夢魔
MIN:作

■ 第6章 陥落(弥生・梓・沙希)1

 稔達が出て行った後の男子便所は、静まりかえり、どこかで、ピチョンピチョンと水の滴る音だけが響いていた。
 沙希は全身稔達の小便で、ずぶ濡れのまま、両手で小振りのバイブを持ち、ジッと見詰めている。
(20回イクって…どうすれば良いんだろ…そもそも、イクってどんなモノなの)
 主人である狂に、自分の経験した事のない事を、命じられて戸惑いを隠せないで居る。
 しかも、それをクリアーしないと、この状況から抜け出せないのである。
(どうしよう…この格好を、誰かに見られる事になったら…私、生きていけない…)
 改めて自分の姿を、マジマジと見詰める。
 体中にテニスボールで付けられた青痣が至る所に有り、両方の乳房と股間は特に酷い状態で、赤黒くなって居る。
 処女を散らせたばかりのオ○ンコは、まだ血が流れて居て、見るからに痛々しい。
 フゥと溜息を一つ吐き、右手をバイブから離すと、オ○ンコにソッと触れてみた沙希は、今まで感じた事のない感覚に、ビクリと身体を震わせる。
(な、何…今の…)
 ソッと触れた指は、大淫唇に微かに当たっただけだったが、甘い電流が広がって行くように、沙希の背中を駆け上がった。
 驚いてオ○ンコを覗き込んだ沙希は、ドクリと溢れ出す血が混ざった愛液を見て、頬を赤く染めながら驚いた。
 沙希の意識は気づいていなかったが、沙希の身体は今の状態が、いつもの夢の中と同じ状態である事を認識して、既に準備を行っていたのだ。
(す、凄い…今、電気が走ったみたい…私興奮してるのかな…。こんな格好してるから…)
 そして、沙希はその格好が、夢の中と同じ格好だと言う事に気づき、快感の理由を導き出した。

 沙希は恐る恐る、自分の乳房に手を添えると、打ち身の痛みが広がり、顔をしかめた後、奥から沸き上がる快感に、鼻にかかった甘い声を上げる。
「あはぁん…き、気持ちいい〜…凄い…いっぱい感じる…」
 沙希は思わずつぶやいた自分の声が、想像以上に大きくトイレの中に響き、驚いて肩を竦める。
(こんなんじゃ、声を出したら直ぐに誰かに聞かれちゃう…。気をつけなきゃ…)
 沙希は自分の鼓動が、ドンドン早くなるのを感じながら、後から後から溢れ出す愛液を感じていた。
(やだ…私感じてる…。こんなに、ドキドキしてるのに…ゾクゾクしてる…)
(お店でもそうだった…。どうしようもなく恥ずかしかったけれど…凄く感じてた…)
(私…本当は…変態だったのね…。だから、こんなに感じるんだわ…)
 沙希はその思考を、ドンドンマイナスに導き、自分の身体の変化を、自分の嗜好のせいだと納得させてしまった。
 沙希の心は、稔の心理誘導により完全に操作され、ねじ曲げられてしまった。
(私は変態のマゾ奴隷…ご主人様に飼われて、楽しませるだけの存在…)
 沙希の心の中に、稔が用意した答えが浮き上がると、沙希の顔はトロリと蕩けて、猥らに変わる。
 沙希は熱く甘い息を一つ吐くと、左手のバイブをオ○ンコにあてがい、押し込み始める。
(いいいいーっ…痛い…でも、入れなきゃ駄目…ご主人様の命令だから…)
 沙希は痛みを堪えながら、バイブを根本まで押し込んだ。
 ズキズキとその身体を襲う痛みに、沙希はその整った顔を歪め、白い歯を食いしばってひたすら耐える。

 その時、クリトリスに付けられたままの、鈴がチリリーンと涼やかな音を立てた。
 途端に沙希の身体は、ビクリと震え敏感な肉の芽から拡がる、甘い快感に全身を蕩かせる。
(あふ〜っ…気持ちいい…痛いけど…気持ちいい…)
 そして快感により収縮した膣が、バイブに傷口を押しつけ、鋭い痛みを走らせる。
(きゃふぅーっ! い、いたたた…中が痛い…)
 急に走った痛みのため、沙希が身体を素早く縮めると、その動きでまた鈴が鳴る。
 沙希の身体に快感が拡がり、また痛みが走る。
 沙希は痛みと快感を交互に受け、それに認識が追いつかなくなり、痛みが快感に変わり始めた。
(いたいのきもちいい…いたいときもちいい…いたいがきもちいい…わかんない…)
 沙希は霞の掛かったような、目で口をだらしなく開いて、青痣だらけの身体を、撫で回し始めた。
 打ち身の痛みが走り、オ○ンコの傷が疼く中、その後に拡がる快感が確実に沙希の精神を蝕んで行く。
 沙希の身体を撫で回す手は、大きな乳房に襲い掛かり、激しく揉みしだき始める。
 その手の動きは、優しい愛撫などでは無く、荒々しい握りつぶすような、揉み方だった。
(あはぁん…はん…きもちいい…きもちいいよ〜…からだが…いたいけど…きもちいい〜っ)
 沙希は涎を垂らしながら、倒錯した快感にドップリと嵌り込んでしまった。

 一方沙希をトイレに放置した、稔と狂は旧生徒会室に戻り、睨み合っていた。
 キャスター付きの椅子の背もたれを、抱え込むように後ろ向きに座った狂は、壁際で腕組みをして背中を預ける稔を睨み、稔もその視線を真正面から受け止めていた。
「今日の狂達の態度は、僕には納得いかない…。どう言う事か、説明をして貰いましょうか」
 稔は狂に向かって、質問を投げかけると
「へ、俺のは別に理由なんて無い…ただ調子に乗っただけだ。だけど、庵の奴は別の理由の筈だ…、お前には、分からないだろうけどな」
 狂は鼻で笑いながら、肩を竦め稔に向かって答える。
「悪いけど、狂に分かって僕に分からない事は、コンピューターの事ぐらいの筈だ…それと庵の事は、説明が付かないよ」
 稔は冷静に狂を見下すように言った。
「けっ! もう一つ有るだろうよ、お前が躍起になって探してる方の話だよ!」
 狂は馬鹿にされたのを、感じて声を荒げる。
「もう一つの方…それは感情に関係する話という事?」
 稔がまじめに問いかけると
「そうだよ…庵は間違いなく、沙希に特別な感情を抱いてた…平たく言や〜惚れてたって事だ…。根っからのサディストに惚れられたら…良い迷惑だろうけどな…」
 狂は面白くもなさそうに、稔に答える。

 更に稔が問いかけようとした時、稔の携帯が鳴り着信を伝える。
 稔が携帯をとりだして、耳に当てると
『あ、あの…梓ですが…。仕事が一段落したので…そろそろ、始めようかと思うんですが…』
 震える声で総合病院の形成外科医が、罰の開始を伺ってきた。
「そうですか…、渡した物は仕掛けられましたか?」
 稔の質問に、梓はオドオドしながら答える。
『は、はい…言われた通り、警備室に入って、紙に書いて有る通り設置しました…』
 梓が早口に小声で話す。
 稔は無言で、パソコンのアイコンをクリックすると、開かれたウインドーに、何処かの廊下が映し出される。
 稔はマウスをクリックして画面を次々に切り替えると、オドオドと携帯を片手に話す、梓の姿が映し出された。
 その姿を確認した稔は
「どうやら本当のようですね、貴女の姿が確認出来ました…そんなにオドオドしなくても、構いませんよ」
 梓に向かって、言葉を掛ける。
 梓はドキリと飛び跳ね、驚きの表情で周りをキョロキョロと確認し始める。
「捜したって貴女からは、僕を確認出来ませんよ…、僕はカメラで貴女を見て居るんですから。あの機械は監視カメラの映像を、僕達に送り届ける機械です、僕達は無数に付いている監視カメラで、梓の事を監視して居るんですよ」
 稔が静かに告げた言葉に、梓は驚いて監視カメラを見詰めた後、項垂れた。

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