夢魔
MIN:作

■ 第12章 幕間2

 弥生の家を出た稔と美香は、閑静な住宅街を肩を並べ、歩いている。
 傍目から見ると、お似合いのカップルが、デートで散策しているように見えた。
 その実、2人の関係が、主人と奴隷であるとは誰も思わないであろう。
 稔の横を歩いていた、美香の足が急に止まる。
 美香の自宅まで距離にして、200m程だった。
 目の前の角を曲がれば、自宅が見える筈の場所。
 そこで美香は、軽く肩幅に開いた状態で足を止め、頬を紅潮させながら、ブルブルと震えている。
(い、いや〜…こんな、こんな所で…ご近所さんに…見られちゃう…はしたない子だって…噂されちゃう…)
 美香が立ち往生していると、稔が振り返って
「こんな所で、我慢するんですか? 僕なら、もう少し頑張りを見せて、家に入る方を勧めますが…」
 美香に伝えるだけ伝え、直ぐに向き直って、家に向かった。
(あ、ああぁ〜…稔様…置いて行かないで〜…一人にしないで下さい…)
 美香は快感に震える身体を押さえ込み、一歩足を踏み出した。
 途端にオ○ンコの中のバイブがこすれ、快感を強める。
(きゃふ〜ん…だめ…動くと刺激が強くなる…。でも、こんな所に…一人取り残されるぐらいなら…我慢しなきゃ…)
 美香は左手の人差し指に歯をあて、右手で股間を押さえながら、大きく息を吸って小走りに走り出した。

 この時稔は既に角を曲がり、姿を消している。
(稔様…待って…今追いつきますから…一人にしないで下さい…)
 真っ赤に染まって股間を押さえる走り方は、まるでオシッコを我慢しているようだった。
 実際美香は、今日の朝からおトイレに行って居らず、膀胱には充分な量の小便が溜まっている。
(こんな状態で、罰を受けたら…間違い無くお漏らししちゃう…こんな所で、そんな事出来るわけ無い…)
 角を曲がって、自宅の方を見ると、美香の表情が凍り付いた。
 今の場所と自宅の中間辺りに、3人の人影が立っている。
 近所でもスピーカートリオの呼び名も高い、噂好きの主婦グループだ。
 しかも、この3人は、森川家の事を快く思っていなかった。
 女3人の家庭で、母親は女医、長女は将来を嘱望されるピアニスト、次女は頭脳明晰の才媛、そして、3人とも誰が見ても美人なのだ、これだけ揃った家庭を、妬まない訳がない。
 有る事無い事吹聴しても、それを否定する森川家の品の良さが、また腹立たしさを募らせている。
 そんな3人に、ここで弱味を見せるのは、まさに自殺行為だった。
(なんで、こんな時にここに居るのよ…あの3人にこんな姿、絶対に見せられないわ)
 美香は、歯を食いしばり、背筋を伸ばすと、スタスタと早足で何事もないように、歩き始める。
(くふ〜っ…あん、あん…刺激が…刺激が〜…)
 外見とは裏腹に、内心自分の身を焼く程の快感に晒されながら、3人の横を通り過ぎ、軽く挨拶を交わして、自宅にたどり着いた。
 稔は既に、森川家の玄関の内側に入り、上がりがまちに腰を掛けている。
 稔のデーターにもプレイ中の注意人物として、あの3人組に関する情報が既に入っており、余計なトラブルに成らないよう、素早く身を隠したのだった。

 美香は稔の姿を、玄関の中に見つけ、安堵の表情を浮かべる。
 するとその時、バイブの動きがピタリと止まった。
 美香は驚きの表情を浮かべ、自分の股間に手を当てる。
(と、止まった…成功したの…)
 美香がホッとすると、その足の付け根からツツツーッと大量の愛液が、太股を伝わり踝まで濡らす。
「いやん…」
 美香は頬を真っ赤に染め、股間を押さえると、玄関先にぺたりと座り込んでしまった。
 稔はそんな美香を、ニコニコと微笑みを浮かべ、見詰めている。
 美香は真っ赤な顔を伏せ、上目遣いで稔を盗み見た。
「成功したようだね…、本当は罰の最中に、こんな事はしてはいけないんですけど、内緒ですよ」
 稔はそう言って、美香の唇に優しくキスをし、胸に抱きしめると、頭を撫でて
「よく頑張りました…気付きましたか? 今のは最長の10分ですよ…」
 優しく耳元に囁いて、頬にキスして離れていった。
 稔が離れてゆくと、美香は放心状態に成っている。
(なに…今の…稔様に褒められた時…身体の奥から…ううん、心の中が、突然いっぱいに成ったような…)
 稔は美香が放心状態で、物思いに耽るのを見て、全てを理解しニッコリ笑って、美香の頭をポンポンと軽く叩いた。
 美香は稔のその仕草に、我に返り稔を見詰めると、涙が込み上げて来る。
 稔はその涙を、唇で優しく拭うと、美香は稔の首にしがみつき、声を出さずに泣いた。
 美香の心の中に、稔に対する服従心が芽生え、それを美香が認識した瞬間だった。
(何でも人の言う事を聞くんじゃ無いんだ…この方の言う事を聞くのが…私のする事なんだ…それが、解った…今、ハッキリ)
 美香は自分の心が、満たされる感覚に酔い、涙する。
 その涙は、とても心地良く、美香の心を満たし、落ち着かせた。

 稔と美香は森川家に入り、2階の美紀の部屋から、沙希の制服と美紀の私服、1階の梓の部屋から梓の私服を手にして家を出た。
 通りを歩いていると、突然美香がモゾモゾと股を摺り合わせ始め、尿意を訴え始める。
「み、稔様…申し訳御座いません…あ、あの戻る訳にはいきませんか…」
 稔に蒼白の顔で、訴える美香に
「それより、ここからなら僕の寮の方が近いでしょ…行きますよ」
 稔はそう言うと、美香の手を引き角を曲がって行く。
 50m程進むと、洒落た造りのマンションが有り、稔はオートロックを開いて、中に滑り込みエレベータで8階まで進む。
 稔はそのまま、一番奥の部屋に行き鍵を開けて、美香を中に入れる。
「直ぐそこが、トイレです。ショーツは外せませんから、そのままして下さい」
 稔は美香に告げると、奥に消えていった。
 美香はトイレに入ると便座に座り込み、ショーツを履いたまま放尿する。
 少しずつ放尿しないと、ショーツの中がビショビショに成るため、時間を掛けてチョロチョロとオシッコを出した。
 オシッコが出終わると、同時にトイレの外から
「終わりましたか? それは綺麗に拭かないと、かぶれの原因になりますから、僕が拭いてあげましょう」
 稔が声を掛けてくる。
(え〜っ…流石にそれは恥ずかしいわ…。でも、稔様が仰るんだから…)
 美香は頬を真っ赤に染め、トイレの鍵を外し
「よろしくお願いします…」
 小声で、稔に答えた。

 トイレの扉が開き、中に入って来た稔を見詰め、美香は動く事が出来なかった。
(えっ…誰…ううん…稔様…よね? …)
 美香は目を白黒させ、稔を見詰める。
「ん? どうしました、変ですかこれ?」
 稔は美香の驚き固まった顔に、質問をした。
 稔の格好はVネックの綿シャツに、薄手のジャケットを羽織り、下はジーンズ姿だ。
 ごく普通の私服だが、着こなし方が自然で、メガネを取って、その素顔を晒していた。
(カッコイイー! な、なに…稔様の私服って…こんな…こんな…格好いいの…。ううん…これは、もう綺麗…!)
 美香はガラにもなく興奮し、ミーハーな事を考えていた。
 稔が微笑んで、トイレットペーパーをカラカラと、まとめると美香は、スカートをたくし上げ足を便座に乗せ、大きく開く。
(ああぁ〜…こんな、はしたない格好で、こんな格好いいご主人様に…オシッコの後始末をして貰えるなんて…)
 美香は耳まで真っ赤になりながら、稔の手が触れる股間が、オシッコ以外の物で濡れるのを、必死に我慢した。

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