は…総合病院で…地上5階、地下2階なんです…。それを、這い回るには…時間が…」
 理由を言って許しを請う。
「ふ〜ん…確かに、あそこなら広さから考えると、時間が足りませんね…。なら、2階から4階の3フロアーにしましょう」
 稔が梓に告げると、梓はガックリと肩を落とし、承諾する。
(駄目…ご主人様は、どうしても私を人目に晒すつもりだわ…。2階から4階は、夜でも一番人が居るフロアーなのを知っている)
 稔の意図を理解した梓は、これ以上の反論が、自分の首を絞める結果にしか成らない事を悟った。
「ちゃんとこれも付けて、お尻を振って這い回るんですよ」
 稔はそう言って、豚のしっぽ付きのアナル栓を放り投げる。
 梓はそれを受け取ると、深々と頭を下げ
「ご主人様のご意向に添えるように、一生懸命頑張ります」
 稔の指示を受け取った。

 弥生が洋服を手に持ってリビングに現れると、梓に手渡す。
「少し胸の辺りは、きついかも知れませんが、コートにはこれが合うと思います」
 梓は礼を言って受け取り、白いワンピースを裸の上に纏った。
 梓が身に着けたワンピースは、春物でシンプルなデザインだが、全裸の上に着たせいで、中々扇情的に成っている。
 胸の部分がきついと、心配した弥生の言うとおり、梓の乳房が下から、薄い布地を押し上げ、クッキリとその形を現していて、生地自体が薄いせいで、バストでは乳首の形と色が、下腹部では陰毛が、うっすらと透けて見えて居る。
「中々良い格好ですね…。梓、帰り道はコートの前を止めず、そのまま羽織るだけにしなさい」
 稔は携帯を取り出しながら、梓のその姿を見て、命令を付け加える。
 梓は項垂れながら、唇を振るわせて承諾の返事を返した。
 ソファーから立ち上がった稔が、携帯電話で話ながらアタッシュケースに向かい、何かを探して居る。
 稔は幾つかの、道具を取り出し、何かの紙の束を調べ、鞄に詰め込んでいた。
 そして、その鞄を持って梓の前に来ると
「今日職場に着いたら、直ぐに警備室に行って、これを設置しなさい。設置方法は、この中の紙に書いて有ります」
 そう言って梓に鞄を差し出した。
 梓は訝しみながらも鞄を受け取り、頭を下げて暇乞いをすると、リビングを出て行った。

 梓が出て行った後、稔は腕時計を確認し、ソファーを立ち上がった。
「真さん…僕は少し学校に戻ります」
 真はソファーに座ったまま、稔を見上げ
「そうですか、今日はこの後のお勤めも有りませんので、私はもう少し上郷先生に、指導しておきますね」
 弥生を手招きし、稔に修行がない事を告げた。
 弥生は稔を見詰め、寂しそうな表情を浮かべるも、真の前に正座し、しなだれ掛かる。
 稔は弥生に向かって
「真さんに、良く教えて貰ってください。それと、夕方には戻りますから、食事の用意をお願いしますね」
 自分の食事の用意を、言いつけるとそそくさとリビングを出て行った。
 リビングに残された、真と弥生はお互い見つめ合うと
「最初に言いますが、私はSMの気は有りません。ですから、SEXは至ってノーマルです。ただ、快感は度を外れる事が、まま有ります、そこら辺は理解してくださいね」
 弥生に自分の性癖を説明した。
 弥生は真の説明に頷きながら
(梓さんの姿を見れば、充分アブノーマルだと思うんだけど、真様が言うなら、納得するしかないんでしょうね…)
 真の言葉を受け入れた。

 真は弥生に説明した後、なにやら考え込み
「上郷先生はどうも、経験の少なさもそうですが、身体の使い方をご存じないようなので、そこら辺からお教えしましょうか…」
 弥生に向かって告げると
「それでお願いします。私も学校で訓練下着の、合格を貰った時から、源先生にそれを教わりたいと思っていました…」
 弥生はオ○ンコの使い方を、教わりたいと申し出た。
 真は弥生の申し出に
(ぷっ…オ○ンコの使い方が先ですか…上郷先生も好き者ですね…)
 呆気にとられ、思わず失笑してしまっていた。
 弥生は自分が、何故笑われたのか気づかず、自分の言葉と真の言葉を摺り合わせる。
(あっ! や、やだ…真様は、身体全体の使い方を言ってたのね…それを、私ったら…オ○ンコに限定しちゃったんだわ…は、恥ずかしい…はしたない女だと思われちゃったかな…)
 弥生は自分の言葉に気づき、耳まで真っ赤になって縮こまり、上目遣いで真を見詰めた。
 真はそんな弥生にニッコリ笑って、手を差し伸べ立たせると、優しく肩を押し弥生の部屋へ導いた。

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