夢魔
MIN:作

■ 第7章 隷属(弥生・梓・沙希)4

 稔は梓の沈んだ後頭部に、足を載せ梓を見詰める。
(失神するまで、抵抗しなければ合格としてあげるか…)
 梓を引き上げるタイミングを考えながら、梓の状態を監視する。
(ご主人様申し訳ありません…ご主人様申し訳ありません…)
 梓は後頭部に掛かる、稔の足の重みを感じながら、湯船の中で何度も稔に詫びる。
 30秒が過ぎた頃、梓の顔の下から漏れている泡が、一際大きくなり水面で潰れる。
(そろそろ、酸素が無くなって、藻掻き始めるかな…)
 稔は注意深く梓の身体を見詰めているが、その兆候は現れない。
 それは、酸素の泡が細く小さくなっても、一向に現れなかった。
(おかしい…限界の筈だ…意志の力で、どうにか成るモノじゃない…)
 稔が訝しんで居ると、梓の腕がフワフワと水面に上がり始め、続いて腰が浮き上がり、足が伸びる。
(これは、既に失神してる…)
 稔は慌てて、足をどけ梓の身体を引き上げる。
 梓はグッタリと身体の力を抜き、死んだように反応を示さない。
 稔は直ぐに洗い場まで、抱え上げて連れて行くと、人口呼吸を始める。

 稔の素早い蘇生術で、梓は息を吹き返し、大量のお湯を口から吐いて、むせかえる。
 ボーッと焦点の合わない視線を漂わせ、その目が稔の顔に留まると、瞳は急激に力を取り戻す。
「ご、ご主人様…わ、私また…ご指示を守れなかったんですね…」
 梓はボロボロと涙を流し始め、稔に謝罪しようとする。
「違うよ…、僕は梓に死ねと一言でも言いましたか? 自分の命を掛ける謝罪を、見せて貰っただけですよ…」
 梓に静かに告げる。
「そして、それは僕の満足の行くモノでした…。梓の謝罪は僕の気持ちに届きました」
 稔が付け足すと、梓の顔に見る見る喜色が拡がり、涙は歓喜のモノに変わる。
「あ、有り難う御座います…有り難う御座います…」
 梓は何度も何度も稔に礼を言い、嗚咽を漏らす。

 稔は梓に姿勢を正すように促し、目の前にしゃがみ込むと
「但し…こんな謝罪が、いつも出来るとは思わないで下さい…これ以上の謝罪は、本当に命を落とす以外無いですから」
 稔は梓にきつく言い放つ。
 梓はシュンと肩を落とし、頷くと
「はい…解りましたご主人様…」
 稔に返事を返した。
「それと、いつも立場を忘れる梓は、これから、どれだけ奴隷が増えても、一番最下層です。全ての者に敬語を使い、敬いなさい、年齢は関係有りません、解りましたね」
 稔がそう指示すると
「はい、ご主人様…梓はこの後どのような方が、奴隷に成られても、その方の下僕で有り、敬う事を誓います」
 梓は平伏して、稔の指示に誓いを立てた。
 この誓いが後々どう自分の身に振り掛かって来るか、今の梓には想像すら出来ていなかった。

 誓いを立てた後、稔に髪を洗われた梓は、湯船に浸かる稔に今後の行動の指示をされる。
「梓…お風呂から出たら、とびきりのメイクをして、元彼の所に行き、僕に接するようなSEXをしておいで…、手を抜いたりしてはいけないよ。そして、梓がどう感じたか、今度会った時に報告出来るよう、考えをまとめておいて下さい」
 稔の指示に、梓は微笑みを浮かべながら
「ご命令有り難う御座います…。必ず満足の行く、報告をお届け出来るよう努力いたします」
 稔の背中に深々と頭を下げ、指示を受け取る。
 稔が湯船から立ち上がると、梓を見下ろし
「そうそう、梓の所には、脱毛の処置を依頼する患者も多いそうだね」
 質問すると
「はい、美容整形の一つですから…この病院の医院長が、最新の機器を導入して、そちらの方に力を入れております」
 梓はよどみなく答える。
「うん、じゃあ…元彼とのSEXが終わったら、梓の陰毛は全て処理して下さい…、どんな風に綺麗になるか、見てみたいですから」
 梓の身体を実験材料にして、永久脱毛の仕上がりを、見せるように指示する。
「はい、かしこまりました…無毛のオ○ンコにして、ご主人様の点検を受けさせて頂きます」
 梓は深々と頭を下げたまま、稔に答えた。

 浴室から出た稔の後を、梓は四つん這いで追い掛けると、素早くバスタオルを手にして
「失礼いたします」
 深々と頭を下げて、立ち上がり恭しく身体を拭い始める。
 全てを拭い終わると、下着と学生服を着せ
「有り難う御座いました」
 平伏して礼を述べる。
 稔は、頷くと梓の手からバスタオルを取り上げ
「四つん這いになって下さい」
 指示を出し、梓の身体を拭い、髪の毛の水分を取り去る。
「ここで、ブローは出来ないので、自分でして下さい…濡れた首輪は、良く水分を取って、陰干ししないと縮みますよ」
 細かな指示を出し、首輪を外して手に持たせる。
「はい、ご主人様…お気遣いいただき、有り難う御座います」
 梓は嬉しそうに微笑むと、礼を述べる。
 稔は時計を見て
「僕はこのまま、帰ります。梓はもう立ち上がって良いですよ、白衣を着て戻ったら、指示を実行して下さい」
 梓に別れを告げ、梓の返事も待たずに扉から出て行く。
 一人取り残された梓は、稔の足音が消えるまで、その場で平伏していた。

 稔の足音が消え、数分して顔を上げた梓は、溢れんばかりの笑顔を浮かべていた。
(ご主人様に…助けて頂いた…この命は…ご主人様のモノ…私は、ご主人様の命令を実行する事だけ、考えれば良い…これは、私の望んだ事…望んだ世界…、ご主人様が喜んで下さるなら…何も要らない…)
 梓は強力過ぎる、刺激の連続で最早、普通の考えが出来なくなっていた。
 その脳は、稔の奴隷として、完全に染められ洗脳されていた。
 そして、微笑みながら立ち上がった梓は、指示通り白衣を身に纏うと、フラフラと廊下を歩き出す。
 主の指示通り、元彼に抱かれるために、自分を飾りに自室に向かった。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊