夢魔
MIN:作

■ 第9章 虫(バグ)9

「ねぇママ…。ご主人様をいっぱい怒らせたって…何したの? それに、何で私達に敬語なの?」
 美紀が不思議そうに梓に質問すると
「はい、美紀様…私がご主人様に拾われた所から、お話ししても宜しいですか? それが、一番の説明だと思いますので…」
 梓は美紀と沙希に頭を下げて、許可を待った。
 美紀と沙希は顔を見合わせて、頷き合うと梓に話を促す。
 梓は顔を上げると、稔と初めて会った公園のトイレの話、牝豚として調教された話、真を交えてのSEXと罪の話、病院で受けた罰の話、今朝のお風呂での誓いの話、稔の命令で柏木としたSEXの話迄を、淡々と語った。
 話を聞き終えた2人は、その内容に驚きの色を隠せないでいる。
(ご、ご主人様の調教って…そこまでされるんだ…)
(稔様…沙希にもそんな事…するのかな…)
 2人はヒタヒタと押し寄せる恐怖感と、ゾワゾワ沸き上がる期待感に、身体を震わせた。
 それは、自分の愛する者以外に身体を任せる嫌悪感と、稔達に目覚めさせられた被虐性から来る物だった。
 梓は既にその一線を越え、奴隷として完成している。
 そんな梓を自分の目指す奴隷像として尊敬の目を向け、また稔に仕える同じ奴隷で、一歩も二歩も進んだ強力なライバルとして同等の嫉妬を浮かべて、美紀は見詰めていた。

 美紀は複雑な視線を、梓に向けて
「ねぇ…ママ…。ご主人様に全てを差し出して、絶対服従を誓ったって言ったけど…。私やお姉ちゃんも、差し出したの?」
 梓に残酷な質問をする。
 美紀の質問は、梓の心に深く突き刺さった。
(ご主人様と、同じように接しなくては…。嘘は付けない…、どう思われても構わない…本当の事を言わなければ…)
 梓は、意を決して平伏すると
「はい。美香はまだ、お求めに成られていませんが…。美紀様は、ご主人様がご所望なさったので…差し出させて頂きました…」
 美紀に正直に話した。
(そう…、そう答えるのは、解っていたわ…私も、同じように答えるでしょうから…)
 美紀は、梓がどう答えるかを解っていながら、梓に質問をしたのだった。

 美紀の身体が、プルプルと震えると
「ママは自分の欲望のため、娘でも差し出すような人だったのね…。解ったわ…、ご主人様に誓ったんでしょ…最下層の奴隷として、私達が使ってあげる」
(なら、私も…用意した答えで返してあげる…。ご主人様は、絶対に渡さない…)
 梓を見下ろして、凄い目で睨み付けながら、美紀が宣言する。
(み、美紀…貴女、何て顔でおばさまを見てるの…。どうしたの…美紀…)
 沙希は美紀の横顔を見詰め、凍り付く。
 沙希の目の前には、優しく素直な美紀は、もう居なかった。
 そこにいる美紀は、昨夜沙希を陵辱した、庵や狂を彷彿とさせる、残忍な微笑みを浮かべた加虐者だった。

 美紀は梓の髪の毛を掴むと、引き上げて自分の股間を、誇示しながら
「ママ…ベタベタして気持ち悪いから、綺麗にして頂戴」
 冷たい声で、命令する。
 梓は悲しそうな表情を浮かべると、目を閉じて美紀の股間に舌を伸ばし、舐め始めようとした。
 美紀はそんな母親の髪の毛を、勢いよく左右に振ると
「ちゃんと目を開けて、誰のオ○ンコを綺麗にするか、言ってからしてよ…私の顔を見ながらね」
 侮蔑の表情を浮かべ、感情を殺した固い声で命じた。
 梓は痛みを堪えながら、顔から表情を消し
「美紀様の血に染まったオ○ンコを、奴隷の舌で綺麗にさせて頂きます…」
 舌を伸ばして、上目遣いに愛娘の顔を見ながら、乾きだした破瓜の血を、舐め清める。
(これは、罰…私がご主人様のご命令に従わなかった…罰なのよ…。最下層の奴隷の罰…)
 梓はどんな非道な行為も、全て自分に対する罰だと受け止め、身を委ね稔に対する忠誠に変えた。
 美紀は梓を見下ろしながら、娘である自分に対しても逆らわない梓に、理不尽な怒りを覚える。
(ママ…悔しくないの…。私の友達の前で、私に命じられるまま…こんな屈辱を晒して…。そう、そうまで徹底して、ご主人様の気を引きたいの…)
 美紀は自分自身が、何故こんな事をしているか、もう解らなく成っていた。
 美紀の心の中では、稔に対する恋慕と、稔に近付く者への嫉妬が暴走を始め出した。

 沙希は美紀の異常な行動を、恐怖しながら見守っている。
 いや、見守らざるを得なかった。
 それ程美紀の行動は常軌を逸し、その表情は有無を言わせない。
(美紀…、美紀…どうしたの…。おばさまは…悪くないのよ…)
 沙希はブルブルと震えながら、梓に対する美紀の行動に視線を奪われた。
 沙希の見守る中、美紀の行動は更にエスカレートして行く。
 梓の髪の毛を持った右手と、自由な左手で梓の身体を押し、仰向けにさせると、口の上にオ○ンコを押し当て
「ぜ〜んぶ綺麗にするのよ…少しでも残ってたら、絶対に許さないんだから…」
 梓に舌の奉仕を強要する。
 梓は美紀の命令に従い、懸命に舌を這わせ、血を啜る。
 そんな梓の行動は、美紀の逆鱗に触れた。
(どうして…ママ…どうしてそんな事するの…。そこ迄して、ご主人様に気に入られたいの…)
 美紀は歯噛みしながら、自分の腰を前に押し出し、梓の顔を押す。
 梓の顔は美紀の腰の圧力で、ドンドン後ろに下がり、バランスを崩し始める。
 美紀はそんな母親の顔に、自分の体重をユックリと掛けた。

(あぁ〜…美紀…許して…そんな事…ママに、させないで…)
 梓は正座したまま、上体を後ろに倒して、自分の愛娘の股間に、顔を押さえ込まれる。
「この方が舐めやすいでしょ…奥までちゃんと舐めてね…ママ…」
 美紀は梓の口の上に馬乗りに成って、オ○ンコを押しつける。
 梓は美紀の顔を見ながら、ただひたすら舌を伸ばして、美紀の血を啜り上げ舐め清めた。
 10分程そのままで、自分のオ○ンコを舐めさせていた美紀の耳に、風呂が沸き上がった事を知らせる、ブザーが鳴る。
「お風呂が沸いたわ…、ママ入るわよ」
 美紀は梓の顔から腰を上げ、踵を返し部屋を出た。
 仰向けになった梓の口元には、美紀の血が所々を赤く染めている。
 梓はモソモソと身体を起こすと、四つん這いになって、美紀の後を追う。
 沙希は悲しそうな表情を浮かべて、廊下に出て行く梓を、無言で見詰めるほか無かった。
「早くしてよママ! 遅いとお仕置きよ」
 階下から、美紀の大きな声が響き、梓の這い進む音が速くなる。
 美紀の部屋で、一人取り残された沙希は
(美紀…私も、あんな目で見るようになるのかな…。稔様の特別な奴隷に成ったら…美紀とは、親友では居られないの…)
 漠然と、自分達の友情が、風前の灯火に、変わった事を理解した。

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