夢魔
MIN:作

■ 第12章 幕間3

 稔が美香のオシッコの後始末を、終えるとティッシュペーパーを便座に落とし
「さあ、出来ましたよ…行きましょうか…」
 ニッコリ微笑んで、手を差し伸べる。
 美香がその手を取ろうとした時、2度目の罰が美香を襲う。
「きゃふん」
 美香は完全に意表を突かれ、その振動に可愛らしい声を上げた。
「あ、2度目が始まりましたね…。そのまま僕に、美香が我慢するところを見せて下さい」
 稔が美香に、命令すると
「はい、稔様。美香が快感を我慢するところを、ご覧下さい」
 美香はウットリと、鼻に掛かる声で宣言し、足を大きく開いたまま、クネクネと腰を動かし、快感に身を浸す。
「くふ〜ん…あ、あん…ああぁ〜ん…はあん…うん…くう〜ん…くっ…はあ〜ん」
 稔に視姦されながら、美香は急速に快感を高めて行く。
「くっ、くうっ〜…はっ、はっ、はっ、かひゅ〜っ…んくっ…」
 美香は高まった快感を、強引に押さえ始めた。
「ぐっくふっ、はぁ、ぐうう〜っ、かっ、はっ、はっ、はっ…」
 美香の美しい顔が苦痛に歪み、額には玉のような汗が浮かび始める。
「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ〜ん…くはっ…くぅ〜〜っ、はぁ〜〜〜〜っ」
 美香の顔が切なそうに歪み、歯を食いしばり、大きく息を吐いた。
 美香を責めていた、バイブが動きを止めたのだった。

 稔は荒い息を吐く美香の頬に手を伸ばし
「報告は?」
 短く質問すると、美香は荒い息を吐きながら
「は、はい…稔様…美香は、お目を楽しませたでしょうか…稔様を思い、バイブの快感に耐える事が出来ました」
 稔に報告する。
「どうして、最初はあんな風に感じていたんですか?」
 稔は無表情で、美香に問い掛けると
「はい、少しでも、稔様に感じる姿を見て欲しかったのと、長く耐えるところを、見て頂きたかったからです…」
 美香は直ぐに稔に答えた。
 稔は黙って頷くと、便座の上の美香を抱き上げ、奥に連れて行き床の上に、ソッと下ろす。
「服を脱いでいなさい」
 珍しく命令口調で、稔が美香に伝えると、踵を返して部屋を出て行った。
 美香はポツリと部屋に取り残されながら、ブラウスのボタンに手を掛け、洋服を脱ぎ始める。
(稔様…どうしたんですか…何か、いつもと違う…)
 美香は稔の態度の変化に、自分が何か気に障る事をしたのか、不安になった。
 美香がブラウスを脱ぎ、スカートを床に下ろすと、稔が戻ってくる。
 稔は手に、洗面器とタオルを持って現れた。

 美香は今から何が起こるのか解らず、驚きながら稔を見詰めると、稔は洗面器を床に起き、美香を手招きする。
 美香が稔に呼ばれるまま近付くと、稔はタオルを洗面器に浸し、固く絞ると無言で美香の顔を拭き始めた。
 美香は驚きながら、稔を見詰めなすがままに成っていたが、堪らずポツリと問い掛けた。
「み、稔様…これは…?」
 美香の問いに、稔が呟くように答える。
「罰を受けている最中に、お風呂に入れる訳にもいきません…今はこれで我慢して下さい…」
 稔の答えに、美香は納得せず、質問の内容を変えた。
「いえ、どうして私に、こんな事をして頂けるんですか?」
 美香の質問に、稔は声を大きくして
「僕が必要だと思ったからです…美香は、不満なんですか?」
 美香に逆に問い返してくる。

 美香は、稔の少し大きな声に驚き、[いえ]と否定するだけで、精一杯だった。
(どうして、稔様は怒るの…どうして、稔様はこんな事をするの…どうして…)
 美香が困惑し、頭をフル回転させ始めると、有る事に気付く。
(稔様…私に…今、怒鳴った…。ううん、声を荒げたのは、間違い無いわ…)
 美香が考えついた時、稔がポツリと美香に囁く
「美香の顔が汗で汚れているのが、僕には我慢成らなかっただけです」
 美香は稔の言葉を聞き、我が耳を疑った。
 稔の言葉が、何度も美香の頭の中で反響する。
(稔様…嬉し過ぎます…美香の事…そんなに思って下さるなんて…)
 美香の身体が震え、涙が次から次へと溢れ出して、止まらない。
 美香の身体を丁寧に拭う稔が、美香が泣いているのに気付き
「どうしました? 痛くしましたか?」
 美香に問い掛ける。
 美香はニッコリと微笑みながら、首を振り
「何でも御座いません…目に少ししみただけです。ご心配を掛け、申し訳有りませんでした」
 稔に謝罪した。
 稔は美香に微笑みを返すと、美香の身体を拭い清める手を、再開させる。
 美香にとって、至福の時間だった。

 美香の身体を拭い清めると、稔は美香に洋服を着せ、立ち上がり
「さあ、行きましょう…少し時間を食いました。急ぎますよ」
 美香を伴い、部屋を出た。
 マンションを出ると、稔は足早に進み、美香は付いて行くために小走りになる。
 弥生の家の玄関前に着くと、稔が立ち止まり、美香に振り返ると
「良いですか…僕の家に立ち寄った事は、誰にも内緒です。梓や美紀には勿論、庵や狂にもです」
 稔は、美香に固く口止めした。
 美香は、不思議に感じて、稔に問い掛ける。
「え、どうしてですか? ママや美紀は解りますけど、庵様や狂様まで…」
 美香の質問に
「誰も、僕の部屋には入った事がないからです。庵や狂ですら僕の部屋の場所も知りません…」
 稔が美香に答える。
 美香は驚きの余り息を飲み、両手を口に当てると
「は、はい…誰にも言いません」
 言葉にならない声で、稔に約束した。
 美香を見詰める稔は、この時自分の中に有る事を感じていた。
(美香を相手にすると…何故だか考えがまとまらない…気持ちの位置…意識的な物だろうか…何だかゾワゾワする…)
 人の意識や無意識については、手に取るように理解する天才も、自分の意識には通じなかった。
 稔は美香を特別視している事に、自分で気付いていない。
 稔は美香を伴い、弥生の家の門を潜り、奴隷達の待つリビングへ進むのだった。

■つづき

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