夢魔
MIN:作

■ 第10章 朧夜2

 食事を終えると僕は美紀を連れて、2階に向かおうと立ち上がる。
 狂と弥生も2階に上がりかけていたので、僕は弥生を呼びつけ狂の取り扱いを注意した。
 弥生は僕の言葉を聞いて、返事をすると狂に向き直りその表情を見て、慌てて狂の後に続いて、2階へ向かいました。
 リビングを通った時に梓を見ると、梓はまだ眠ったままだったが、顔の汗も引き血色もだいぶ戻り、寝息も楽そうに変わっていた。
 全く真さんと弥生の調合した薬は、凄い物です。
 弥生の漢方と薬学の知識に、真さんの秘術が加われば、ドンドン新しい薬が出来そうです。
 美紀が眠る母親の顔を見詰め、また泣き出しましたが、気持ちを落ち着けるのが、先決と諭して2階に上がります。
 部屋に着くと、早速美紀の診察に、取りかかりました。
 美紀をベッドに座らせ、僕は美紀の前にしゃがみ込んで、美紀の顔を見上げながら話し始めます。
「美紀…貴女は自分のしてしまった事を、もう一度体験し、それを理解して、乗り越えなければいけません」
 僕の言葉に美紀は、怯えながらも頷いて、返事を返す。
「それをしないと、この先同じ事を繰り返したり、自分を追いつめたりしてしまいます。僕が、誘導しますから、怖がらないで僕の言葉にしたがって下さい」
 僕は美紀に導入をすると、催眠術を掛けて行く。

 美紀には記憶操作のできるレベルまでは、催眠を掛けていましたから、比較的すんなり、深催眠に達しました。
 この段階では、記憶の操作や、感覚の操作が可能になりますが、塗り込めて消してしまう方が、危険と感じましたから、今回は[誘導と克服]をチョイスします。
 まず状況の再生を行い、感情の起伏を引き出します。
 僕の出て行った後の、状況、空気、言葉、行動、感情、それら全ての物を、美紀の頭の中で再体験させます。
 美紀の身体がビクッ、ビクッと時折震え、頬を涙が伝い自分のした事を、美紀が実況します。
 その時の心の動きや、考えを細かく交え、話し終えた時、美紀は大粒の涙を流していました。
「ママ…ママ…ごめんなさい…ごめんなさい…」
 美紀はひたすら、催眠の中で梓に謝罪を繰り返しました。
「美紀はママに謝りたいんだね…」
 僕が美紀に問い掛けると
「うん…ママに酷い事をしたの…謝りたい…許して欲しいの…。美紀ママの事…大好きなのに…ふぇ〜ん…」
 美紀は子供のように、泣き始めました。
「じゃぁ、何が悪かったのか…解るかい…?」
 僕が美紀にまた問い掛ける。
 美紀は、頭を左右に振り[解らない]と仕草で現した。
「美紀がどうして、ママにあんな事をしたのか、僕が教えて上げるね…」
 そう言って、もう一度起点に戻り、追体験をさせる。

 2度目の追体験は、より深くよりリアルに、美紀の感情を想起させる。
 僕は感情の起点で、その度にそれを指摘し、美紀の絡んだ感情の糸を解きほぐす。
 美紀は僕に感情をほぐされながら、追体験を続け、いかに自分の行動が、間違っていたかを知り、梓に対する謝罪の念を強めていった。
 そして、僕に対する嫉妬が、いかに不遜で、タブーなのかを教える。
「僕達を縛って良いのは、僕達だけです。奴隷である美紀達が、嫉妬心を持つ事は、僕達に対する重大な、不服従で有る事を覚えて置いて下さい。僕達を占有するのは、誰にも許される事では有りませんから」
 美紀は自分の感情が、どれだけ自分を危うい状態にしていたかを知り、震え始める。
 僕は美紀の、罪の呵責を軽くするために
「美紀がそういう風に感じてしまったのは、僕が催眠を掛けて、美紀の記憶を封じていたからなんです…だから、美紀は悪くないんですよ…。悪いのは、ちゃんと最後まで、フォローしなかった…僕だから」
 美紀に納得し易い理由を付けて、説明して上げた。
 美紀は僕の言葉で、だいぶ落ち着きを取り戻し、心を平穏に戻していく。
 僕はタップリと、リラックスさせ美紀の催眠を解いた。

 眼を覚ました美紀は、憑き物が落ちたように、剣が取れ穏やかな優しい美紀に戻っていた。
 しかし、直ぐに梓に対する罪悪感から、泣き顔に変わり始めてしまいました。
「美紀…良いんだよ…、僕が一緒に謝って上げるし、梓も怒っていないから…ね」
 僕が笑顔を作って、美紀に話し掛けると、美紀は泣きじゃくりながら
「ご主人様〜…ごめんなさい〜…」
 大声で僕に謝罪しながら、抱きついて来た。
 僕は、かなり面倒臭く成りそうだったので、美紀を軽くかわして、トイレへと立ち上がりました。
 正直、僕は感情を剥き出しにされても、困るだけなんで、苦手です。
 しかし、美紀が余りにも、ビービーと泣くので、
「美紀トイレくらい、行かせて下さい…」
 辟易して声を掛けると、次は泣くのを止めて、僕に擦り寄り
「あ、あ、あの…美紀でおトイレをして下さい…」
 頬を染めながら、僕に哀願する。
 この時ばかりは、少し女の涙に驚きましたが、そういう風になるように、仕向けたのも間違い無く僕達なので、美紀の依頼を聞いて上げる事にしました。
 僕はチャックを下げ、チ○ポを取り出すと、有る事を思い出し美紀に問い掛けます。
「美紀はまだ、一度も僕の飲尿に成功してませんでしたよね…大丈夫ですか?」
 僕が美紀に問い質すと、美紀はニッコリ笑って
「はい、大丈夫です。実は、ずっとペットボトルの飲み物を、一気に飲む練習をしていたんです…やってる時は、自分でも意味が解らなかったんですが…。昨日、意味が繋がりました…」
 美紀が恥ずかしそうに告白する。

 今なら500mlなら、平気で飲み込めると豪語した美紀に、僕は頷いてチ○ポを差し出す。
「じゃぁ、行きます。美紀…溢したらお仕置きですよ」
 僕がそう言って、美紀の大きく開けた口に放尿をすると、美紀は喉を開いて宣言通り僕の小便を飲み干した。
 僕は少し驚き、この同級生の愛らしい奴隷が、とても誇らしく思えました。
 その時の僕は、それが感情の一つだとは、思いも寄りませんでしたけど…。
 僕はいつの間にか美紀を抱きしめ、頬にキスをして、頭を撫でていました。
 美紀は窓から注ぐ、明るい月明かりの下、僕の目にとても儚く虚ろなものに映りました。
 僕は意識の外で、美紀をギュッと抱きしめ、美紀の声で自分に戻りました。
「い、痛い…ご主人様…苦しいです…」
 美紀の言葉で、僕は随分過ぎる力を込めて、美紀を抱きしめていた事に気付きました。
 窓を見上げ、暗闇にポッカリ浮かぶ月は、血のように赤く輝いていました。
 それは大きく、ユラユラと揺れ、僕の心を引き寄せるようでした…
 在るはずのない…、僕の心を…。

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