夢魔
MIN:作

■ 第7章 隷属(弥生・梓・沙希)1

 薄暗い病院の通路を、真っ白い肌を持った生き物が、四つん這いに歩いて行く。
 生き物の種別は[奴隷]人間を辞め、唯主人の命ずるままに生きる、ひとがたをした生き物。
 その悲しい生き物の名前は、梓と言う。
 しかし、梓の顔はどこか晴れ晴れとし、嬉しそうに這い歩いている。
 主人の傍らに付き従い、リードから送られてくる合図に素早く答える。
 能面のような無表情の主人の命令に、満面の笑みを浮かべ従う。
 稔は人形のような表情で、梓をクアルームまで導くと
「ここですね…」
 小さく呟いて、傍らに持ってた梓の白衣のポケットから、鍵を取り出して鍵穴に差し込む。
 カチャリと小さな音を立てて、鍵を解くと稔は扉を開けた。
 扉をスライドさせて、梓の分まで開いてやると、梓はそそくさと中に入り稔を振り返る。

 稔は扉を閉めると鍵をかけ直し、辺りを見渡す。
 脱衣所は、薄暗く明かりを点けなければ、殆ど暗闇だったが、温泉スペースはほんのり明るかった。
 この総合病院のクアルームは、周りの自然光を取り入れながらも、外からは見えないように設計されているため、夜でも比較的視界を妨げない明るさがあった。
 そして、妙に広い洗い場と浅い湯船が、その用途に置いて普通の温泉と一線を画している。
 稔は脱衣所を真っ直ぐに進んで、温泉スペースの扉の前まで来ると、おもむろに学生服を脱ぎ始める。
 梓は稔に付き従いながら、入り口付近に積まれていたバスタオルを口に咥えると、稔の後を追う。
 稔の脱ぎ捨てた服の横に、チョコンとバスタオルを置くと、梓は正座して稔の裸身を見上げて、その姿に見とれる。
(ご主人様…素敵…。それに比べて私は…)
 稔の無駄な肉が一切無い筋肉質の身体が、薄く漏れ込んだ明かりに照らされ、幻想的なシルエットを浮かべる。
 それを見詰める梓は、自分の肉体に対して、激しい劣等感にその身を染める。
 そんな落ち込む梓に、稔が気付いて声を掛ける。
「どうしました梓? 元気がありませんね…」
 稔の質問に梓は、正直に答えた。
「はい…ご主人様のお身体が、素晴らしすぎて…私のみすぼらしい身体が、恥ずかしく成りました…」
 梓は消え入りそうに、身体をモジモジとさせると、頬を少女のように染め稔に告白する。

 稔は梓の側にしゃがみ込むと、真正面から瞳を覗き込み
「何だ…そんな事ですか…何も気にする事は有りません…。梓は梓のままで居れば良いんです」
 静かに梓に告げる。
 梓は稔の言葉に安堵を受け、感激しかけたがその後に続いた、稔の言葉に自分の立場を思い知らされた。
「梓はそんな事を気にする必要はありません、必要と有れば、僕が梓の身体を変えますよ。梓は僕達の持ち物に成ったんですから、そう言った事は全て、主人達の協議で決めて行きます。梓がそんな事を考える必要は、全くありません。唯存在し、使われれば良いんです」
 稔の無慈悲な言葉に、梓は自分の意志や権利が、全く無くなった事を理解し、悲しみの表情を浮かべると
「はい…ご主人様…仰せのままに…」
 深々と平伏して、稔に答えた。

 稔はそんな梓の身体を見下ろし、ポツリと呟く
「でも、今の梓の身体は、僕は好ましいと思います…。その大きなお尻も、柔らかな乳房もとても女性らしいですよ…」
 平伏する梓に、稔が声を掛けると、梓は途端に涙が出そうになる程、喜びが込み上げてきた。
(い、今…ほ、褒められた…この年を取って緩んだ身体を…好ましいと…言って下さった…ご主人様………嬉しい…)
 梓はブルブルと歓喜に震えながら、数百の感謝と感激と喜悦の言葉を思い浮かべるが
「勿体ないお言葉、有り難う御座います…」
 やっとそれだけの言葉を口から溢れさせ、稔に答えるのが精一杯だった。
 稔の言葉による誘導で、精神の落ち込みと高揚を行き来させられた梓は、この時点で自分の正しい思考が、出来なく成っている。
「さあ、梓にはこの後まだ、して貰わなければ成らない事も有ります。さっさと洗い終えましょう」
 更に稔はそう言って、次の段階を匂わせながら梓を促すと、洗い場に入って行く。
 梓は稔の言葉に、まだ調教が終わっていない事を知り、不安を頭に上らせるが
(私は物だから、主人の命令に従うだけ…。この先の事なんて、私が考える事じゃないわ…)
 頭を軽く振って、自分に言い聞かせ、不安を追い払い稔の後に従った。
 こうして梓は、自分の意志も権利も全てを投げ出した、奴隷としての思考をするようになり、稔はそれが至極正しい事のように、梓の脳に刷り込んで行く、深く強くそして色濃く。

 洗い場に着いた稔は、シャワーを持つと、シャワーヘッドをクルクルと回し、ホースだけにするとボディーソープを塗りつけ始める。
 梓は黙って稔の行動を見詰め、正座して指示を待つ。
「良いですよそこに四つん這いになって、お尻を高くあげて下さい」
 稔は傍らを指さし梓に指示を出すと、梓は言われたとおりにお尻を突き出して、アナルを晒した。
 稔は梓のアナルに、無造作に人差し指を滑り込ませると、揉みほぐし始める。
(くふん…ご主人様…そんないきなり…そんなに、激しく…いやん…)
 梓は稔の指が激しく、アナルを押し広げる動きに、戸惑いと快感を同時に感じ、頬を真っ赤に染める。
「気持ちいいですか? 良いですよ構いませんから、存分に感じて声を出して下さい」
 稔が梓に許可を出すと、梓の体が敏感に反応する。
(い、嫌…何これ…ご主人様の許可が出ただけなのに…お尻の穴が…すごく感じる…き、気持ちいい…)
 梓にとってもはや稔の声は、身体の構造まで支配され、指示通りに快感を感じ始める。
「あふぅ〜…ご主人様…ご主人様〜…梓、お尻が…気持ちいいです…ご主人様に嬲られると…イッちゃいそうです〜…」
 梓は尻タブに鳥肌を立て、プルプルと震え、快感を堪えている。
「今から少し苦しくなるから、イッても構いませんよ…。ほらこうすると気持ち良いですよ…」
 稔は言葉と同時に、アナルの指を出し入れさせ、梓の快感を増幅させる。
「くひゅ〜ん…あん…あひ〜ん…あ、あ、あ、あ〜〜〜〜っ」
 梓は稔の指に翻弄され、アナルで絶頂を迎え、ピクピクと尻タブを痙攣させた。

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