夢魔
MIN:作

■ 第7章 隷属(弥生・梓・沙希)14

 稔は沙希の顔を避けるように、上体を起こすと頭を抱えた。
(ふぅ…何なんでしょうかね…この楽しそうな沙希のテンションは…)
 沙希の余りのハイテンションに、稔は戸惑っている。
 沙希は稔の行動を不思議そうな目で見詰め、首を傾げる。
「沙希どうして、君はそんなに楽しそうにしてるんですか? 私達は貴女を陵辱して、奴隷にしたんですよ?」
 稔は溜まらず、沙希に質問をぶつけた。
 稔の質問を沙希はキョトンとした顔で聞き、ニッコリと笑って
「だって、嬉しいんですもん、沙希は前からマゾの気が有って、痛いのもエッチも好きだって解って、それを教えて呉れるのが、大好きな稔様なんですよ、嬉しく無い訳無いじゃないですか。それに、奴隷に成ったのも、私が意地を張ったのが切っ掛けだし、奴隷にして貰ったお陰で、稔様とこんな風に、お近づきにも成れたし、今はもう最高なんです〜」
 沙希はピョンピョン跳びはねながら、稔に今の気持ちを話した。
 稔は沙希の説明を聞いて、 呆然とする。
(そんな考え方も有るんですか…、まあ筋が通っていると言えば、通ってますね…しかし、沙希のこの変化は、予想外でしたね)
 稔は沙希の顔を見詰めながら、自分を納得させた。

「まあ、良いでしょう。お風呂が沸いてるなら、先に入ってしまいましょう…、行きますよ」
 稔がそう言うと、沙希は元気に返事をして、稔の後に四つん這いになって続く。
 制服のプリーツスカートを履いたお尻を、プリプリと振りながら這う姿は、とても蠱惑的だった。
 廊下を突き当たり、脱衣所に着くと、沙希は自分からイソイソと、制服を脱ぐ。
 上着とスカートだけで、何も着けていなかった沙希は、アッと言う間に全裸になり、稔の足下に正座する。
 稔が制服を脱いで行くのを、キラキラとした目で見上げ、その身体の素晴らしさに溜息を漏らす。
(すっごーい! 稔様の身体って、着痩せするのね…スッゴイ筋肉質…何かスポーツしてらしたのかなぁ〜…聞いてみよ〜っと)
 沙希は頬を紅潮させ、パンツ一枚になった稔の身体に見とれていた。
「何ですか…沙希その顔…昨日も見てるでしょう…早く中に入って、お風呂の用意をしなさい」
 稔は何か取り憑かれたように、稔を見上げる沙希に指示した。
 沙希は、ハッと我に返り、稔の指示通り中に入って、浴槽の蓋を開けお湯の温度を確かめる。
 沙希が準備を終えた頃、稔が全裸で浴室の中に入って来た。
 沙希は稔に向き直ると、平伏して
「宜しくお願いします、ご主人様」
 明るい声で、元気よく挨拶する。

 十数分後、稔と沙希は湯船にいた。
 稔に丹念に身体と頭を洗われ、許可を得て、稔と同じ湯船に浸かる沙希の顔は、快感に蕩け陶然としている。
(稔様…上手過ぎる…あんな風にされたら…我慢なんか出来ません…)
 沙希は稔に洗われている最中、2度の絶頂を迎え、今なおピクピクと身体に快感が走っていた。
「良いですか沙希、学校に居る時は、今までのように私を遠ざけなさい。それと、人に私達の関係が知られるような態度も、厳禁です」
 稔は沙希を足の間に抱え込み、後ろから沙希の乳房やお腹の辺りを優しく撫でながら、学校での注意事項を沙希に教えている。
「はぁ、はぁ…はい〜…わかりました〜、きをつけて…こうどうします〜」
 沙希は稔の愛撫に身体中を敏感にされ、必死で我慢しながらも、稔の言葉に反射的に返事をした。
 稔が奴隷の心構えや、礼儀を背後から語り出しても、沙希の耳には殆ど届いていない。
(あ〜ん…お湯がピリピリ傷口に滲みるの〜、でも稔様の手が気持ちよさに変えちゃう…あ〜ん、ご主人様〜大切なお話なのに…沙希覚えられないよ〜…あふぅ〜ん、そんな風に触られると、もう、もう、我慢できない〜)
 稔の目の前の沙希の背中が、突然ビクビクと震え、ハァハァと沙希が荒い息を吐く。
「沙希? 今イッたの?」
 稔が沙希の背後から問い掛けると、沙希は真っ赤な顔で、コクリと頷き
「申し訳ございません…沙希は我慢が出来ませんでした…」
 俯いて小さな声で、稔に謝罪した。
「これぐらいの、刺激でイクなんて…沙希は敏感なんですね」
 稔が低い声で耳元に囁くと、沙希の身体は又ブルリと震え
「ち、違うんです…あの、傷にお湯が滲みて痛いのを、ご主人様の手が、気持ち良くしてしまうんです…ずーっと我慢してたんですが……出来ませんでした…」
 沙希は稔に必死に言い訳をするが、稔の質問する、答えには成って居なかった。

 稔は小さくなった沙希を、後ろからユックリと抱きしめ、ギュッと力を込めてきつく抱きしめると
「沙希…良いんだよ…、これから覚える事は沢山有るけど、基本は全て今の気持ちです。僕のために何かをしよう、そう思う心が奴隷の一番大事な気持ちです。今回は、我慢できなかったけれど、次は出来るように努力をするのが、一番大切な事なんです」
 優しく低い声で、沙希の耳元に囁く。
 沙希の身体は、プルプルと震えだし
「が、がんばります〜! 絶対に努力します〜! あ〜〜〜ん、嬉しいよ〜〜っ…こんなにして貰って、優しくして貰って…うぇ〜ん」
 子供のように、大きな声で沙希が泣き出す。
 稔の手が抱きしめていた力を緩め、左手が身体の位置をずらすように動き、沙希を横抱きにすると、右手が頭を抱え込むと、自分の胸に沙希の顔を迎え入れる。
 沙希は稔の胸に縋りながら、高まった感情を鎮めて行った。
 稔は泣きやんだ沙希に
「今日はこれから昼前まで、僕は少し寝ます…、沙希も一緒に眠りますか?」
 静かに問い掛けると、沙希は大きく目を見開いて
「い、一緒に眠っても良いんですか? ぜ、是非お願いします!」
 凄い勢いで、稔の申し出を受け取った。
「但し奴隷は、主とベッドを共にする時は、抱き枕です。身動ぎ一つしてはいけませんよ」
 稔が沙希に注意をすると
「はーい! 解りました〜、沙希はご主人様の抱き枕になりま〜す。絶対に動きません〜」
 ニコニコと満面の笑みを浮かべ、上機嫌で返事をする。

 お風呂から上がった2人は、2階に上がり全裸で客間のベッドに横に成る。
 稔は疲れから直ぐに眠りの世界に堕ちて行くが、沙希はいつまでも稔の寝顔を見詰めていた。
(えへへへ〜…稔様の寝顔かわいい〜…沙希のご主人様だもんねぇ〜…)
 沙希は稔の寝顔を見詰め、ニヤニヤと笑い、身体をすり寄せ、その肌のぬくもりを満喫する。
 そんな沙希も、いつの間にか眠りにつき、安らかな寝息を立て始めた。
 その顔は、至福に満ちあくまで穏やかだった。

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